探偵助手の推測
「…言うと思ったよ、全く。」
ため息交じりに星は言った。
申し訳なさそうに月光は俯く。その横には当然流也もいる。
日が沈んできたのでいい加減拠点を探さざるを得なくなったのだが、あまり外との接点がない月光は結果として星を頼ることにしたのだ。
流也は「野宿でもいいんだけど」と言っているが、体に障るのでそれだけは避けたかった。
「全く、お前のお人よしもかわらねぇままだな。」
「すまんぜよ…。でも、放っておけなくて…。」
「分かってら。本当はうすうす気がついていたんだよ。」
星は笑いながら頬杖をついた。
「正直5人はきついものがあるが、お前の友人なんだろ?断る理由が何処にある。」
「星殿…。」
「
霧波 流也っつったな。私が
天河 星だ。改めてよろしく。」
星はすっと手を伸ばした。
「…いいのか?俺のことは気にかけなくてもいいのに…。」
「だから、月光の友人なんだろ?それに月光自身も気にかけているんだ。親切は素直に受け取れよ?」
「…ああ。なら、そうするよ。」
流也は星の手をとった。
「…それで、月光。『東』について絞るっつってたよな?」
「…そうだったぜよ…;」
流也は荷物の整理を兼ね、クランケと
ミサキと別室に移った。
「単純な予想なんじゃけどな…。」
「いいから。お前なりの考察を聞かせてくれよ。」
「…恐らく、
アカノミの言っていた『東』は、流也のことぜよ。」
「!」
星は少し驚いたが、そのリアクションには「予想通り」の意図も含まれていた。
「どうして、そう思うんだ?」
「急に『東』にこだわるようになったということは、それ以外の3方、あるいは4方が既に揃っていたことになるぜよ。」
月光は緊張を覚えながらも、考察を述べだした。
「そこで、あしはアースセイバーから聞いていた話を少し思い出したんじゃ。」
「アースセイバーが関係しているのか?」
「いや、直接ではないんじゃけど。」
「『
水波 ゲンブ』殿、『
火波 スザク』殿、『
ブランカ・白波』殿。この名前はきいたことがあるはずじゃ。」
「ゲンブとスザクが偽名だとは知っているが、まさか、四神になぞらえてその名前を?」
「ブランカ殿も一度偽名をつけられそうになったそうじゃ。それも『ビャッコ』じゃった。」
「成程な。『北』『南』『西』がそろっていることになる。」
「ついでに言うのなら、『
都シスイ』殿も『中央』だとおもうぜよ。」
「つまり、こういいたいんだな。ゲンブ、スザク、ブランカは、名字に全て『波』がつく。アカノミが『東』と言い出した時期に、いかせのごれに来た『波』は恐らく、流也だけだろうと。」
「もっとも、ただの考察じゃったから来ている保証はなかったぜよ。」
「…たく、幾分頭もよくなったじゃねえか。」
「伊達に星殿と20年近くつきあっとらんぜよ。」
星は「まぁ、しかし」といいながら立ち上がった。
「その考察があっているとはかぎらねぇ。今は経過を見るしかない。とりあえず、『
ヴァイス』とやらを追うしかなさそうだな。」
「そうじゃね。」
「実は、シドウが追っていた『白い闇』の可能性もあるんだ。十分に気をつけろよ。」
「それと、もうひとつ。」
星は小さなメモを取り出した。
「人探しの依頼だ。さっきミユカと
シグマがここにきた。シグマが母親を探しているらしい。」
「シグマ殿って、あの拾われた生物兵器の…?」
「ああ。詳細はそこにまとめておいた。並行して捜してくれ。」
「分かったぜよ。」
夕刻、『東』の拠点、仮確定。
この後、ストラウル跡地にて『正義の味方』が動き出すことを
『人外』の星とクランケは知らない。
最終更新:2011年06月10日 22:23