- ユーザー名
- 質問のタイトル
企業の存在意義
- 質問の内容
企業は本当に利潤を最大化しようとするのでしょうか。企業は何のために存在し、どのように行動するのか教えてください。
- 質問のジャンル
経営
- おすすめする本(タイトル/著者/出版社)
ビジョナリーカンパニー/ジェームズ・C・コリンズ、ジェリー・I・ポラス/日経BP出版センター
- 書評
本書は、フォードやソニー、IBMといった周知の超一流企業「ビジョナリーカンパニー」を、GMやケンウッド、バローズといった各々の同業他社である一流企業と比較し、その差異が何に起因するかを議論したものだ。利潤の最大化が企業活動の一側面でしかないことが、ふんだんな具体例と共に示されている。
要点を記述すると、基本理念を維持し、進歩を促す仕組みこそが、ビジョナリーカンパニーの本質であるという。顧客へのサービスを至上価値とするノードストローム、痛みと病気の軽減に自負を抱くジョンソン&ジョンソン、夢と創造力と魔法で人々を幸せにすると唱えるウォルト・ディズニー。基本理念が正しいかどうかではなく、いかに企業活動に基本理念を徹底させ、基本理念以外に新陳代謝を促す仕組みが整っているかが問題なのだ。
基本理念とは、顧客に提供する価値への思い入れである。簡単に言ってしまえば、「なぜその商品を売りたいのか」ということだ。その回答は、利潤を最大化するためではなく、どうしても売りたい理由、売らなければならない理由、すなわち基本理念があるからだ。利潤の最大化は、基本理念を達成しようとする企業活動の結果でしかない。
中盤以降は、基本理念を維持し、進歩を促す具体的な仕組みについての記述が続く。「社運を賭けた大胆な目標」「カルトのような文化」「決して満足しない」「大量のものを試して、うまくいったものを残す」など。ビジネス書にありがちな、辟易するような戦術の羅列というより、具体性を抑えた戦略の位相で議論が進む点も、本書の特徴である。
上記の中で特に印象に残ったのは、「カルトのような文化」である。これは、ビジョナリーカンパニーが、基本理念の正統性を企業内で確立するために、基本理念を体現する強固な組織文化を作り上げているという指摘である。政治学の概念で分析すると、3次元的な権力を行使しているというところだろうか。
マルボロを製造するフィリップモリスについて、こんな話が掲載されている。「経営陣のフロアにはタバコの煙が充満していて、その住人はポケットからタバコの箱を取り出し、タバコに火をつけ、その箱をデスクやテーブルの上にぽんと投げて、さあ見てくれ、と言わんばかりの態度をとる。」