「主っ!ただいま戻りましたっ!」
障子を開いて開口一番。
エトレクは春美に向けて声をかけた。
春美は直ぐに振り返る。その眼には涙が既にたまっていた。
姿をみとめると彼女は飛び出し、エトレクの膝にすがりついた。
「おかえりなさい!よかった、本当によかったっ…!!」
「主…。」
エトレクは春美の心境を察し、暫く彼女を抱きかかえて黙っていた。
やがておちついた春美は、エトレクの姿がやけにぼろぼろなのに気がついた。
「エトレクさん…その格好、どうしたの?」
「…主、報告したいことがある。」
「…そっか。そんなことがあったのね。」
「
シン・シーも行動がエスカレートしてきてる。ゲンブさんが一度話し合いの場を持ちたいそうだ。」
「わかった。一応アースセイバーに連絡は入れておくよ。私はいつでも大丈夫だから。」
その返事をきいて、エトレクは少しほっとした。
また何時、何処で奴らが動き出すかわからない。もしかしたらもう一度「あの子」達が襲われるかもしれないと気が気ではなかったのだ。
「そして、主。俺の探し人がその関係で見つかりました。」
「本当!?よかったじゃない!」
「その、体が弱くてなかなか外に出られなかったらしくって…;」
自分の行動が徒労だと思い知るたびになんだか落ち込んでくる。
もっとも、そんなこと何度もあったわけだが。
「…よし、決めたよ、エトレクさん。」
「へ?」
「週に一度でいいから、あのあたりの地区の巡回をお願いしてもいいかな?」
「…はい?」
「今まではエトレクさんの事情を優先してたけど、時世も時世だし。」
「…いいのか?俺は子供を襲う都市伝説で…。」
「そんなこと今更だよ。エトレクさんは本当は優しい人なんだから。弱くないし。」
「主…。」
「…あ、それで思い出した。」
春美は小さな引き出しから何かを取り出した。
「
ミナミさんに頼んでいたのが出来たから、今の内に渡しておくね。」
そういって渡されたのは、青い筆字が刻まれた札が数枚。
「ああ、助かるぜ。というか、ミナミさんもよく時間裂いて作ったな;」
「皆、誰かのためなら何でもするよ。私も含めてね。」
「よし、了解した。あのあたりは道が入り組んでいたから、何処から来るかも分からないけどな;」
「一人いるだけでも十分だよ。あ、それともう一ついいかな?」
「ん?何だ?」
「『コインロッカーの少女』…、同じ都市伝説だったエトレクさんなら知ってるよね?」
「ああ。何度か顔は合わせている。」
「いつもは駅にいるらしいから一度訪問して…。」
「いや、その必要はないのでありマスよ。」
その声と共にキリが部屋に入って来た。背中に誰かを背負っている。
「
おかえり、キリ君。その後ろの子は?」
「『コインロッカーの少女』…本人は
黒井さんと名乗っていたのでありマス。小生の提案でこちらに。」
「! そっか!よかった!」
最終更新:2011年08月21日 13:51