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植物ホルモンによる微小管制御
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植物の細胞の形は、細胞膜の内側にある表層微小管と、細胞壁のセルロース微繊維の並び方で決まると考えられています。表層微小管がセルロース微繊維の形成を制御すると言われていますが、その仕組みはまだわかっていません。
私達は、表層微小管が植物ホルモンや環境刺激に応答して並び方を変え、細胞の形態を制御するしくみに興味を持って研究しています。
最近、植物ホルモンのアブシジン酸が微小管を脱重合させ、表皮細胞の形態を著しく変化させることを見出しました(Takatani et al. 2015、下図)。
アブシジン酸は種子成熟・気孔閉鎖・ストレス耐性に関わりますが、形態形成における機能はあまりわかっていません。この現象をより詳細に解析することで、アブシジン酸の新たな役割が明らかになるかもしれません。
写真は、アブシジン酸存在下でシロイヌナズナを生育し、胚軸の表皮細胞の形態と微小管を見たものです。表皮細胞から突起が出ているのがわかります。また、微小管が脱重合しており、残存した微小管は突起の伸長方向に対してほぼ垂直に並んでいます。

Takatani S, Hirayama T, Hashimoto T, Takahashi T, Motose H (2015) Abscisic acid induces ectopic outgrowth in epidermal cells through cortical microtubule reorganization in Arabidopsis thaliana. Scientific Reports 5:11364
www.nature.com/srep/2015/150612/srep11364/full/srep11364.html
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