「・・・・・・」
「そんなに警戒することねえだろ、啓介」
あの日、俺の全ては変わった。真衣を失い、友を失い。
道に迷う俺を拾ったのは聖さんだった。
―――――ウスワイヤ。それが、俺の新たな宿り木だ。
「するに決まってるだろう。真衣がああなった時、近くにいたのはあんただ」
「だからあれは俺のせいじゃねえって・・・・・・」
かなりうんざりしたように言う聖さんだが、はっきり言って信用ならない。
バイト先が突然爆破され、脱出が間に合わず重傷を負った俺を保護した聖さんは、自分の素性を語り、俺を引き入れた。
そして俺は知った。
ホウオウグループという闇の存在。その闇と、
ケイイチが戦っていたこと。
ウスワイヤの目的。アースセイバーの存在。そして―――――俺と、真衣。
「真衣の力は『流動制御』。半覚醒の力が暴走し、自分の時間を止めてしまったのは、あんたから受けた恐怖が原因だって聞いたんだが」
「う・・・・・・」
「それで自分のせいじゃないなんて、よく言えるな」
「・・・・・・」
聖さんは全ての能力者をいずれ根絶やしにする気らしい。だから、真衣が説得に応じなければ殺すつもりだったらしい。
銃口を向けられた真衣は、半覚醒の力が恐怖から暴走し、命を繋ぐために時間を止めてしまった。
それが、俺の聞いた真衣の今まで。
そして、
「・・・・・・俺がエスパーってのも、笑えないけどな」
俺の力。それは、言ってみれば念力で、予知で、瞬間移動で。
要するに、日本でも言われていた「超能力」と言う奴だ。真衣の力からするど遺伝らしいが、知る術はもはやない。
「・・・・・・」
「悪かった、悪かったよ。けどよ、バクのおっさんが帰ってくりゃちょっとは好転するかもだぜ」
「七篠教官か。けど、『悪夢』じゃなくても使えるのか? そうは思えないんだが」
「あー・・・んじゃ、あの居候だ。あいつの力で抑え込めば・・・いける、のか?」
真衣を目覚めさせる手段としては、時間を止めている原因である能力を一時的にでも除いてしまえばいいらしい。
それが出来る可能性があるのは、ウスワイヤで「後始末屋」として知られる七篠 獏也教官。
もう一人は、アースセイバーに居座っている同級生、景山 浩美。
「んーなことより、今はてめえのバイト先の調査だろ。空間ごと爆破されたって情報があるぜ」
「空間・・・イザボーワイズ。なるほど」
「・・・もうわかるか。さすがエスパー」
「黙れ。行くぞ」
自然、聖さんへの口調が荒くなる。だが直す気はない。
たとえ恩人でも、真衣を眠らせた原因の一つには違いないのだから。
そして、
(・・・能力者に未来はない、か)
ならば、
(作るまでだ。真衣の生きられる未来を。・・・たとえ、「人間」を滅ぼしても)
―――――過去に光。未来に闇。新しい宿り木が、俺を阻む。黒い翼が、俺を誘う。
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最終更新:2013年06月13日 21:05