吾輩は猫である殺人事件
新潮文庫
奥泉 光
★×5
漱石熱が高まった時に読みたくて探し出して読んだ本。
あれ、自分漱石好きなんじゃない?
って気付いたら何かしたくなって、「
こころ」を買ってみたり、青空文庫で短編を読んだりしていたのですが、自分の漱石の原点は「吾輩は猫である」なので、やっぱそこに行かなきゃだめでしょと思いまして。
「
新本格もどき」なんかからの流れもあって、「わが猫」(子供のころそう呼んでた)をパロった作品があると知って、探しました。探しましたとも。
あの猫が実は生きていたら…っていう設定だけで本家猫ファンとしては嬉しくなるのですけど、設定だけでなくてストーリーも文体も素晴らしかったです。文句無しです。
ちゃんと漱石を読んでる気分になれたよ!
どれくらい真似したらああなれるんだろう。
オリジナルのキャラたちもよかった。いい仕事してますね。
もっとこの作品には陽が当たってもいい気がするなあ。
文学コーナーの本家猫に並べて売った方がいいと思う。
堅苦しいイメージのブンガクの、新たな楽しみ方を提唱できますよ!
作者さんも漱石大好きらしいので、そういう意味でも読んでて幸せになれます。
オフィシャルサイトの
これを書くために自分は小説家になったのではないかと思った
ってどんな告白ですか…。運命の恋なんだぜ。
やっぱり小説に限らず、何かを始めるときに憧れから入るのはよくあることだもんなーと。
よく出来た小説だと思います。
って、自分でいえるくらいじゃないと、いまどき作家はやってられないので、いいました。
よくできた小説です!!!(力いっぱい)
もっと書いてー!
きちんと憧れを昇華できてない「
屋上ミサイル」とかはぜひこの境地までたどり着いてほしいものです。似てることがパクリと謗られるんじゃなくて、似ててすごいねって言ってもらえる世界もあるわけで。
最終更新:2011年03月18日 23:48