チーム・バチスタの栄光
宝島社文庫
海堂 尊
★×5
売れる本には売れる理由があるんだなあ、と思う本。
素直におもしろいです。
なんか売れてるなあ、くらいの前印象で手に取ったのですが、これは本当に売れるだけあるなと思います。
このミス、見直したよ!
「
沈む さかな」と「
そのケータイはXXで」でかなりこのミス不信に陥ってた時期に読んだので、ほんと嬉しい。
キャラ立ちまくりな登場人物もすごいし、白鳥が教えてくれる謎の聞き取り手法もすごい。
「アクティブフェーズ」「パッシブフェーズ」とかぐぐると海堂さん関連しか出てこないからたぶん自作理論ですよね…ほんとすごい。
専門家の目から見たらつっこみどころもあるのかもしれないけど、心理学をほんのちょっとかじった自分からは興味深い理論です。
たんにエンタテイメントとしての面白さだけでも優秀ですが、「Ai」「ドクターヘリ」なんかの言葉を一般人に浸透させるきっかけにもなってたりするんだろうなあと思うと、さらにすごいです。
お医者さんだから理系なんだろうに、文章もへたな作家より巧い。
多忙なはずなのに執筆スピードもすごくて、専門家ならではの知識や視点がビシビシ入ってて、これはもう半端な専業作家では追いつけないですね。
実はゴーストライターがいましたとか2人組でしたとか言われても納得できるかんじ。
「連載2本に、構想中の書き下ろし1本。月2回のテレビ出演に月約5回の講演、そして医師業務」ってオフィシャルサイトに書いてあるんですけど、大丈夫なの作者さん…
繰り返しになりますが、いやほんと、繰り返しになるけどキャラの立ちっぷりすごいです。
白鳥に似た知り合いがいるので、読んでる間中その人が頭の中にいて、それでよけいに親近感持ったのかもしれないけど。
「
ナイチンゲールの沈黙」も読んだけど、白鳥が出てきたら「やっと出た!」ってかんじでした。
「
ひかりの剣」は白鳥も田口も出てこないから物足りなかった…
ちょっとしたジャンキーです。
ちょっと意地悪に見ると、名前しか出てこないキャラがいるあたりは最初からシリーズ化を意識して書いていて、プロ意識というかあざとさを感じるというか…
あざとすぎるのは商業主義っぽくていやですが(中身で勝負しろよと思う)、これくらいなら全然OKです。
ちょっと、本の中身とは関係ない話。
この本、上下巻で文庫は各500円なのですが、本て高くなったなあと思う…
わりと薄っぺらいから1冊でもいけそうな気がするのに、わざわざ分けてるのも商業主義の表れなのかと邪推してみたり。
面白い本が読めなくなったら困るから出版社さんには儲けてほしい。
けど、消費者としては安いに越したことはないのです。
面白いと分かってる本は高くても買うなぁ。
ジャケ買いとかなんとなく買う機会は減るかな…。
こんな読者ですみません。
最終更新:2011年02月16日 13:29