―第一部:ZERO
時代は
連合軍の宣戦布告によって混迷しつつあった世界。
戦火は世界を炎に包み、人々に恐怖と狂気の心を植え付けた。
狂気。
それは一種の病気に近いものだった。
病魔に掛かった者は、人ではありえないほどの力を得る。
対価は『自身の心』
対抗する武力、
執行者の力が生まれ、執行協会の下、厳重な管理システムが生まれた。
その戦火の中、新たな生命が誕生していた。
人の子ではなく、特殊な術式を施されたその母子を悲しそうな瞳で見つめる一人の人物。
『
野田光一』
その腕に娘と息子を抱きかかえ、ただ苦悩する。
「まだ、未来は決まってませんよ」
そう輸すように微笑む『野田雪乃』
4年後に起こるとされている
最後の審判。
執行者として扉に挑むことになった光一と、その妻雪乃。
ただ、自分達は扉を破壊し、恒久の平和を望む。
されど、その運命を彼は恨まずにはいられなかった。
着々と準備を続ける桜門。扉への対策を練るエスト。そして、我が物と防衛体制に入る巨大皇国アナトリア。
その戦いの連鎖を・・・彼らは止められるのだろうか・・・。
―第2部:始祖達の遺産
集結する若き騎士達に与えられるのは新たな剣。
アナトリア皇国の思い通りに進む世界の流れに背くため、桜門とエストは互いに手をとり、戦争終結のための禁忌の力を使おうとしていた。
それは古代より世界に存在する『アーキデヴァイス』と呼ばれる兵器の存在だった。
エストの魔女はアーキデヴァイスの一つである『
緑光石の勾玉』を
石田幹久に託し、石を持つ者達で構成された騎士団の設立を宣言する。
『テトライリデセンツ』
『世界を照らす、虹の光となる者』で構成された桜木の特殊部隊。
特殊部隊に選ばれた4人の中に
樋川国重。その者の姿があった。
『今のオマエたちでは勝てない。だから、今は時間をかけて希望の火を灯す。』
それは、石田幹久の下での再修業を告げることで。
そして、未来を担う伝説の始まりだった。
事は4年後の最大の戦地『最後の審判』の日に向けて・・・。
彼らは歩みだした。
混沌の始まり、戦地『ニーベルング戦役』から4年の月日が経過した。
最後の審判と呼ばれるほど、世界はさらなる混迷へと進んでいた。
アナトリアは『天の扉』の存在を世界へ知らしめ、
一流の執行者として成長した四重の虹光もその混迷へと飛び込む。
天の扉と呼ばれる『世界の仕掛け』を目指す中、樋川国重だけは晴れない顔をしていた。
彼はその眼で、見てしまったのだ。
鶴谷と黒崎が抱く、この戦争の真意を。
疑念を持つ者は彼だけではなかった。
黒崎澪、桜剣の騎士もその一人。
彼女は知りすぎた。
そう桜木の最高評議会は決断し、彼女に対し暗殺を謀る。
その暗殺を命じられた人物とは・・・。
二人の騎士は扉の前で対峙する。
澪暗殺を未遂で終わらせた光一に対しても桜木の暗殺者は容赦なくその牙を剥く。光一の身代わりとなり傷を負った澪のその姿を目撃した樋川は光一に対し16の宝剣を展開する。
未来は、このときから変わり始めた。
本来なら、終結するはずの鎖は切れず、彼らの明日を担う子らに託された。
扉を前にして互いに命を削り合う二人の前に姿を現すのは、桜木の
鶴谷香澄。
光一を瀕死に追いやり、狂気の道へと進む国重に対し鶴谷香澄は手を差し伸べる。
『オマエは今から鶴谷と名乗り、桜木を継ぐのだ。天の扉を破壊する任を、一生掛けてオマエは完遂する。それこそが、親友への唯一の贖罪』
国重の取った行動とは。
光一と雪乃の運命は・・・。
子へと、未来へと紡がれる物語。ついに最終章へ。
桜木は数十年後に封印が解かれることになった『天の扉』への対抗手段として『桜門学園』を設立。
新たな未来を担う執行者の育成へと取り組んでいた。
光一はあの戦いの後から行方不明に。
澪は戦いで受けた傷によりまもなく病死。
雪乃は自身名を捨て、『葵』と名乗り世界の行く末を見守る執行者となった。
そして、鶴谷国重はあの戦役から14年の月日を桜門で送っていた。
『・・・野田・・・康治・・・?』
『初めまして、先輩。』
出会うのは最愛の人の姿と瓜二つな少年。
我が子らに、辛い未来を託すことになる・・・。
されど、これは私と彼の約束だから。
新たな物語と共に語り継がれる伝説の始まりである。
最終更新:2007年12月02日 17:29