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14 距離

最終更新:2012年01月22日 02:04

meteor089

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14 距離


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毎朝、オレは教会のドアをゆっくりと開けて入っていく。
シスターのケイトさんが祭壇の前にいて、いつもオレに素敵な笑顔で挨拶をしてくれる。
ケイトさんへオレの百万ゴールドの微笑みをお返しした後、
教会の中にある全ての蝋燭を 新しいものに交換し、火を点ける。
そして祭壇へ向い、自分のためのお祈りと、この町のためのお祈りを行う。
それが終わった頃……だな。
毎日朝一番に教会へやって来るのは、酒場のオーナーの母親であるマキ婆ちゃんだ。
「ククールさんのお姿を見ていると……神様からの使者のようで、
まるで天国にいる心地がしますじゃ……。ありがたや、ありがたや……」
いつもそうやって、祭壇ではなく、オレに祈りを捧げている。
オレはマキ婆ちゃんの期待に答えるように、天使のような笑顔を向ける。
そうしているうちに、何人もの人が教会へやって来る。
「さっきそこで毒サソリに刺されちゃって……。毒の治療……ククールさんにお願いしたいの……」
いつも上目遣いでオレに話しかけてくるルイーゼちゃん。
「見て!聖書をククールさんと同じ青い表紙にしちゃったわ。ククールさんの瞳と同じ色よね。うふっ」
まるでサファイアのようだと、オレの瞳をいつも褒め称えるマダム・ロレッタ。
夜になれば、酒場では踊り子のビビアンや、バニーガールのマチルダたちが、
競い合うようにオレを部屋へ連れ込もうとする。
――これがオレの日常。
秋の終わりにベルガラックへやって来て、夏がやって来た今まで変わらない毎日。
この町の女性たちはみんな、オレを見てうっとりし、蕩けそうな笑顔を向けてくれる。
……そりゃ、嬉しいさ。男冥利に尽きる、ってやつだよ。
でもさ……もう……そんな笑顔はいらない。
オレが本当に欲しい笑顔の人は……遠いところに……いる。
ただ会えないっていうだけで、何でこんなにもゼシカを遠く感じてしまうんだろうな……。
もう……会えないんじゃないかって気さえしていたんだ。
だからさ、ミーティア姫様の警護のためにトロデーン城にやって来た時も、
ゼシカに久々に会えるっていうのに、いまいち実感が湧かなくってさ……。
                       ◇
――トロデーン城にはさ、オレはビビアンとマチルダを連れて来ていたんだ。
本当は一人で来るつもりだったのに、二人が付いて来るってゴネてね……。
仕方なく一緒に来たのさ。
城に着いてからすぐに、エイトとヤンガスには会ったんだ。
二人とも旅をしてた頃とは違ってさ、穏やかな顔をしてたな……。
その後、姫様がサヴェッラに行く準備がまだ出来ていないようだったから、
オレは連れてきた二人と一緒に中庭で待機してたんだよ。
暇つぶしにくだらないことを話していたら……突然背後からタタタッと駆け寄る足音がして、
それと同時に声が聞こえてきたんだ。
「ヤンガス……久しぶり!元気だった?」
その声を聞いた瞬間、オレの鼓動は狂ったように早くなった。
懐かしく、切ない、オレの胸に響く声――。
オレはすぐにでもその声の方向へ顔を向けたかった。
でも、うまく体が動かなかったんだよ。
オレは胸に手を当てて息を整えると、ゆっくり後ろを振り向いた。
……苦しいぐらいに会いたかった人が、そこには、いた。
ヤンガスと楽しそうに話し、笑っている。
ヤンガスとの話を終え、ふと目線をこっちに向けた。
偶然に……ゼシカはオレを見つけたようだった。
そして、ゼシカは動きを止めた。
まるでゼシカの周りだけが、時間さえも止まってるみたいに見えたよ。
オレは堪えきれずに、ビビアンとマチルダに背を向け、ゼシカに歩み寄った。
後ろからマチルダの「どこ行くのよ、ククール!」という声がうっすらと聞こえる。
でも、そんなのはもう……どうでもよかった。
オレはゼシカの目の前で止まり、ゼシカの顔を見つめた。
「久しぶり。……元気そうだな」
オレが静かに話しかけると、ゼシカは少し目を伏せた。
「……うん。ククールも……変わり……ない?」
オレの名前を呼んでくれた――それだけでオレは心が弾んだ。
オレはどんな些細なことも見落とさないように、と思いながら、ゼシカをじっと見つめた。
少し……痩せたかな?髪の毛も伸びてる……。
ゼシカはオレをちらっと見ては、恥ずかしそうに俯きがちになる。……それを繰り返していたんだ。
そんな照れてるような仕草が、めちゃくちゃ可愛い。
――触れたい、と思った。
髪の毛の先だけでも、爪の先だけでも構わないから、ゼシカの体に触れたくて仕方なかった。
でも……何でだろうな。手が動こうとしねーんだよ。
体全体がカチカチに凍ったみたいに固まって、息をするのさえやっとのことだった。
――緊張?……うん……そうかもな……。
ゼシカは結んだ髪の毛の先を心許なさげに触り、落ち着かない様子だった。
気まずそうな顔をして、笑おうとはしなかった。
――笑ってくれよ、ゼシカ……。オレはそれだけで嬉しいんだから、さ。
生暖かい風がオレとゼシカの間をすり抜けていき、オレの前髪とゼシカのスカートの裾を揺らしていく。
話したいことは……たくさんある。
でも、口から言葉を出すことが出来なかった。
――とにかく、何か話さなきゃ……。
そんな気ばかりが焦って、募っていった。
「……こっち見てる」
ゼシカが突然口を開いた。
「……何が?」
オレが尋ねると、ゼシカはオレの後ろの方にいる、ビビアンとマチルダを指差した。
「彼女たち……待ってるわよ。行ってあげたら?」
「ああ……」
会話はそこで終わったはずなのに、オレもゼシカもお互い、その場から立ち去れずにいた。
棒みたいに二人で突っ立っていると、急に城の周りがザワザワし始めた。
どうやらエイトが姫様を連れて出て来たらしい。
エイトと一緒に城の正面入り口を出て長い階段を降りてきた姫様は、
城の人間たち一人一人へと丁寧に別れを告げ、エイトの手を借りて馬車に乗りこんだ。
オレはビビアンとマチルダの二人と別れ、姫様と一緒にサヴェッラへ向った。
サヴェッラまでの道のりの間、エイトはずっと戸惑っているような顔をして、
オレたちとあまり話そうとはしなかった。
姫様の結婚が一秒一秒近づいてきて、自分の感情をうまくコントロール出来ない……そんな感じだったな。
オレはオレでゼシカが近くにいるのにうまく話せなくってイライラしていたし、
ゼシカは……元気はあるようなんだけど、エイトと同じようにあまり話をせずに黙々と歩いている。
……どうも花嫁様を連れた一行とは思えないほどの空気の重さだったね。
唯一の例外がヤンガスでさ、久々にエイトに会えた嬉しさでいっぱいの顔で、ずーっとニコニコしてた。
オレは少し離れて隣を歩くゼシカを、目線だけでちらっと見た。
何だろうな……ゼシカと会えて嬉しかったんだけど……妙な距離を感じる。
旅をしていた頃は、ゼシカが今どういう気持ちなのか……っていうことがさ、
なんとなくなんだけど伝わって来て、オレもゼシカの気持ちにつられたり、
辛そうな時は励まそうって思ったり…… そういう感覚があったんだけどさ……。
久々に会ってみたら、その感覚がものすごく薄れてしまっているような気がしたんだ。
ゼシカの気持ちがいまいち掴めない……っていうのかな……。
離れ離れに暮らしてて、たくさん月日が過ぎて……段々とゼシカを遠く感じてしまっていたのは確かだよ。
それはきっと、こんなに離れて暮らしてしまっているせいだと思ってた。
だけどオレは今、ゼシカのこんなに近くにいるんだぜ?
それなのに、ちっともゼシカを身近に感じられなかった。
これじゃあ離れて暮らしていたときと変わらないじゃねーか。
オレたちは……住んでいる場所だけじゃなく、心まで離れてしまった……ってことかよ?
オレはもう一度、ゼシカを見た。
今度は目だけじゃなく、顔もゼシカへ向けて見つめるように。
ゼシカは一瞬オレに気づいたようだったけど、気づかないような振りをして、
ただ真正面を見据えて歩き続けていた。
                       ◇
……で、無事サヴェッラに着いたのは良かったんだけどさ……。
しっかし、腹立つよな!サザンビークのあのバカ王子!
何が「お前たち平民ふぜいを、招待するわけにはいかないからな」だよ!!
ったく、顔もブサイクなら、性根まで腐ってやがるぜ!
トロデ王は大事なミーティア姫様を、あの人間のクズみたいな王子と本気で結婚させるつもりなのか?
腹立ち紛れもあったし、あんまりエイトが暗い顔してるんで、
オレはその日みんなで泊まったサヴェッラの宿屋で、エイトにけしかけたんだよ。
ちょうどヤンガスが風呂に行ってて、エイトと二人きりになった時に、さ。
サザンビークのクラビウス王に、お前の持ってるアルゴンリングを見せに行って来い……って。
最初は何だかんだ言い訳して、エイトはオレの提案を実行することを渋ってんだ。
だからと言って、姫様をこのままあの王子の元へ嫁がせるのは
不安で仕方がない、っていうような顔をしてんだよなぁ。
オレはさ、エイトと向かい合ってベッドに腰掛けながら、わざとケンカ腰に言った。
「……お前さ、結局姫様をどうしたいんだよ?お前は何かと姫様のことを考えているようだけどさ、
お前にとっての姫様の幸せって、何なんだよ?」
エイトは、迷いを隠せない表情で、オレをじっと見ていた。
オレはベッドの上に寝転がり、天井を見つめて言った。
「……姫様にとっての本当の幸せ……ってのはさ、お前と一緒に過ごし続けることだと、オレは思うぜ」
エイトはオレの言葉を聞き、少し俯いたままで静かに黙り込んでいた。
そしてふっと顔を上げると、まるで暗黒神と戦った時のような顔に変わっていた。
「……いろいろありがとう。やっぱり……行ってくるよ、クラビウス陛下のところに」
そう言ってベットから立ち上がり、ゆっくりと部屋の出口へ向かった。
そして木のドアを開けて出て行こうとした時、ポツリと呟いた。
「……ねぇククール」
「ん?何だよ?」
突然のエイトの声に、オレは上半身だけを起こして答えた。
「僕が今――クラビウス国王陛下のところへ行こうとしていることは……
僕にとっては、ものすごーく勇気のいること……なんだよ……ね」
エイトはゆっくりと、言葉を選ぶようにして話し続ける。
「僕の言ったことが、クラビウス陛下の気に触ってしまったら、
姫様のチャゴス王子との結婚が無くなるのは当然だし……
僕自身だって、トロデーン城を追い出されてしまう可能性だってある。
下手をすると、二つの国の争いの元にだって成りかねない……しね」
「そりゃ……そう……かもな」
オレは間の抜けた声で、エイトの話にそう答えた。
当たり前だよな……。この世界の二つのデカい国の話だもんな……。
オレもエイトのこの言葉を聞いて、オレはとんでもないことをエイトに言っちまったんだなぁ……って思ったよ。
「でもさ、さっきククールが僕を勇気づけてくれたから……僕は覚悟が出来たんだよ。
たとえどんな結果になったとしても、僕のことをちゃんとクラビウス王に伝えよう……って」
エイトはオレに背を向けたまま、言葉を続けた。
「だからもし……僕が勇気を出して、ちゃんとクラビウス陛下に伝えることが出来たら……」
エイトはそこで言葉を切った。そして覚悟を決めるかのように、大きな息を一つ吐いた。
「僕が出来たら……君も……君も勇気を出して、どんな結果になろうとも……
君の……本当の気持ちを伝えてみない?君の……大切な人に……」
エイトのその言葉を聞いて、オレはうかつにも一瞬、言葉を詰まらせた。
そして、それをエイトに悟られないように、さらに乱暴な物言いで言い返した。
「……何の話だよ。人の話と自分の話、すり替えてんじゃねーよ」
するとエイトは、オレの方へ振り返り、ニコッと笑った。
「――なんてねっ。冗談だよ!じゃ、行ってきまーす!」
エイトが部屋を出て行った後、オレはもう一度ベッドへ倒れこんだ。
――お前に言われなくても解ってるよ、バーカ。
オレがちゃんと自分の気持ちをゼシカに伝えられてない……ってことぐらいは……さ……。
あ、違うか。バカはオレだな。
やっとゼシカに会えたっていうのに、結局何も話せずにいるんだからさ。
その上……こんなに近くにいるのに、お互いが世界の裏側に住んでるような距離を感じてる。
オレは指で唇をそっとなぞってみた。……あの日の感触が、一瞬で全て蘇ってくる。
隣の部屋にゼシカがいるっていうのに、直接触れるんじゃなく、
こうやって思い出で触れてるなんて……やっぱりオレはバカだな。
――その日、エイトは夜遅くなってからやっと帰ってきた。
結果は……聞かなくても解ったさ。
エイトの顔が、この世の終わりみたいな絶望的なものだったからな。
エイトは帰って来てすぐにベッドへ潜り込んでいたけど、ずっと寝付けないでいたようだった。
次の日の朝、オレが目を覚ますと、ヤンガスは既に起きていたんだけどさ、
エイトは……まだ寝息を立てて寝ていた。
ヤンガスは大聖堂に早めに行くと言って、さっさと部屋を出て行ってしまった。
オレもヤンガスの後を追うように、静かに部屋を出て、宿の外へと向かったんだ。
大聖堂のある高台には、昼前から始まる結婚式を見ようする野次馬が、既に人だかりを作っていた。
オレが大聖堂へ向かう階段へ向かおうとしたらさ、そのふもとにゼシカがいたんだよ。
ゼシカはオレを見つけるなり、少し微笑んだ。
「おはよう。……早いわね。エイトはどうしたの?」
オレはゼシカの横に立ち、翻ったマントを手で直した。
「まだ寝てるよ。昨日の夜さ、とうとう言いに行ったんだよ……あいつ。
指輪持って、クラビウス王に……自分のこと」
「……本当!?」
驚いた顔を向けるゼシカに、オレは肩をすくめて答えた。
「ああ。でも、ダメだったみたいだな。あいつもショックだったみたいでさ……」
「そう……」
ゼシカはしょんぼりした顔で下を向き、地面の土を靴で少し引っ掻いていた。
「そういえば……あんたに付いていて来てたあの女の人たち、どうしたの?」
「ビビアンとマチルダのこと?――ああ、サヴェッラまでは一緒って訳にはいかないからさ、
トロデーンで別れて来たよ。キメラの翼でベルガラックへ帰るって言ってたけど」
「そう……なの……」
そこで少し会話が止まった後、ゼシカが急に話し出した。
「ねぇ……マルチェロ……お兄さんは見つかった?」
ゼシカの質問に、オレはため息をつき、首を横に振った。
「いいや。結局まだわかんねーよ。ドニに行ったついでに、修道院にも何回か行って聞いてみたんだけど、
みんな分かんないらしいんだよな。この帰りにでも、今度はパルミドの情報屋にでも
聞きに行こうかと思ってんだけど……」
オレが話しを続けようとしたら、ゼシカが突然、しゃがみこんだ。
「……どうしたんだよ」
オレが声を掛けると、ゼシカは顔を下に向けたままで答えた。
「……ドニや修道院には……何回も……行ったんだ……」
「……え?」
しゃがみこんでいるせいで、ゼシカの声が地面に向かってしまい、くぐもって聞こえてくる。
「うちの村……は?来なかった……よね?」
そう言うと、ゼシカは立ち上がって、オレに作り笑いのような表情を見せたんだよ。
「当たり前よね、用事が無いものね、うちの村には。……変なこと言っちゃって……ごめん」
ゼシカの言葉を聞いて、オレは……本当のことを言うべきか迷っていた。
実は……オレ、リーザス村に何回か行ってたんだよ。
もちろんゼシカに会いたくってさ。
でも……結局村へ入る決心が付かなくって、いつもそのまま帰って来ていたんだ。
……いやぁ……我ながらカッコ悪りぃよ……まったく。
いつものオレだったら、絶対にこんな自分のカッコ悪いことなんて、人には言わない……よな。
でもこれは……言わなくちゃいけないような気がする。
オレは覚悟を決めるように、軽く腕を組み、目を閉じた。
「……行ったさ。何回も」
オレがそう言うと、ゼシカはぱっとオレに顔を向け、目を見開いている。
「……うそ……」
「……本当だよ。何回も村の前まで移動呪文で行って、結局……一回も村には入れずに帰ってきた……。
本当は……ゼシカに会いたくて行ったくせに、さ。……カッコ悪いだろ?」
ゼシカはぼーっとオレの顔をじっと見つめていた。
オレが「何だよ」と言うと、少し嬉しそうに笑い、首を軽く横に振った。
そしたらさ……何故か知らないけど、あんなに遠いと感じていたゼシカが、
急に身近に感じられるようになったんだ。
ほんと不思議だったよ……。だって一瞬で変わったんだぜ?
そして……ゼシカが今、どう感じているかが、はっきりと判ったんだ。
――ゼシカは今、すごく嬉しくって仕方がない。そして……何かオレに言いたいと思っている。
ゼシカはオレへ体を向け、両手を後ろで組みながら、言った。
「ククール……お願いがあるの」
「……何?」
「今日……姫様の結婚式が終わって帰る時に……私をリーザス村まで……送って」
オレはゼシカの言葉に、心が躍った。顔がニヤけているのが、自分でもよく判る。
「いいぜ。送っていくよ」
オレは精一杯の冷静さを装って、ゼシカに答えた。
                       ◇
エイトが宿屋から出てきたのは……結婚式が始まる時間の少し前だったかな?
ヤンガスに引っ張られるようにして、大聖堂へ向かう階段を昇っていったのは見えていたんだ。
でも、それから先のことはさ、人ごみの多さでいまいちよく判らなかったんだ。
オレとゼシカは何とか人ごみを掻き分けて、やっとの思いで大聖堂の正面近くまで出た。
ちょうど近くにいたヤンガスと合流してさ。
すると結婚式の終了を知らせる、大聖堂の鐘が鳴り響き始めた。
お姫様とその家来の結婚、なんてさ、お伽噺の世界だけだとオレは思ってきたんだけど……
大聖堂の扉が開いて、エイトとミーティア姫様が大聖堂から出てきた時、
現実にもこういうことがあるんだと思って、感動しちまったよ。
オレもゼシカもヤンガスも、とにかく嬉しくって仕方がなくってさ……
周りの迷惑顧みずに、思いっきり大騒ぎしたんだ。
お伽噺の最後の言葉の「めでたしめでたし」っていうのは、こういう時に使うんだよなぁ、きっと。
その後、トロデーン城へ帰るエイトと姫様、そしてトロデ王をサヴェッラの高台から見送って、
オレはゼシカとヤンガスに声を掛けた。
「さぁ……帰るか。送ってくぞ」
するとヤンガスは少し照れくさそうに頭を掻きながら、答えた。
「いやぁ、それが……ゲルダの奴が、そこの海岸に船で待ってくれてるんでがすよ……。
なので、アッシはここで失礼するでがす!じゃあ!」
そう言ってヤンガスは、ゲルダの船が待つ北の海岸へ転がるように駆けていった。
結局オレはゼシカだけを連れて移動呪文を唱え、リーザス村へと向かった。
リーザス村へ着くと、ゼシカはオレに「ありがとう」と言って、
その後、少し落ち着かない素振りを見せていた。
「あのね、ククール……」
ゼシカがオレに話しかけようとしたその時、突然子供の叫ぶ声が聞こえて来た。
「――あっ、ゼシカ姉ちゃん!」
二人の子供が、村の中からオレたち目掛けて大急ぎで駆けて来たんだよ。
「よかったぁ……待ってたんだ、姉ちゃんが帰って来るの……」
少しタレ目の、鍋を兜代わりに被ってる小僧がほっとしたように言うと、
もう一人の牛角の帽子を被った眉毛の太い小僧が、慌てるようにゼシカへ話し始めた。
「た、大変なんだよ!さっき、クロフォードおじさんが塔の見回りにいったら……
とんでもなくデカい悪魔みたいな魔物が現れたって言って、逃げてきたんだ!
それを聞いた姉ちゃんちにいるテオドールって奴がさ、退治しに行くって言って……
武器も持たずに一人で行っちゃったんだよぉ!」
牛角小僧の話を聞き、ゼシカは呆れた顔をして、大きなため息をついた。
「……あのバカ……」
ゼシカは急に凛々しい顔つきに変わると、小僧二人の目線までしゃがみ込んだ。
「いいわ!とりあえず私がテオドールのところへ行ってみるから、
あんたたちはうちの母さんにこのことを伝えに行って! 」
二人の小僧にそう言い聞かせると、すっと立ち上がってオレの顔を見た。
「……ごめん、ククール。私、ちょっとリーザス塔まで行ってくる!」
ゼシカはオレにそう言い残し、リーザス塔へ続く道を一人で走って行っちまったんだ。
「姉ちゃん一人で大丈夫かなぁ……」
ゼシカを見送った後、お鍋小僧が指を咥えて心配そうにしている。
それを見ていた牛角小僧が、お鍋小僧へ突然怒鳴りかかった。
「大丈夫……な訳ないだろ!この村で一番体の大きいクロフォードおじさんが、
飛んで逃げて帰って来たくなるような魔物が出たんだぞ!」
「……じゃあ、僕らで姉ちゃんを追いかける?」
「そ、そりゃ……追いかけたいことは確かだけど……」
さっきまでの元気が嘘のように、牛角小僧が弱々しく言うと、お鍋小僧と一緒にオレの顔をまじまじと見て、
ゆっくり目線を降ろし、オレの腰にあるレイピアの辺りで目線が止まった。
オレは小僧たちの様子を見て、思わず口を開いた。
「……どうした?ゼシカが心配なら、さっさと今すぐ追いかけて行けばいいじゃねーか。
それとも……怖いのか?」
牛角小僧はオレの言葉にカッとなったらしく、オレを指差して怒りを向けてきたんだ。
「な、何だよ、お前!お前誰なんだよ!ゼシカ姉ちゃんと一緒に帰ってきたりしてさっ!」
「ゼシカの旅の仲間さ。それよりも……なぁ、さっき言ってたテオドールって奴は何者なんだ?」
「……ゼシカ姉ちゃんの『ひあんせ』だとか言ってたよ」
お鍋小僧がたどたどしい口調でオレの質問に答えると、牛角小僧がイライラした表情でお鍋小僧を睨んだ。
「バカ、違うよ!『フィアンセ』だよ!結婚する約束になってるって自慢してただろ?」
「あ、そっか」
牛角小僧は胸の前で腕を組み、そのテオドールとかいう奴への怒りを爆発させるように話し始めた。
「自分の自慢ばっかり話す奴でさ……ほんと嫌な奴だよな!
この前のラグサットとかっていうヤツと一緒だよ!気に入らねぇよ!!」
「……お前たちとは気が合いそうだな」
オレがポツリと呟くと、牛角小僧が食ってかかってきた。
「何でだよ!」
「オレもそのテオドールって奴が気にいらねぇよ。ものすごーーーーーく、な」
だってさ、久々に会えたオレとゼシカの邪魔しやがったんだぜ?
しかもゼシカの婚約者だって言うじゃねーか。……気に入らねぇに決まってんだろ!
「でも……ゼシカ姉ちゃん、あいつと結婚しちゃうんだよね?」
お鍋小僧がそう言ってしょんぼりしていると、牛角小僧は突然焦り始めた。
「そ、そんことないよ!ゼシカ姉ちゃんはき、きっと、奥様に言われて嫌々あいつに付き合ってるだけだよ!」
小僧の話を聞きながら、オレは小僧二人の顔を交互に見回したんだ。
「ふぅん……で、どうする?お前たち、オレに頼みたいことがあるんじゃねーの?
……お前の顔に、そう書いてあるぜ?」
そう言って、オレは顎をしゃくって牛角小僧の顔を指し示した。
「うう……」
牛角小僧はオレの視線にたじろいで、後ずさりを始めている。
「ポルク……この人結構強そうだし、お願いした方がいいんじゃないかなぁ?」
お鍋小僧が牛角小僧にそっと耳打ちすると、牛角小僧はごくりと息を飲み、
覚悟を決めたようにオレの前へ歩み寄ってきた。
「……おい、お前!よく聞けよ!ゼシカ姉ちゃんを追いかけて、リーザス塔まで行って欲しいんだ!
結構大きい魔物が出たっていうから……姉ちゃんを守ってくれよ!頼んだぞ!」
可愛い健気な子供の申し出だ。断る理由なんて一つも無いだろ?
オレはすぐに返事をしたさ。
「……よし、引き受けるよ。これでお前たちはオレに借りを一つ作ったんだからな、
何かあったら今度はオレに協力しろよ?」
オレはニヤっと笑って体を翻し、背中越しに小僧二人へそう言うと、
オレはゼシカの後を追いかけて急いで走り出した。
――小僧二人を何に協力させようか……なんて考えながら、な。


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