不倶暗雲 ◆vSsR.v0xII
○E5・病院・病室
「あー、榊ちゃんもおるのんー? 」
一人の少女が泣き腫らした目で紙切れを読んでいた。
少女は、生気を失った様子でブツブツと何事か呟き、頷く。
「ごめんなー」
少女は病室の白いベッドから腰を上げ、フラフラと部屋を出ていく。
その右手に、一挺の銃を持って。
○E5・病院・受付
ジョルノ・ジョバァーナは新入りギャングである。
その彼が、病院の受付の棚を漁り、使えるものはないかと頑張って探していた。
「入団試験をクリアして組織に入れたのはいいが……いったいこれは何事だ?」
ひょっとして、これも試験の一環だろうか?
いや、それは無いだろう。
ポルポは消したし、バッジだって貰っている。
ギャング・スターになるためには汚い事もしなくてはならないことはわかっている。
だが、こんな何の意味も無い殺し合いを社会に根付く組織がやらせるはずがない。
あのギラーミンとかいう者がパッショーネのボスかとも思ったが。
幾らなんでもあんなのがボスなはずが無い。いやボスであってたまるか。
「さて、問題は僕がどう行動するかだが……」
ギャング・スターになるという夢をあきらめるつもりは毛頭ない。
おとなしく誰かに殺されるつもりもない。
だが、下手に自分から殺しまわって身の危険を増やすのは危険だ。
ジョルノは名簿を取り出し、名前を確認する。
「ヒロセコウイチ……彼も来ているのか……」
ジョルノは知り合いの名前を見つけ、とりあえず彼と合流しよう、と心に決めた。
一緒にこの窮地を脱出するにしても利用するにしても、知り合いと一緒にいるのは有益だ。
使えるものは見つからなかったので受付の探索はやめ、病院の奥に行って医薬品を探そうと考えた。
ふと、『スタンド』は出せるのかどうか気になり、『ゴールド・エクスペリエンス』を発現させる。
問題なくスタンドは出現し、ジョルノは胸を撫で下ろす。
「スタンドがあれば、戦う展開に陥っても少しは安心だ。さて、行くか……ん? 」
ガサザザッ、と大きな物音がジョルノの耳元に届く。
かなり近い……何か落ちたのだろうか?
振り向いたジョルノの、比喩でなく"目の前"に、暗い銃口がその腔を広げていた。
○E5・病院・受付
だんっ。
銃声が響き、変な髪形の少年が崩れ落ちた。
反動が肩を揺らし、あたしは歯を食いしばる。
彼の隣りにいきなり現れた変な幽霊(?)が、砂のようになって消えていく。
これはなんだったんだろうか。
ひょっとして、あたしに支給されたこの『石ころ帽子』のように、不思議なアイテムだったのかも知れない。
幽霊が突然出てきたのに驚いて思わず激しく物音を立ててしまったが、なんとか少年を暗殺する事ができた。
あたしは右目を撃ち抜かれて倒れた少年にもう一度銃の狙いをつけ、頭にもう一発弾丸を撃ち込む。
銃の扱い方は、親切丁寧な説明書がついていたお陰でわかった。
この少年は、どうやらわたしより年下のようだ。中学生くらいだろうか。
「外国の子かなー。ごめんなー」
あたしは少年に一言詫び、彼のディバッグを漁って内容物を自分のディバッグに移す。
作業を終え、病院の入り口に歩き出すあたし。
「みんなごめん……あたし、まだ死にたくないんやー」
もうすぐ修学旅行なんだ。
ちよちゃんたちと楽しく遊んで、いつも通りに生きていきたい。
だから、泣いて、泣いて、悩んで、悩んだ末、あたしは皆を殺すことにした。
あのギ何とかも、この石ころ帽子のようなアイテムがいっぱいあれば倒せるだろう。
もう、あたしの心は壊れてしまっているのかも知れない。
それほどに、今は生き残ること以外何も考えられなかった。
「あー……暗いなー……」
病院を出て見えた空は、まだまだ夜の中だった。
【ジョルノ・ジョバァーナ@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】
【残り60人】
【E-5 病院前/1日目 深夜】
【
春日歩@あずまんが大王】
[状態]:健康、心神喪失状態
[装備]:グロック17@BLACK LAGOON(残弾15/17、予備弾薬51)、石ころ帽子@
ドラえもん
[道具]:支給品一式×2 不明支給品(1~4)
[思考・状況]
1.生き残るために全員殺してギラーミンも殺し、現実に帰る。
【備考】
※
サカキを榊@あずまんが大王だと思っています。
※『石ころ帽子について』
制限により、原作準拠の物から以下の弱体化を受けています。
- 大きな物音、叫び声などを立てると、装備者から半径30m以内にいる者はそれを認識する。
- 鍛えた軍人レベル以上の五感を持つ者に対しては、上記の制限(距離、"大きな物音、叫び声"の判定)がより強化される。
(具体的には、より遠い距離、微かな気配でも装備者の姿が認識されやすくなる)
- さらに、常人のそれを超えた五感を持つ者に対しては完全に無効。
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最終更新:2012年11月26日 23:27