主人公→ユウイ
ユウイの親友→○○
○○の彼氏→△△
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「お邪魔しまーす!」
「今親いないから学校みたいにはしゃいでも良いぞ」
「マジで!?やったー!」
榛名有依は、親友とテスト勉強をするため自分の家に一人の親友を招いた。
一人で勉強したってつまらない、どうせなら楽しみながら勉強をしたいと考えたのだ。
「ユーイ国語と美術教えてよ、私数学教えるからさー」
「美術はともかく国語教えろって言われてもなー…慣れだからどうにも出来ないよ。」
そんな他愛ない会話をし大量の本を持ちながら二人はユウイの部屋へと足を向かわせる。
部屋には必要最低限の物しか置いておらず、酷く殺風景に見えた。
そんな中で二人は机を挟んで向かい合うようにして座り、シャーペンを持って数学の本を開く。
「なぁ○○、ここがわかんないんだけど…」
「え?あ、ここはねー…」
ユウイが問い掛けると、○○は笑顔で本の空いているところにカリカリと公式を書き始めた。
しかし、突如としてその手は止められる。
「……○○?」
突然動きが停止した○○を不思議に思い、片眉を上げて怪訝な顔をしながら首を傾げる。それでも○○は動きを止めたまま。
シカトかよ、とユウイは少し怒りを覚えながら再び彼女の名前を呼んだ。
「なぁ○○どうしt
「……してたの?」
「はぁ?」
小さく聞こえた○○の声。だが小さすぎて何を言ったのか全くわからない。
ユウイは思わず間抜けな声を出した。
「今なんt
「今日学校で△△と何話してたって聞いてんのよ!!」
「はぁっ!?」
なんで今アイツの名前が出てくんだよ!!
…そう言いたかったが、それは言わなかった。いや、言えなかった。
自分の手スレスレに○○が持っているシャーペンが突き刺さっていたから。
机に深く刺さったそのシャーペンを見て、一気に血の気が引く。
「二人とも楽しそうだったね。ユウイ私の邪魔しないって言ったのに、付き合ってるの私なのに…言ったのに、言った言った…」
「邪魔って…!アタシはアイツとゲームの話をしてただけ!アタシはアイツのことどうも思ってないし、○○落ち着けって!!前も言っただろ?アタシが好きなのは…」
ユウイは机に片膝を乗せながら、俯いている○○の肩をゆさゆさと揺する。
だが○○は俯いたままユウイに揺すられ、顔を上げようとしない。
くそっ、とユウイは舌打ちを一つ。その直後、ユウイの目には
白い天井と黒髪の少女が見えた。
○○がユウイを机に押し倒したのだ。
「それに…あの人もゆった、最近△△が冷たいのは貴方のせいだって…ゆった…ゆったゆったゆった」
「だ、だからさぁ…」
狂ったかのように同じ言葉を続ける○○。
そんな彼女を見てユウイは真っ青になる。
「私の邪魔する嘘つきな親友なら…」
「……!い、いや!!やめて!!離してっ!!!」
○○の右手には先程机に刺さっていたシャーペン。そしてカチカチと音をたてながら出てくる尖った芯。
これだけ見せつけられれば今から自分の身に何が起こるのか嫌でも想像してしまう。
ユウイは必死に抵抗するが、馬乗りになられているため抜け出すことが出来ない。
「そんな親友いらないっ!!」
「やめっ──!!!ぁああああ゙あぁあ゙っ!!!」
果実が潰れたような音と共に、耳を塞ぎたくなるような叫び声が響く。
ユウイはシャーペンが刺さった右目を押さえながら激しすぎる痛みにのたうち回り机からどさりと落下した。
助けを求めるかのように伸ばされる血に赤く染まった右腕。
その時に見えた、親友の笑顔。
喜びと悲しみが入り交じったような、そんな笑顔。
だがその笑顔も次第に黒に染まっていく。
幾度か痙攣したユウイの瞳は光を失い、動かなくなった。
「はは……は」
これで
邪魔者はいなくなった。
○○はぴくりともしなくなったユウイを見て、肩を揺らして笑った。
そして、机の上に散乱している自分のテキスト等を静かに片付けていく。近くに目に異物が刺さって死んでいる者がいるというのに、まるで何もなかったかのような飄々とした表情で。
ユウイの両親は、○○が家に来ていることを知らない。ユウイの話によればいつも夜遅く帰ってくる、とのこと。
「じゃあね、ユーイ」
鞄を肩から提げるようにして持ちながら、床に転がっている返事をすることもないユウイの死体に陽気に別れを告げる。
そのまま、部屋の扉のドアノブへと手を伸ばす。
その時だった。
○○の頬スレスレに三本の針のようなものが飛んできたのは。
その針のようなものはカカカッ、とリズム良く音をたてて扉に突き刺さった。
「……え…」
○○は扉に刺さったものを見て、すっとんきょうな声を出した。
一体、何が起こったというのだろう。
○○の視界の端に映ったモノ、それは自分があの 邪魔者 を排除したモノと全く同じシャーペンだった。
邪魔者は殺したはず。この部屋に動くことが出来る者は自分一人。ならばこのシャーペンは誰が…?
○○は まさか と震え、ドアノブを片手で握ったままゆっくりと振り返る。
そこには片手の指の間に三本のシャーペンを挟んだ、両瞳を灰色に輝かせたユウイが片膝立ちをしてこちらを睨みつけていた。
その瞳と目が合うと同時に、○○は最高潮に達していた気分が一気に下がっていくのを感じた。
「やっ……いやぁああああ!!化けっ…化け物ぉおっ!!」
○○は心の底からの悲鳴をあげれば バン!! と扉を蹴破るようにして部屋から出ていく。それを逃がすまいとして飛んでくるいくつもの尖ったシャーペン。
「っう……○○ぅ…」
ユウイはシャーペンを止まることなく投げつけたまま、親友の名を涙混じりに呟く。
そこでプツリ、と彼女の意識は途切れた。
「っは……逃げ…逃げなきゃっ!!こ、殺され…殺されるっ!!」
ユウイの親友「だった」少女は、もうシャーペンは飛んできていないのにも関わらず、パニックで何度か前のめりになり転けそうにながらも暗闇の中を走り続けていた。
まさか、殺されるのがこんなにも怖いことだったなんて。
数分走り続けていると、何かの大きな音が響いた。
黄色いような、白いような光。
自分に迫ってくる巨大なモノ。
鳴り響くクラクション。
吹っ飛ばされる体。
○○は地面に叩き付けられて血を吐いた。
起き上がろうとしても体がいうことを聞いてくれない。
段々と視界が霞んでいく。少女の意識は、黒に染まった。
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あれから、数日の時が流れた。
○○は死んだ。
道路に飛び出し、大型トラックに跳ねられて。
酷いパニック状態だったらしい。
あの日以来、アタシはシャーペンを握るのが少し恐くなった。
それに、数学の成績もガタ落ち。
△△と言葉を交わすのも止めた。というか出来ない。
あの子を殺したのは他でもない、アタシだから。
…もうすぐクラス替えだ。
もう全て忘れてしまおう。あの日のこともあの子のことも。
そう思いながら、榛名有依は今日も教室へと足を踏み入れた。
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最終更新:2013年06月12日 21:51