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は!か!た!と!と!ら! - (2009/02/09 (月) 23:27:52) のソース
*は!か!た!と!と!ら! ◆Ed12amu0fk ---- 純粋に、怖いと感じた。 手のりタイガーと恐れられる傍若無人にして最強の名を欲しいままとする少女、逢坂大河も本質はただの高校生なのだ。 何の前触れもなしに知らない所へ連れてこられ、殺し合いをしろなどと言われ、目の前で人を殺された。常人の神経で耐え切れるような話ではない。 もちろん人殺しなんてしたいはずはない。だけど、もし殺人鬼に襲いかかられでもしたら? 汗まみれの手に握っているのは自らに支給された妙ちきりんな剣。冗談のようなデザインをしているが、しっかりと肉を斬り落とすことができる刃が備え付けられているのだ。 そりゃ自分がよく握っていた木刀も、使いようによっては危ないけど……刃がついてるこれとは根本的に訳が違うのだ。 この剣で戦って、人を殺すことなってしまったらどうしよう。 それ以前にここまで怯えきった自分が、素人相手にでも応戦できるかすら疑わしい。大体むこうが爆弾でも持っていたらいかに腕に自信がっても勝ち目は殆どあるまい。 そんな嫌な考えを大河は頭を振って吹き飛ばす。そんなことを考えるのはやめよう。大丈夫、きっとなんとかなるんだ。 きっとこの悪夢もなんとかできて、無事に竜児やみのりんや北村くん、ついでにばかちーがいる日常に帰れるんだから。 おそるおそる、暗い闇を照らす月の下で大河は再び林道を進みはじめようとした、その瞬間だった。 「っ……!」 ガサリと近くの茂みから音がした。 反射的に剣――説明書によるとバスタードチルノソードというらしい、それを茂みの方へ向ける。恐怖から、それを掴む腕はすっかり痙攣したかのように震えているのだが。 くそ。ちくしょう。今の自分の情けなさに内心で果てしなく毒づき続ける。ああ、ばかちーの嘲笑が聞こえるようだぞ。ついでに竜児の苦笑も見えた気がした。心中でぶん殴った。 「だ、誰っ……!?」 せめて顔だけでも張り詰めて、大河は茂みを睨んだ。 するとその問いに答えるように茂みから小さい影が飛び出してくる。 それは大河が想像していた、誰とも知らぬ人間でもない。それどころか予想だにしなかった生物。 「オレサマは! のめした調味料は数知れず!」 塩。 正確には塩の詰まった袋。しかも真ん中にばっちり参加者の証である首輪(むしろ胴輪?)を巻いている。 さらにそれが誰かによって投げられたというわけでもなかった。 その塩袋は飛び出してそのまま地面に落ちることもなくしっかりと着地し、袋の上下左右のはしっこ(腕や足にあたるもの?)を使って器用にポーズを取りながら、 「塩の王様、は・か・た・の・し・お!! だぜっ!!」 と、妙に可愛らしい声で叫んだのだった。 「…………………は?」 あまりに唐突で信じられない状況に、大河は思わずバスタードチルノソードを握った腕を下げていた。 ● 「はーん、それじゃヒトを殺そうって気はないんだな。ヘンテコリンな剣持ってるからそうじゃないかとは思ってたけど。 つーか剣ってうらやましーな、オレサマなんてバンパーとかしじみとかしかなかったんだよ」 「だ、だって……こんな状況なのよ! け、警戒するのは仕方ないでしょ!」 衝撃の邂逅の後、一方的にかつ偉そうに大河は『伯方の塩』と名乗った塩の袋に落ち着かせられ、なんだか強引に情報交換を余儀なくさせられていた。 といっても殆ど伯方の塩が一方的に喋ってるだけなのだが。っていうかどこから声出してんだこれ。 「まあいいよ。オレサマは寛大だから特別に許してやる! だってオレサマは、は・か・た・の・し・お! だからな!」 よく分からない自信と共に伯方の塩は胸を張る(胸がどこかは分からないけど)。 「で、アイサカタイガだっけ? 長いからティガーな。決定。はい決定。でだ、ティガー! お前オレサマのAIBO☆になる気はないか!?」 「はぁ!? あ、AIBO☆? ……何よそれ」 「そうだ、部下部下。オレサマ伯方の塩の忠実なシモベであり、このアホンダラゲームをぶっつぶす選ばれし英雄なり!」 「シモベって、それ相棒って言わないでしょ」 びしっと袋の右上で月を指差す(やっぱり腕にあたる部位らしい)。にすかさず大河はつっこまざるを得ないとこにつっこんだ。 恐怖は無くなったものの、変わりになんとなくこの塩に面倒くささを感じて微妙にイヤな感じである。 一応、言ってることは頼もしいように聞こえないこともない。見た目が塩袋なのであんましカッコよくはなかったけど。 「でも……ゲームをぶっつぶすって、この殺し合いから脱出する……ってことなの?」 「そうだよ! ハッキリいって調味料的にこのゲームはこの上なく不快だ! あと右上と左上ってヤツもムカつくし! オレサマとキャラ被ってる!」 いや、被ってないと思う。とは何となくツッコまなかった。代わりにひっぱたいたけど。 だけど。 いつの間にか大河は胸の内が暖かくなっていたことに気づいた。 ひっぱたかれたことに小さい袋の身体をよじって抗議する伯方の塩を見つめながら、大河は無意識に胸に手を当てた。 ただの塩袋でも、変なテンションでも、ぶっちゃけうざくても殺し合いに立ち向かおうとしている人(?)がいた。それだけで安心できた。 (そうよね。こんなんでビビるなんて私らしくもない! あんな連中、ひきずりたおしてぶっちのめしてぶっころしてまかり通ってモ、モグ、モルグにぶちこむ! それでこそ私ってもんよ。……は、こんな塩でホッとするなんてばかちーに見られたら腹筋が爆発四散するぐらい笑われちゃうじゃない) ちらっと見た伯方の塩が雄弁に語るその姿は、全然頼りない塩でもほんの一瞬だけ大きく見えた。 誇らしげに「は! か! た! の! し! お!」と叫ぶ声も、まるで正義のヒーローのような男らしい声に聞こえた気がした。 「いいじゃない。シモベになるのはあんただけど、その話乗ってやるわよ! この殺し合いから、だっしゅ」 「わかったよしお前はシモベだ! 三食昼寝つきだ! はい決定! さあいくぞティガー!」 「話聞けこのお塩!! 竜児が作る晩飯に使わせるぞ!!」 大切なセリフを途中で強引にカットした伯方の塩はぴょいんと飛び跳ねると林道をまっすぐつっぱしり始めた。それにしても一体どういう原理で動いてるのかこの塩は。 「行くぜ! ぶちかますぜ! 塩は小粒でもピリリと辛いぜ! あんどれ~かんどれ~! さぁ合い言葉はぁぁぁぁぁぁ!」 そして月夜に向かって高らかに声を上げる。 「はっ! かっ! たっ! のっ! し・おっ!」 「おーい、なんでノらないんだよ。てぃがーくうきよめ」 「……ついてけないんだけど」 そしてこの塩についてって本当に大丈夫なのか、ひどく不安になっている大河なのであった。 【B-1 館付近の林道/一日目・深夜】 【逢坂大河@とらドラ!】 [状態]:健康 [装備]:バスタードチルノソード@東方project派生 [道具]:支給品一式×2 ランダム支給品(0~2) [思考・状況] 1:とりあえず、伯方の塩と同行 2:殺し合いをせずに脱出する 【伯方の塩@伯方の塩】 [状態]:は!か!た!の!し!お! [装備]:なし [道具]:支給品一式×2 バンパーx3@大乱闘スマッシュブラザーズX しじみ@松岡修造、ランダム支給品(0~1) [思考・状況] 基本:は!か!た!の!し!お! 1:AIBO☆を増やして殺し合いを打破 2:それにしても人間になりたい ※首輪は胴輪のようになっています ※体内の塩が大量に抜けると危険なようです。 また、身体である袋の強度は人間の皮膚と大差ないようです 【バスタードチルノソード@東方project派生】 当たり剣、スイカソード、チョコエッジ2枚、ウエハースブレイド2枚の構成からなっている、 アドベントチルノの使用する剣。クラウドの剣みたいに分解、結合させることが可能である。 その見た目に反して、強力なモンスターと普通に張り合えるぐらいには使える剣。 【バンパーx3@大乱闘スマッシュブラザーズX】 三個セット。空中に仕掛けたり、地面に設置することができる。 ぶつかると大きくふっとばされ、吹っ飛んだ先にまたバンパーがあろうものなら…… ガションガションガションガションガションガションガションガションガションガションガション!!!!!! 【しじみ@松岡修造】 しじみがトゥルル♪ |sm20:[[月に吠える]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|sm:[[]]| |sm20:[[月に吠える]]|[[投下順>00~50]]|sm22:[[]]| ||逢坂大河|sm:[[]]| ||伯方の塩|sm:[[]]| ----