- ユーザー名
- 質問のタイトル
現代の家族像
- 質問の内容
学校の課題で「家族論」についてのレポートが出ました。他の人は歴史学やジェンダー論からアプローチするようですが、それ以外で面白そうなアプローチができる本はありますか?
- 質問のジャンル
家族社会学
- おすすめする本(タイトル/著者/出版社)
パラサイト・シングルの時代/山田昌弘/ちくま新書
- 書評
レポートを一本書くには少なくとも3冊は参考文献を用意して書き進めた方が論が深く展開できると思います。今回はそのうちのベースとなる本を紹介します。
パラサイト・シングルとは著者が定義した言葉で、成人後も親と同居しリッチな生活をする未婚者のことです。本書では人口学的な側面から論じて、パラサイト・シングルが増加することで晩婚化・未婚化が進み、大問題となっている少子化社会をひき起こしていると述べています。また彼らを生み出した日本社会の条件を検討する中で、彼らの「宿り主」である親の意識も分析されていきます。
「サラリーマン―専業主婦」という家族モデルに(無意識的であれ)こだわり続けるからこそ、パラサイトが増えるというロジックが浮き彫りになります。家族のリストラクチュアリングが求められる現代では、家族のあり方の多様性が求められ、同棲・離婚・再婚といったことへの偏見を減らし、様々なライフスタイルをとりながら、若者が結婚・出産・子育て期を乗り切りやすくすることが重要だといえます。
一方で、将来、高齢化が進行し、親世代のリストラなどとも重なり、親は自身の生活に手一杯で子の面倒まで見れなくなりパラサイト・シングルは自然に消滅するという説もあります。だから、資産家の子どもはパラサイトし続けることが可能な一方で、豊かでない親を持つ子どもは貧困状態を迎えることになります。つまり親の経済状態による階層格差の拡大が想定されるのです。資本主義社会とはいえ、冷静に考えると恐ろしいことです。
しかしパラサイト・シングルをなくすことが重要なのではなく、日本社会の衰退と共にパラサイト・シングルがいなくなっても意味がないのです。大事なのは日本社会の活性化であり、日本が人々にとって夢を持てる国になることでしょう。
本書の観点を踏まえたうえで、話題の「負け犬」を再検討してみると、彼女らは可処分所得が多い上に自活しているという点で新しい意味づけができると思います。レポートの方向性はいくらでも広がるテーマなので、楽しみながらレポートを書いてみてください。