「落ち着いた?」
結局、リリーナは”それ”に心配されるまで、顔面を蒼白させたままだった。
はっきり言えば、この状況なら行動は正しいのかも知れない。だが、彼女は別の理由で震えていた。
「ねえ、本当に大丈夫なの?」
「あ……」
いずれにせよ、この鼠は自分を心配してくれているのだ。
リリーナは今頃気付き、少し後悔した。
「ええ……私、何を取り乱していたのかしら」
「よかった」
普段のリリーナなら、すぐに対応出来たのだろうか、あの教室での出来事で動揺していた事も入れると仕方ないだろう。
その光景をリリーナが思い出した瞬間、中途半端な戦闘体制から少女の思考に完全に戻った。
教室の出来事と先程の白いフワフワの興奮で固まっていた感覚が溶けていったのだ。
「……」
急激な身体の冷え。リリーナの血の気が引いていく。
「やっぱり顔色悪いよ? 無理ないけどさ」
スピンのサングラス越しに、不安げな目が伺える。
リリーナは普通の女のコだ。極端な話、何の感情も無い殺戮兵器でもない限り、あの教室での凄まじい見世物を見て何も感じない筈が無い。
スピンから見れば、リリーナはか弱い女の子。
結局、リリーナは”それ”に心配されるまで、顔面を蒼白させたままだった。
はっきり言えば、この状況なら行動は正しいのかも知れない。だが、彼女は別の理由で震えていた。
「ねえ、本当に大丈夫なの?」
「あ……」
いずれにせよ、この鼠は自分を心配してくれているのだ。
リリーナは今頃気付き、少し後悔した。
「ええ……私、何を取り乱していたのかしら」
「よかった」
普段のリリーナなら、すぐに対応出来たのだろうか、あの教室での出来事で動揺していた事も入れると仕方ないだろう。
その光景をリリーナが思い出した瞬間、中途半端な戦闘体制から少女の思考に完全に戻った。
教室の出来事と先程の白いフワフワの興奮で固まっていた感覚が溶けていったのだ。
「……」
急激な身体の冷え。リリーナの血の気が引いていく。
「やっぱり顔色悪いよ? 無理ないけどさ」
スピンのサングラス越しに、不安げな目が伺える。
リリーナは普通の女のコだ。極端な話、何の感情も無い殺戮兵器でもない限り、あの教室での凄まじい見世物を見て何も感じない筈が無い。
スピンから見れば、リリーナはか弱い女の子。
実際はそうでも無かったが。
幾ら戦争を終結させる為とは言え、過去に彼女は200近い人々を葬っている。
戦争と言う状況で正気を保てた上にもはや戦い慣れた彼女なら、魔道書さえあれば白いフワフワどころかポーキーまで処理出来るだろう。
だが、正気を保っていた故に魔道書の無い彼女はただの無力な少女だ。
ただ、父親を失った揚句、何回も”人”を殺した経験を除けば。
幾ら戦争を終結させる為とは言え、過去に彼女は200近い人々を葬っている。
戦争と言う状況で正気を保てた上にもはや戦い慣れた彼女なら、魔道書さえあれば白いフワフワどころかポーキーまで処理出来るだろう。
だが、正気を保っていた故に魔道書の無い彼女はただの無力な少女だ。
ただ、父親を失った揚句、何回も”人”を殺した経験を除けば。
「……そうね、怯えている場合じゃないわ」
「うん、その意気!」
安心したのか、スピンも落ち着いた様に狭い通気路の角に座り込む。
「うん、その意気!」
安心したのか、スピンも落ち着いた様に狭い通気路の角に座り込む。
「ところでさ、白いフワフワを倒す為に聞いておきたい事があるんだけど」
リリーナはスピンに顔を向ける。
スピンが続けた。
「キミ――ああ、キミの名前、聞いてなかったね」
最初言いかけたところで、スピンは聞き直した。
「私はリリーナよ」
「ヨロシク、リリーナ」
そのまま再び、中断した質問を続け始めるスピン。
「リリーナの支給品、何だい?」
ポーキーから説明されていた、デイバッグに入っている筈の”それ”。
恐らく、いや、確実に。人殺しの道具。
「ボクは『フレイボム』って言う、小型の魔法式の地雷だった」
スピンは赤い小瓶をリリーナに見せ付ける。
要するに地面にこれを埋めといて、埋めた場所を踏むと火柱がボン、だそうだ。
「私の支給品……」
リリーナがデイバッグを探り始めようとした刹那、轟音が通気路の中に響く。
壁と壁の間を反響し、リリーナとスピンの鼓膜を突く。
リリーナはスピンに顔を向ける。
スピンが続けた。
「キミ――ああ、キミの名前、聞いてなかったね」
最初言いかけたところで、スピンは聞き直した。
「私はリリーナよ」
「ヨロシク、リリーナ」
そのまま再び、中断した質問を続け始めるスピン。
「リリーナの支給品、何だい?」
ポーキーから説明されていた、デイバッグに入っている筈の”それ”。
恐らく、いや、確実に。人殺しの道具。
「ボクは『フレイボム』って言う、小型の魔法式の地雷だった」
スピンは赤い小瓶をリリーナに見せ付ける。
要するに地面にこれを埋めといて、埋めた場所を踏むと火柱がボン、だそうだ。
「私の支給品……」
リリーナがデイバッグを探り始めようとした刹那、轟音が通気路の中に響く。
壁と壁の間を反響し、リリーナとスピンの鼓膜を突く。
「……入って来たのかな」
スピンは立ち上がって、音がした方向を一度振り向くと、鼻を再びリリーナに向けた。
「音はボク達がここに入った入口と、逆の方向から響いたんだ……リリーナ、入口まで下がれる?」
スピンならまだ歩いて行けるが、リリーナだとちょっと膝を折らないと入れなかった狭さの通気路。
リリーナは膝を擦りながら(タイツを履いているから余計に摩擦を感じる)、ぽっかりと空いた四角い穴から身体を出す。
病院は壁、廊下、ドアに到るまで穴だらけになっており、歩くのが困難になっている。
「リリーナ、考えがあるんだ」
リリーナの後から身体を出したスピンが、言った。
「病院の入口の真正面にフレイボムを埋めるよ」
これだけだと、ただ単純にフレイボムを説明書通りに使うだけだろう。
そのままスピンは続ける。
「フレイボムに包帯を結んでおいて、地面に包帯を長く出して置くんだ。あそこまでイッてるなら罠に気付かない上に素直に埋まっている包帯を調べようとするかもしれない。
救急箱位なら、すぐそこの部屋にあると思うし、目印を付けておけば、怪しい分気になるものだよ。特に、冷静さを失った人はね」
スピンは立ち上がって、音がした方向を一度振り向くと、鼻を再びリリーナに向けた。
「音はボク達がここに入った入口と、逆の方向から響いたんだ……リリーナ、入口まで下がれる?」
スピンならまだ歩いて行けるが、リリーナだとちょっと膝を折らないと入れなかった狭さの通気路。
リリーナは膝を擦りながら(タイツを履いているから余計に摩擦を感じる)、ぽっかりと空いた四角い穴から身体を出す。
病院は壁、廊下、ドアに到るまで穴だらけになっており、歩くのが困難になっている。
「リリーナ、考えがあるんだ」
リリーナの後から身体を出したスピンが、言った。
「病院の入口の真正面にフレイボムを埋めるよ」
これだけだと、ただ単純にフレイボムを説明書通りに使うだけだろう。
そのままスピンは続ける。
「フレイボムに包帯を結んでおいて、地面に包帯を長く出して置くんだ。あそこまでイッてるなら罠に気付かない上に素直に埋まっている包帯を調べようとするかもしれない。
救急箱位なら、すぐそこの部屋にあると思うし、目印を付けておけば、怪しい分気になるものだよ。特に、冷静さを失った人はね」
正確性の無い作戦だ。
そもそも本当に白いフワフワが、フレイボムに引っ掛かってくれるか自体分からない。
出ている包帯を怪しみ、近づかない――そもそも気付きもしなかったら?
第一、病院に穴を空けている。――入口からではなく、穴から出たら?
そもそも本当に白いフワフワが、フレイボムに引っ掛かってくれるか自体分からない。
出ている包帯を怪しみ、近づかない――そもそも気付きもしなかったら?
第一、病院に穴を空けている。――入口からではなく、穴から出たら?
そう考え、リリーナはスピンに声をかけようとしたが、スピンはその近くのドアに入っていってしまっていた後だった。
後先、考えているのだろうか。
後先、考えているのだろうか。
――その時、廊下の奥に振り向いたリリーナの視界に、白いフワフワが入った。
【K-2…病院内 朝】
【名前:マロ(マリオRPG)
健康状態:暴走
武装:邪神のメダリオン
所持品:支給品
現在位置:K-2 病院内通路
備考:暴走中。】
【名前:マロ(マリオRPG)
健康状態:暴走
武装:邪神のメダリオン
所持品:支給品
現在位置:K-2 病院内通路
備考:暴走中。】
【名前:リリーナ(FE封印)
健康状態:戦慄
武装:無し
所持品:支給品一式(武器含む)
現在位置:K-2 病院内通路
第一行動方針:早くスピンに白いフワフワの事を伝える
第二行動方針:スピンと一緒に病院から脱出する
第三行動方針:ロイを捜す
最終行動方針:ロイと合流してゲームを潰す
】
健康状態:戦慄
武装:無し
所持品:支給品一式(武器含む)
現在位置:K-2 病院内通路
第一行動方針:早くスピンに白いフワフワの事を伝える
第二行動方針:スピンと一緒に病院から脱出する
第三行動方針:ロイを捜す
最終行動方針:ロイと合流してゲームを潰す
】
【名前:スピン(星のカービィ)
健康状態:良好
武装:無し
所持品:支給品一式 フレイボム@FE烈火/残り3個
現在位置:K-2 病院内部屋
第一行動方針:包帯(救急箱)を探し出す
第二行動方針:リリーナと一緒に病院から脱出
第三行動方針:ドロッチェと合流する
最終行動方針:ドロッチェとゲームから脱出する
備考:マロに気付いていません】
健康状態:良好
武装:無し
所持品:支給品一式 フレイボム@FE烈火/残り3個
現在位置:K-2 病院内部屋
第一行動方針:包帯(救急箱)を探し出す
第二行動方針:リリーナと一緒に病院から脱出
第三行動方針:ドロッチェと合流する
最終行動方針:ドロッチェとゲームから脱出する
備考:マロに気付いていません】