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無題@練習1

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匿名ユーザー

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3 :名前はまだ無い :06/01/2701:49:16 ID:yh59wsFu

「なにやってるんだい!」

怒声とともに飛んできた食器が鈍い音を立てたあと、床に落ちて転がった。
木製といえども、性質上丈夫につくられているためそれは堅い。
痛む額に手を触れておそるおそる見てみると、わずかに血が滲んでいた。
見上げた先には母親の姿。その顔はあまりの怒りに真っ赤に染め上げられている。

「ごめんなさい、お母さん」
「謝れば許してもらえるとでも思ってるのかい?」
「……いいえ」
「あんたみたいなのはね、毎日食事にありつけてるだけでも幸せなんだよ。
普通は奴隷市場に売り払われてるか野垂れ死んでるかのどちらかだよ。せいぜい私に感謝することだね」
「はい、お母さん」

相手の目を見てはいけない。刃向かっていると思われてしまう。

「わかったらこの桶いっぱいに水を運んできな。一滴でもこぼしたら容赦しないよ!」
「はい、お母さん」

ただおずおずと下を向いていればいい。
泥にまみれ、まめの潰れたこのすりきれた手だけを見つめていればいい。



川は村のはずれにある。
母親から桶ふたつを受け取って(正確には投げ捨てられたのを拾って)、彼女を自宅を出た。
彼女の名前はシィラ。桃色の毛並みと、ガラス玉のような透き通った瞳が美しい少女のAAだ。
誰もが彼女の誕生を喜んだ。女神が生まれたと言った者までいた。
なのに頬に刻まれた印を見つけたとたん、彼らはあっさりと手のひらを返したのだ。

『役立たず』。家族の誰もが嫌悪の目を向け、まるで奴隷のようにこき扱う。
『傷モノ』。村中の人間が不吉だと陰から囁く。外に出ればいつも視線がからみつく。
『気持ち悪い』。子どもたちは自分を見るなり逃げ出し、茂みから石を投げつける。
『なぜ、どうして』。流す涙は既にない。ただ問いだけがいつもそこにある。

一見すれば花模様にも見えるこの印が彼女を底なしの闇へと突き落とした。
たかが印ひとつが何の意味を持つというのだろう。
疎まれる悲しさよりも、村人に対する憎しみよりも、従うがままの自分にまず腹が立つ。

やがて川にたどり着くとシィラは両手の桶を下ろした。
見れば、痛みと寒さのせいで手がすっかり赤くなってしまっている。
少しでも和らげようと息を吐きかけたものの効果はない。ただ白い煙だけが夜空へと上がっていった。
それを追いかけて彼女はそっと目を細める。この村で唯一誇れるものがあるとすれば、この満天の星々だ。
村人は同じAAであるはずの彼女に石を投げつける。こんなにも美しい星の下で生まれ育ったのにも関わらず、だ。
だから彼女は己に言い聞かせてきた。空を仰ぐことを忘れてしまった彼らより、自分は幸せなのだと。

(……なんて。嘘で塗り固められた幸せがいったい何になるっていうの?)

奴隷市場に売り払われる?ここから解放されるのなら喜んで。
野垂れ死に?それができたならどれだけいいだろう。
わかっていた。ずっと前からわかっていたのだ。


逃げ道など、既にない。

4 :名前はまだ無い :06/01/2701:49:57 ID:yh59wsFu
――――ならば。
どこまでも生き抜いてやろうではないか。
たとえどんな仕打ちを受けようと、どんなに罵られようと。
生きて生きて、生き抜いて。そうしていつかは。

「ミナゴロシにしてやる」

視野の狭い考え方しかできず、
ましてや空がなぜこれほどまでに美しいのか考え、楽しむ心を忘れた。

彼らに生きる価値は、ない。

静かな殺意を胸に秘めて、シィラは夜空に浮かぶ月を仰いだ。
なぜすぐに思い浮かばなかったのだろう。
次に自分が涙を流すのは復讐を達した時。この手で自由を奪い取った時。



「ぁは、ははははは」



そうして数年後、流れた涙は血の涙。
数多の人々は地に倒れ、炎の舌はあらゆるものを焼き尽くそうと夜空へと伸び。



「あハはははハハハはははははははは!!!!!」



星も、月も、あの空の色さえも彼女にはもう届かない。
残されたのはただ狂気のみ。



+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
練習させていただきました。一応このお話しはこれで完結です。
本当はモララエルが外の世界へ連れて行くという内容にしようと思ったのですが
上手く描写できなかったので今回のような尻切れトンボと相成りました。
で、自分で思うのがシィラ(しぃですね)が復讐を決意するにはパンチが弱いのと、
流れがいまいちわかりにくい(描写が足りない?)ということ。
この点を改善するにはどうしたらいいか、アドバイスをお願いします。

5 :名前はまだ無い :06/01/2722:43:30 ID:9DbkCXkX
>>3-4
ふいんき(ry大輔。
少しアドバイスを書いてみる。
参考になると良いのだけど。

小説の視点が突然変わって少し分かり難い。
一人称か三人称に統一すると良いと思う。
これはかなり主観的な意見になるけれど、後半を読んでると三人称で主人公の気持ちを描写するのが苦手では無さそうなので、
気をつければ直ぐに直せるかと。

シィラの復讐の決意については何とも言えないなあ。
復讐の決意とか、狂い始めたりするのにはたくさんパターンがあるから。
とりあえず三つだしてみる。
今回のには活かせないと思うけれど、次回何かの役に立てば。
一つは突然大きな事が起きて。
まあこれはこの物語にはあまり関係無い起き方だからあげるだけで。
次は酷い日常を送りながら少しずつ壊れていく感じ。
これは長編向きかな?
例えば苛められていた男の子は最初幸せになる事を夢見て、一生懸命生きているとする。
そんな日々を繰り返していくうちにだんだん此の儘では幸せになれない、と気付く。その理由を追求し、苛められているからと言う事に気付き復讐へ、とか。
最後にもう一つ。
これは上の二つを混ぜたような感じになるけれど、普段から少しずつ壊れていって、少し大きな事が起きてそこで覚醒したように。
大きな事は誰かに「復讐すれば?」と言われたから、に置き換えても良いかもしれない。

描写の割合については…、ごめ、苦手なんだ、凄く。
私があーだこーだ書くより、別の人の意見を仰ぐ方が良いと思うので書かないでおく。

後、あまり話には関係無い事だけれど、上手く描写出来ないなあ、と思っても、全力を傾けて続きも完成させて投稿するべきだと思う。
厳しい言葉を貰う事になるかもしれないが、自分では気付けなかった悪い点を指摘してくれる可能性もある。
それに一読者として、続きが読みた(ry
期待してます。頑張って下さい。

15 :3-4:06/02/04 12:45:54 ID:VRlBvBsh
>>5
遅くなってごめんなさい。

>ただおずおずと下を向いていればいい。
>泥にまみれ、まめの潰れたこのすりきれた手だけを見つめていればいい。

>川は村のはずれにある。
>母親から桶ふたつを受け取って~

小説の視点が突然変わってわかりにくい箇所ってここかな?
以後気を付けようと思います。といっても「そうなのかー」としか思えず
どう改善していいか全然わかっていない……(´・ω・`;)
「精神的に向上心のない者はばかだ」夏目漱石の言葉が身に沁みるこの頃。

>上手く描写出来ないなあ、と思っても、全力を傾けて続きも完成させて投稿するべきだと思う。
うーん、やっぱりそうですよね。
ちょっと思いついたことがあるので、>>4とは違う展開になるものを
>>3から続く感じで書いてみようと思います。

非常に参考になるアドバイスありがとうございます。
普段第三者の目から見てもらうことが少ないのでとてもありがたい。
もし気が向いたら次回のアドバイスもお願いできるでしょうか、なんて。

16 :名前はまだ無い :06/02/04 18:27:34 ID:0djMygGq
>>15
偉そうな事は言えないけど括弧で状況を説明するのは反則。

17 :3-4:06/02/05 13:19:59 ID:z66PsA5M
>>16
>母親から桶ふたつを受け取って(正確には投げ捨てられたのを拾って)、彼女を自宅を出た。

この部分ですよね。よく見る手法かと思ったんですが、反則でしたか。
次回から気を付けます。ご指摘ありがとうございました。

18 :名前はまだ無い :06/02/05 17:26:22 ID:J6ThIcJp
>>17
~~~受け取って――正確には投げ捨てられたのを拾って――、彼女を~~~
↑みたいに―(ダッシュ)を使えば良いと思われ。
 まぁ俺も全然上手くないから、参考程度、と。

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