- ユーザー名
- 質問のタイトル
手紙を書くことが面倒臭い
- 質問の内容
親戚やお世話になっている人に手紙を出したいと思いつつも、電子メールに慣れてしまったためか手紙を書くことに気負いを感じてしまいます。もういい年齢なのでさりげなく手紙を出せる人になりたいのですが…。
- 質問のジャンル
文学
- おすすめする本(タイトル/著者/出版社)
三島由紀夫レター教室/三島由紀夫/ちくま文庫
- 書評
年賀状や暑中見舞いなど以外のなんでもない時に、きれいな便箋に入った手紙が届くととても嬉しいですよね。とくに相手がどんな日常を過ごしているのかが感じられる手紙は、その人と一緒に話をしている気もして楽しいものです。私は手紙を書くことが大好きです。相手のことを考えて葉書を選んで、ペンを選んで、切手も選んで…文章も「書きながら考えをまとめていく」ぐらいのおおらかさで話すようにどんどん書いてしまいます。「そんな手紙は若者だけが許されるのでは?」いいえ、文豪である三島由紀夫ウィットにとんだ「手紙集」を書いていますよ。
この小説は職業も年齢も異なる男女5人が繰り広げる様々な人間模様を、全て手紙形式で表現した小説です。手紙の文面から、彼らが恋愛したり、嫉妬して裏工作をしたり、借金をしていることを読者は想像できます。目次をみても、「有名人へのファンレター」「肉体的な愛の申し込み」「同性への愛の告白」などふるっています。手紙は、老若男女のあらゆる組み合わせのパターンで送られますが、そのどれもがのびのびとした文面であり、しかも美しい日本語です。中には相手を嫉妬させるために、わざと高飛車に書いた文もありますが、それでも品があります。内容は外国のしゃれた戯曲のように進んでいき、最後は「作者から読者への手紙」という粋なあとがきで終わります。
普段お世話になっている人に対してだからこそ、自分の想いを誠実に丁寧に表現することが手紙には重要なのだと、この本を読むとつくづく感じます。
最後に彼の文章を引用。「私は手紙の第一要件だけを言っておきたい。それは。あて名をまちがいなく書くことです。これをまちがえたら、ていねいな言葉を千万言並べても、帳消しになってしまいます。」