第1話『始まりの鼓動』
混迷を極めた時代、アナトリア皇国は突如各国に対し宣戦布告を言い渡した。
武装の解除は、アナトリアの独裁を。
兵器開発に必要な『バレット』と呼ばれる物質の独占を目論むアナトリアに対し反旗を翻す勢力が一つ。
『独立国家・桜木』は小さい国ながらも、その技術力はどの国家にも負けないものがあった。
『Device』
奇跡の力、人の想いに呼応する『神にもっとも近い兵器』の開発に成功。その武力を持って、彼らは世界には歯向かおうとしていた。
流れは確実にアナトリア優勢へと傾いていた。
本土占領の時も近い。
兵器が開発されたとしても、使用者がいなければそれはただの鉄クズ同然なのだ。
そして、迎えるのは激戦地『ニーベルング』戦役。
敗走一色に染まりつつある桜門は本国までの撤退を余儀なくされていた。
そのときである。
管制室にまだ幼い少年の声がこだまする。
『データを送れ。二人で敵戦力を打破する』
名も無き傭兵二人。
その様子は世界を震撼させた。
たったの二人で次々と撃破されていくアナトリア軍。
一人は漆黒の銃を。
一人は銀に光る剣を手に。
初めて二人が世界に存在した史実。
桜木の総司令官は感じられずはいられなかっただろう。
身震いを覚えただろう。
確かな勝利への駒を、そのとき見たのだから。
『始まりの鼓動』を、そのとき感じ取ったのだから。
最終更新:2007年05月10日 14:08