- ユーザー名
- 質問のタイトル
芸術入門
- 質問の内容
私は芸術的センスがなく、絵も下手だし楽器も弾けません。ましてや何が良いとか悪いとかは全く分からず、そもそも芸術自体何が何だか分かりません。でも単純に興味はあるのです・・・
- 質問のジャンル
芸術
- おすすめする本(タイトル/著者/出版社)
カメラの前のモノローグ/マリオ・A/講談社現代新書
- 書評
この本はドイツ人の写真家、マリオ・Aが3人の日本の芸術家、小説家の埴谷雄高、洋画家の猪熊弦一郎、作曲家の武満徹、にインタビューをした際の彼らの言葉が綴られています。彼らは自らの芸術活動、芸術観、そして彼らが共通して体験した戦争が芸術活動にどう影響を与えたのか語っています。
例えば、埴谷雄高は小説を書くという行為を、絶対に人間が抗うことのできない社会的あるいは自然的重力にどういいうふうに抵抗するかを表すことで、そのために1番自由な形式が小説だ、と言います。表現方法として自由な形式が小説ならば、小説を書く状態、「人間として自由でいられる状態」とはどんな状態なのでしょうか?埴谷氏が挙げている1つの状態は「夢を見てる」という状態です。よって、夢を見るのは小説を書いていることに等しく、誰でも小説家になれるという訳です。何だか少し小説家が身近に感じられるような気がしませんか?
武満徹も自らの芸術活動を「特別な仕事」ではなく、会社員が会社に働きに行くように作曲をすることと言っています。むしろ、芸術は「何でもない普通のこと」であると捉え、私たちが芸術家に対して抱きがちのイメージ、「変人ぶっていてネクタイは絶対に身に付けず、長髪でベレー帽をかぶっている」といったいわゆる芸術家タイプに嫌悪感すら示しています。そして、彼はさらに私たち1人1人人間全部がこれからは芸術的な生活をするべきだと指摘しています。
3人の言葉を眺めていると案外芸術って私たちが思う程特別なことじゃないのかもしれないと思えてきます。しかし逆説的でありますが、何が彼らを芸術家たらしめているのかも同時に気付かされるかもしれませんが…