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  • どうしてこうなったⅠ

どうしてこうなったⅠ

最終更新:2009年08月02日 21:51

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だれでも歓迎! 編集

どうしてこうなったⅠ ◆jVERyrq1dU




「残り32人……もう半数切ったのか……」

放送で右上が言った、残り半数という言葉が耳に残る。なんだか意外だった。
こんな俺でもここまで生きてこられたのだ、と無駄に誇らしい気分になってしまう。
カイトは名簿を取り出し、死者の名前に斜線を引いた。クラッシャーの名前に斜線を引いた時、心地よい達成感を感じた。

(もう、半分……もしかしたら、いけるかも……生き残れるかもしれねえ)
カイトは自嘲気味に笑う。生き残ると言うのはつまり優勝すると言う事なのだが、
そのためには兄弟やアレクのような仲間も殺さなければならない。
そんなことまで考えて、カイトが『いけるかも』と考えたのかどうかは定かではない。

(残り半分。残り半分だ。いける。きっといける。今までの俺でもここまで生き残って来れたんだ。
 力を手に入れた俺なら、後半戦だってきっと……!)

辺りを見回す。そういえば、クラッシャーの死体の上半身がどこかに飛んで行ってしまっている。
出来ればリンに、今まで彼女を苦しめてきたクラッシャーの死体を見せたいと思っていたので、上半身を探す事にした。
クラッシャーの無残な姿を見た時のリンの反応が楽しみだ。きっと洗脳が解けて元のリンに戻り、感謝してくれるだろう。
本当に、楽しみだ。

▼ ▼ ▼

得体の知れないざわめきがリンの胸を焦がした。何かが、決定的な何かがつい先ほど起こった気がする。
私の知らない所で、私の知らない間にきっと何か恐ろしい出来事が起こった。間違いない。
奇妙なくらいに嫌悪感を催すその胸騒ぎは、ロードローラーで北へと走れば走るほど、一層強くリンの胸をざわめかせる。
何かが起きたのだ。リンは胸を押さえて、確信する。根拠なんて何もないが『予感』で分かる。
もうすぐ途方もない悲しみが私を襲うはずだ。

そして放送が流れる。リンは首を傾けて、夜空に浮かんだ右上の姿を涙を流しながら睨んだ。

放送が流れ終わり、リンはロードローラーを止めひとしきり泣いた。
身分の低いクラッシャーのために涙を流すなど、過去の自分からは考えられない事だった。
この殺し合いに放り込まれてから、リンの価値感は劇的に変化した。ここは誰もが同じ立場に立ち身分関係なしに殺し合う世界。
その世界でリンは痛みを知り、自分はどんな人間も逆らう事が出来ない高貴な王女などではなく、一人の娘だと言う事と
拷問されれば苦しいし、処刑されれば死んでしまう下劣な奴隷どもと自分は同じという事に気付いた。

ちっぽけな自分に気づいてからは、クラッシャーの存在がとても愛おしく思えるようになった。
気付くまでは高貴な身分であるリンを守るのは当然の事だとクラッシャーに欠片も感謝していなかった。
そうではないのだ。クラッシャーは、リンが高い身分に位置する人間だから守っていたわけではない。
リンという一人のちっぽけな娘を有り難い事に大切な存在と見なしてくれて、非力なリンを守っていたのだ。

無償で、優しく、文句を言われても決して離れずにいてくれた。
駅での戦いの間、ずっと私の事を最優先に考えていてくれた。
かつて愛しかったあの人は、早々に私を見捨てたと言うのに……

かつて王女だった少女の価値感は完全に崩壊し、残ったのは一人の娘。
死ぬ事に、苦しい事に、悲しい事に身分なんて関係ない。刺されれば痛いし、殴られたら骨が折れるし、切られれば死ぬ。
この世界はそんな世界。非力なリンが殺し合いを制する事など今考えてみれば到底出来るはずもない。
心の底から信頼出来て、頼れる存在は、レンを除くとクラッシャーしかいない。
この世界では自分を守ってくれる人間とは、当然のようにいるものではなく、代わりのきかないかけがえのない存在なのだ。

それなのに、それなのにクラッシャーは死んでしまった。勝手に私の言いつけを破って勝手に死んだ。

「どうして……!どうして私を置いて逝くのよクラッシャー……!レンとはいつまで経っても会えないし、私はこれからどうすればいいのよっ!」

ロードローラーのハンドルに顔を埋めてリンは泣き叫んだ。絶望に身を震わせ、自暴自棄になりハンドルに額を何度もぶつける。
子供のようにわんわんと泣き叫び、彼岸へと逝ってしまったクラッシャーの名前を何度も叫んだ。
助けて、助けてクラッシャー。貴方がいないと私は死んでしまう……!他の参加者達は誰も私に優しくしてくれないわ……!
貴方だけが、貴方だけが私を王女様として扱ってくれたのに────

「リ、リンか!?そこで泣いているのはリンなのか!?」
ふと気付くと、目の前にリンを見捨て、保身に走ったかつての思い人が立っていた。
リンはロードローラーの運転席に座ったまま、泣きはらした目でカイトへと視線を向けた。
「カイト様……」
未だに『様』とつけてしまったのは、単なる習慣でそう呼んでしまったのか、
それとも未だに自分はカイトの事を愛しているのか、リンにははっきりと判断できなかった。

「な、泣き声が聞こえて、もしかしたらと思って来てみたんだ。無事で良かった!本当に」
ロードローラーの正面に立って声をかける。カイトの目には涙が滲んでいた。
「本当に心配していたんだ。俺がお前を元に戻す前に、お前に死なれたらどうしようかと……俺は……俺は」
リンは何故か懐かしい気持ちになった。カイトは自分の事を思ってくれている。
今までずっと愛してきたカイト様のように、私の事を思ってくれている。

(なんだ。今まで通りじゃない。カイト様優しいし、下劣な奴隷は傍にいない)

もしかして、あの駅での一件は全て夢だったのではないだろうか……
本当はクラッシャーなんて初めからいなくて、カイト様だって本当は優しく接してくれていたのに、
私が勝手に混乱してあのような酷い妄想をしてしまったのではないだろうか……

「来てくれ、リン。お前に見せたいものがあるんだ。今までお前を苦しめ続け来た極悪人の、なれの果てを見せてやる」
カイトが歩き出す。リンは少しの間、カイトを信じていいのかどうか逡巡したが、
カイトの「来いよ!」という自信に満ちた声に押され、流されるままアクセルを軽く踏みゆっくりとカイトの後を追った。

「駅では少し情けない姿を見せちまったけど、これからは心配しなくていいぜ?
 これからは俺が守ってやる。今までカッコ悪いところばっかり見せてきたけどさ、安心していい。
 なんつったって俺はお前の兄ちゃんだもんな!」

違う。貴方は私の兄などではない。相変わらず私達の間には何らかの食い違いがあるようだ。
しかし、違和感こそあれど、今のカイト様の言葉には、駅の時とは違う、安心感のようなものがあった。
この人ならきっとどんな逆境にも負けない。そう感じさせるほど、今のカイト様は自信に充ち溢れている。
そんなカイト様の言葉に耳を傾けながら、私はふらふらと後を追う。

今のカイト様を見ていると、本当に駅での一件は夢だったのではないかと思えてくる。
妄想染みた馬鹿な考えだとは自分でも気づいている。けれど、本当にそう感じてしまうのだ。
カイト様が元に戻ったからなのか、あるいは駅での一件を、クラッシャーの存在をなかったことにしたいから、
私はそんな妄想に取りつかれているのかもしれない。

カイト様が先導して辿り着いた所には、三人の人間が転がっていた。
一瞬死体かと思い、ギョッとしたが、すぐにただ気絶して寝転がっているだけだと言う事に気づく。

「カイト様、いったい何があるんですか?見せたいものとは、この気絶している三人の事ですか?」
私の言葉を聞き、カイト様は僅かに顔をしかめた。
「……様をつけるのはもうやめろ」
「…………」
無言の私を放置して、カイト様はある方向へと指をさした。指示した先には、人間大の何かが二つ転がっていた。
暗くてよく分からないが、ぴくりとも動かないと言う事だけは何故か分かった。
アレを見た瞬間、なにか、とてつもなく嫌な悪寒が私の全身に走った。

「あれは何ですか?」
「……分からないのか?」
「暗くて、分かりません」
「近づいて見ればいいじゃないか」
カイト様は至極当然の事を言った。確かにその通りだが、私の体はあの物体に近づく事を何故か頑なに拒否している。

「早く見に行けよ」
カイト様が苛立ち紛れの声で私を急かす。
私はカイト様と二つの物体を何度も交互に見比べる。額には、いつの間にか汗が滲んできている。

「いや、です」
漸く絞り出した言葉。
「どうしてだ?」
「なんとなくです」
嫌だった。どうしても近づきたくなかった。あの物体の正体は何なのか、確かめる事が恐ろしかった。

「心配しなくてももう動かないよ」
「嫌……いやよ……何かいや」
私は首を振る。何度も何度も首を振る。
カイトは薄く笑った。本当に優しい笑みだった。まるで兄が妹をからかうかのような……

「お前、アレがなんなのか、実は分かってるんだろ?分かっていないふりをしているだけだ」
「…………」
「正体に気づいているけど、確認するのが怖いんだな。弱虫だ、リンは」
「…………」

「そう。御察しの通り、アレは死体だ。誰の死体だと思う?」
その言葉を聞いた途端、私の体は硬直した。死体を怖がる妹を可愛がるかのように、
カイト様はロードローラーに近づき、私に手を差し伸べた。

「怖いなら一緒に見に行こう。お前はあの死体が誰なのか確認しなければならない。
 多分、確認したその時、お前の洗脳は解けて、お前は元に戻るはずだ」
カイト様は私の手を握る。これから確認する事実を予感し、恐怖で足が萎えてしまった私を強引に引っ張る。
私は引かれるがまま、ロードローラーから半ば無理やりに下ろされ、二つの死体へと引っ張られた。

「どうせ放送でもう知ってるんだろ?誰が死んだかって事を」
カイト様が私の顔を覗いてにやりと悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「誰があいつを殺したと思う?誰がハクとお前の仇を取ってやったと思う?アレクじゃないぜ。実は俺なんだ」

近づく。近づく。ゆっくりと、しかし確実に二つの死体へと距離を詰める。
相変わらず、私の全身はあの死体に近づく事を拒否していた。出来る事ならば一生確認したくないと思っていた。
確認さえしなければ、もしかしたら生きているかもしれない、という希望に縋る事が出来るからだ。
しかしカイト様は確認しない事を許してはくれない。私に確認する事を強いる。
全くの善意で、妹を喜ばせようと、カイト様は私にこれ以上ない苦行を強いる。

「いやよ……いやよ……いや、いやぁ」
恐怖で歯がかちかちと音をたてる。震える唇から漏れたか細い私の声は、妹を喜ばせようと躍起になっているカイト様の耳には届かない。
「いや、いや……いや」

「見ろ。クラッシャーの死体だ。アレクじゃなくて、俺がクラッシャーをぶっ殺したんだ」

その死体はクラッシャーだった。この世の時間が凍結したかのような気分に陥る。
私の顔は唖然とした表情のまま固まり、声一つ漏らす事が出来ない。
目の前の凄惨な光景、変わり果てたクラッシャーの姿が私の心と全身を揺さぶる。
クラッシャーは死んでいた。間違いなく死んでいた。カイトに殺され死んでいた。
上半身と下半身が真っ二つに別れ、それぞれ黒こげになり、クラッシャーは死んでいた。
無残にも残酷なまでに強力な力で殺されていた! カイトに────!

「上半身がどっかに飛んで行って、見失ってたんだが、
 お前に上半身下半身揃ったクラッシャーの死体を見せたくて探し回ったんだよ。結構苦労したな」
「…………」
「お前に正気に戻って欲しくて俺は精一杯頑張ってこいつを殺したんだけど、
 何故か知らないけどアレクの奴が訳の分からない理論で俺にキレてな。
 正直、認められなくてイライラしてたんだ。でもリンは喜んでくれるよな?もう正気に戻ったよな?」

リンは何も喋らない。カイトが一方的に話した言葉も、彼女の心をただ素通りしていくだけだった。
光の失った眼で変わり果てたクラッシャーを見下ろす。クラッシャーは動かない。どれだけ待ってももう二度と動かない。

このゲームは残酷だ。王女であり、かつて暴虐の限りを尽くした悪ノ娘ですら、バトルロワイアルに放り込まれればただの一人の少女と化す。
王女である時は庇護者など腐るほどいたが、この世界ではそうはいかない。
この世界では、慈愛と憧れの象徴であったカイトは駄目人間と化してしまい、かつての召使とはいつまで経っても再会できない。
リンにとって、この世界での唯一の庇護者はクラッシャーのみだった。そのクラッシャーは死んでしまった。
かつての思い人によって殺された。無残に、呆気なく、理不尽に……

▼ ▼ ▼

ゆっくりと瞼を開く。どうやら俺は気絶してしまっていたらしい。
いったい何があったのだろうか。トキがカイトに何かしようとするのを止めようとして、それから……
どうも記憶が曖昧だ。何かが起こり、自分は気絶してしまったのだが……

覚醒しつつある意識と並行して、不明瞭だった視界も次第にはっきりしてくる。
目の前に広がる凄惨な光景を目の当たりにして、俺は言葉を失った。
人が沢山転がっている。見覚えのない人間達。その中にトキが含まれているのに気付いた時、俺はますます混乱した。
しかし、そんな混乱をさらに上塗りするような、吐き気を催す光景に俺は気付いた。
転がった人間達のちょうど真ん中のあたり、トキの死体のすぐ傍に、カイトとリン、そしてクラッシャーの死体があった。

「どうしたんだよ、リン。見ろ!クラッシャーは死んだんだ!もうお前を困らせる奴はいない!
 洗脳は解けたよな?何か喋ってくれよ……頼むから、頼むから喋ってくれよ!」
リンの肩を強く掴んで、必死に呼びかけるカイト。カイトはリンの不穏な様子に不安と焦燥を感じ、泣きそうになっていた。
やってしまったか……。俺はその光景を見ただけで、カイトが何をしたのか容易に想像が出来た。

無知とは罪なものだ、俺はどこか他人事のような気持で呟く。
立ちあがって、カイト達の元へ向かわなければならない。トキが何故死んだのか、俺のすぐ傍で気絶している男女はいったい何者なのか。
気になる事は沢山あるが、今何よりも最優先すべきなのは、カイトとリンを落ち着かせる事だ。
俺は倦怠感漂う体に鞭を入れ、立ち上がろうとするが、思うようにいかない。どうやら俺は脳を揺さぶられて気絶したらしい。
思うように力が入らず、そして頭が働かない。とにかくカイトの所に向かいたい。
その思いをばねにして、俺はやっとの事で立ち上がり、二人の元へととぼとぼと歩み寄る。
カイト、声を出して呼びかけたが、小さな声しか出ない。全身が鉛のように重い。近づくだけで精いっぱいだ。

「なあリン! リン!どうしたんだよいったい!」
リンの肩を揺さぶりながら、カイトは必死に叫んだ。リンの目に光がない。
底なし沼のような深い虚無を携えたその瞳が、俺の目に留まった。かつてないほどにリンは傷ついている。
俺の想像が及ばないくらいに、リンの心は深く抉られてしまったようだ。

「なんでだよ……クラッシャーを殺せば元に戻るんじゃないのか……?
 どうして、どうして……」
カイトは頭を抱えている。その時、リンが小さく呟いた。
「クラッシャー……」
リンのか細い声を聞き、カイトはわなわなと震え、呆然とした顔をクラッシャーへと向ける。
リンとクラッシャーを何度も交互に凝視し、何を思ったのか、カイトはクラッシャーの死体を踏みつけ始めた。

「…………ひっ!!」
リンが短い悲鳴を上げたのを無視して、カイトはクラッシャーを何度も何度も踏みつけた。
「こいつが!!こいつが全部悪い!!死んでからもリンを洗脳し続けやがる!!
 さっさと堕ちろ!!地獄に堕ちろ!!」
「やめて……お願いだからやめて……もう許してあげて下さい……!」
リンがカイトの体に飛びつき必死に止めようとするが、たかが少女が成人男性であるカイトを止められるはずがなかった。
カイトが上半身を振るうと、リンは簡単に跳ね飛ばされ、地面にべしゃりと叩きつけられる。

「どうだ!!思い知ったかクラッシャー!!くたばれ!!もっとくたばれ!!永遠に死ね!!
 いい加減リンに纏わりつくのはやめろ!!」

跳ね飛ばされたリンはすぐに立ち上がる。泥だらけになっても構わず、再びカイトに飛びついた。
しかしまたもや跳ね飛ばされる。それでもリンはクラッシャーの死体を守るために立ち上がる。
何度も何度もカイトの邪魔をして、その度に跳ね飛ばされ、彼女の体は泥泥に汚れた。

「いい加減にしろ……!いい加減にしろカイトォォ……!」
俺は今出せる最大の音量の声でカイトに呼びかける。
しかし声は届かない。脳震盪によって力が入らない全身を、俺は心の底から恨めしく思った。

「もうやめてあげて────お願い、お願いしますから……」
リンがカイトの一瞬の隙を突き、カイトとクラッシャーの間に潜り込んだ。
クラッシャーの死体の上に覆いかぶさり、クラッシャーの盾となる。
カイトは顔を歪ませ、リンを睨んだ。

「やめろ……!クラッシャーを守るなんてやめろ……!
 そいつは悪い奴だったんだろう?人を殺してお前を誑かした悪人じゃねえか……
 どうしてそんな屑を守るんだよ。お前がそんな事したら、俺の方が悪者みたいじゃねえか……!」
やめてくれ、やめてくれと言いながら、カイトはリンの服を掴み、クラッシャーから引きはがそうとする。
しかし、リンはクラッシャーの死体に必死に抱きつき、離れようとしない。

「カイト……」
俺はカイトのすぐ後ろから声をかける。カイトはぴたりと動きを止め、どうしてもクラッシャーから離れないリンから手を離し、後ろを振り向く。
カイトの顔は不安と焦燥と後悔で、ぐちゃぐちゃに歪んでいた。元の整った顔立ちの面影はどこにも見られない。
「なんだ、起きてたのかよアレク」
今にも壊れてしまいそうな顔をしていながら、俺に対しては未だに強気だ。
カイトは虚勢を張っている。俺はすぐに気付いた。

「素っ込んでろよ雑魚が……!今から俺がリンを元に戻すんだ。クラッシャーから救うんだよ。
 こんなところでしゃしゃり出て、邪魔するんじゃねぇ!」
カイトは啖呵を切りながら、俺を間近から睨みつける。俺はふらふらする体に精一杯力を込めて、声を出す。
「目を覚ませ……何度も言ってるだろうが。クラッシャーはリンの味方だったんだ……
 クラッシャーが死んで、リンが悲しむのは当り前だろう……?
 現実から目を離すな……!逃げるな……!自分の過ちを認めてしまえ……!」
俺はカイトの頬を平手打ちした。パン、という乾いた音が響く。

「てめえ……!」
その直後、俺の腹に衝撃が走る。カイトに思い切り殴られたのだ。俺を嗚咽の声を上げる。
カイトは変身を解いている。しかし生身とはいえ、重傷の、そして無抵抗の俺にとって、カイトの拳は酷くきいた。
ごほごほと咳きこみ、酷い吐き気を感じた。立つのは到底無理だった。その場に中腰になって、必死に腹を押さえる。
痛い。苦しい……畜生、俺はいつもこんなんだ。土壇場になるといつも駄目なんだ、俺は……。

「お、俺が現実逃避しているだと……そんな馬鹿な事があるかよ。俺は何も間違ってなんかいないんだ」
「クラッシャー……クラッシャー……」
カイトの目に、涙を流しながらクラッシャーの死体を抱きしめるリンの姿が目に留まった。
俺はやばい、と直感した。

カイトがライダーへと変身し、リンの体を蹴りあげる。
リンの体は紙屑のように宙を舞い、クラッシャーから離れそして地面に激突する。
どうやら腹を蹴られたようだ。青い顔をして、リンは胃の中のモノを吐瀉した。がはがはと咳きこみながら、全て吐瀉する。
鼻からも吐瀉物が飛び出している。彼女の顔立ちもまた、カイトと同じようにかつての面影を残していない。

カイトはリンが離れたクラッシャーの死体に向けて、殺した時と同じように電撃を放つ。
空気を切り裂く炸裂音と共に、クラッシャーの死体に火が灯り、燃え盛る。

「あ、、ああああああああああああああああああああああああ!!!」
リンが悲鳴を上げながら、燃えるクラッシャーへと這って近づく。
「カイト……やめてくれカイト……」
俺に出来る事はただカイトへと制止の言葉を叫ぶだけだった。

燃えるクラッシャーの体へ飛びこもうとするリンを、カイトは襟首を掴んで引きとめる。
カイトの制止を引きはがそうと必死に暴れ回り、子供のように恥も外聞も気にしない様子で泣き叫んでいる。
時折クラッシャーという言葉が聞こえてくるが、それを除けば、彼女の叫び声のほとんどが理解不能の獣のような唸り声だった。
リンは壊れてしまうのだろうか。このままでは、実の兄の善意によって、彼女は壊されてしまう。

「どうだ!これで元に戻ったか!?いつものリンに戻ってくれるか!?」
「やめてくれ、カイト……もう充分だろう……?まだ暴れ足りないのか……!」
俺は苦しみで喘ぎながら、燃え盛るクラッシャーの前に佇むカイトに声をかける。
カイトは返事を返さない。ただ黙ってクラッシャーを見ている。
俺は暴れ回るリンをカイトの手から奪い、抑え込む。このままでは自分から炎の中に飛び込んでしまう。

「クラッシャー!クラッシャー!!」
がっちりと抑えつけられたリンは身動き一つとれない。
それでも相変わらず暴れ回り、クラッシャーの名前を叫んでいる。
「カイト……!クラッシャーの死体を燃やして、何か好転したか!?」
「…………」
「自分の過ちを認める事は、何も恥ずかしい事なんかじゃない!」
カイトは黙っている。じっとクラッシャーを見つめている。

「やめて……許してあげて……」
カイトはクラッシャーから目を離し、光を失った眼で静かに呟くリンを凝視した。
放心した表情から、さらに血の気が消える。カイトの目から力が消え、ライダーの状態から普通の状態へと戻る。
カイトは両膝を付いて、項垂れる。どうやら気づいたようだ。

クラッシャーを殺しても、彼の死体を燃やしても、リンはカイトの知っているリンに戻らなかった。
そしてリンは相変わらずクラッシャーを慕い、リンのためを思って行動しているカイトに、悪魔を見るような視線を向ける。
さすがのカイトも気付いたようだ。リンにとってクラッシャーは大切な人だったと言う事。
カイトがクラッシャーを殺した直後にした俺の話は、怒りに任せて否定していいような、そんな軽々しい話ではなかったと言う事。

あいつは俺にも勝る力を手に入れ、正義の力を手に入れたと錯覚し、自分の全てが正当化されたような心地に陥っていた。
クラッシャーを殺す事も正義。自分の全てが正義。俺のように、異議を唱える者は悪。
自分が正義などではなく、クラッシャーがリンを洗脳しているなどという話は全て自分の思い込みだったと言う事を自覚した時、
カイトは地面に手を付き、項垂れ、大粒の涙を落した。

カイトは何も変わっていなかった。自分の事をヒーローだと錯覚していただけなのだ。



夕日が落ち、辺りに夜の帳が下りる。俺は項垂れているカイトをひとまず放置して、リンの介抱を行った。
リンの顔に着いた吐瀉物や泥をペットボトルの水で洗い流す。その間、リンはずっと無言だった。
目の焦点が合っていない。一連の悲劇に、放心してしまっているようだ。このまま壊れてしまわなければいいが……
俺は悪い予感を無理やり拭い捨てて、ペットボトルの水を飲む。

地面に座り込み、リンと同じように放心しているカイトに目をやる。
俺にはカイトを正気に戻す義務がある。ハクやクラッシャーが死に、
リンやカイトが傷つくのを今まで目の前で見てきたにも拘らず、俺は何も出来なかった。
このままではまさに、いつかカイトに言われた役立たずのヒーローになってしまう。
俺は死んだハクが為そうとした事の続きを、俺の手で成し遂げたい。カイトに勇気を授けてやりたい。
何故なら俺はヒーローだからだ。ハクにもカイトにも、かつて俺はヒーローと呼ばれた。
本物のヒーローなら、カイトに勇気を授けてやる事だって、きっと出来る。

薄暗闇の中、燃え盛る死体が爛々と輝く。夕暮れ特有の涼やかな風が背中を流れたが、心地よさはない。
正面にあるクラッシャーの死体から感じる熱気が、心地よさの全てを奪い去っている。
カイトはひたすら沈黙を保っている。ここまで大暴れしたが、リンは何も変わらなかった。
この結果を見て、カイトが何を思っているのか、俺には想像できなかった。

「お前が何を思い、クラッシャーを殺したのかはよく分かっているつもりだ」
俺はぽつりと話を切り出す。カイトが聞いているのかどうかは分からないが……とにかく落ち着いた声を出そうと努めた。
「お前はただ、リンと自分を救いたかっただけなんだ」

「……お前がクラッシャーを殺した直後、お前の事を頭ごなしに悪いと言ったのは本当に後悔している。
 お前がクラッシャーを殺害したのは、事態が好転すると思って、良かれと思ってやった事だ」
しばらくの間、沈黙し続けたカイトだが、俺の言葉を聞いた後、小さく「そうさ」と呟いた。

「全部良い事と思ってやったんだよ。クラッシャーは悪者だと信じたかったんだ。
 クラッシャーを殺せばリンは元に戻る、危険人物も減る、そう信じ込みたかったんだよ。
 そう信じて俺は暴れた。力を手に入れた時は本当に嬉しかった。
 クラッシャーを殺した時は何かをやり遂げたかのような気持ちのいい達成感を感じた。俺は……」
俺は溜息をつく。カイトの体が、なんだかいつもよりとても小さくなっているように見えた。そして俺は口を開く。
「……クラッシャーは悪、自分は正義。お前はそう信じ込んで暴れたわけだ」
「そうだ。だが、事態はそんな善悪の二層構造なんかじゃなかった。そんな単純なものではなかった」

「違う……!クラッシャーは悪人じゃないわ……あんたが悪よ。悪悪悪悪……!信じられない、あんな酷い事……!」
リンが焦点の合っていない眼をカイトの背中に向けて、罵る。カイトの背中が、ますます小さくなる。
クラッシャーを殺し時の、俺を罵っていた時のかつての威勢は感じられない。
「そうさ。リンの言うとおり、見方を変えれば俺の方が悪人だったんだ!
 なんつったってクラッシャーはリンの事を守っていたんだからな! しかもアレクの話からすると、
 クラッシャーは改心の余地ありだったらしいじゃねえか。こいつにとって、俺が正義であるはずがない!」
「その通りだ。お前は正義の味方なんかじゃない。だが、反対にお前を悪と厳密に決める事も出来ない。
 お前はなんといっても、殺し合いに乗った危険人物の一人を排除したのだから……」

カイトは涙こそ流していないようだが、背中からは、これ以上ないほどの悲しみが感じられた。
「リン……お前はクラッシャーに洗脳されていたわけじゃないのか?」
ぽつりと言ったが、リンはカイトの事をひたすら罵り、時折クラッャーを懐古して悲しむばかりで、質問に答えようとはしない。
「どうしてクラッシャーがこんな目にあわないといけないの?どうしてクラッシャーが殺されなきゃいけないの?
 どうして私からクラッシャーを奪うの?どうしてどうしてどうしてどうして────」
狂ったように同じ言葉を繰り返すリンを、固く抱きしめた。リンはもう暴れていない。
深く深く傷つけられたリンの事が、どうしようもなく哀れに思えて、とてもとてもやるせない。

「……お前とリンの話に食い違いが生じるのは、洗脳だとかそういう特殊なものじゃなくて、
 ただ単にリンがお前の知っているリンじゃないと言う事なんじゃないか……?」
「どういう意味だ……」
「同姓同名のよく似た他人……いや、それだとリンがカイトを『様』付けして慕うのはおかしいな……」
「…………わかんねえ。どうしてリンはこうなったんだ……?」

「あんたの、方こそよ……」
リンの目に僅かに力が戻り、強烈な憎悪をこめてカイトを睨む。
「どうして貴方はそんなに駄目なの?どうしてそんなにクズになってしまったの?
 かつての貴方はどこに行ってしまったのよ……優しくて勇敢で完璧だったカイト様はどこに消えたのよ!返してよ!」
リンの言葉は、何故か俺の胸にまで突き刺さった。罵られている本人はもっと深く傷ついただろう。
「わかんねえよ……もう自分が分からない。どうして俺はこんなにクズ野郎なんだ?俺は普段からこんな奴だったのか?
 クズで卑怯で臆病で、俺は本当にどうしようもない奴だ……これが俺の本性なのか……?」

一陣の風が吹き、クラッシャーの死体の炎を一瞬だけかき消した。
炎から垣間見えたクラッシャーの死体は、すでに真黒に炭化していた。
カイトの問いかけに応えてやる事が出来ない。辺りはしんと静まりかえり、死体が燻る音だけが響く。

どうしてこうなったのだろう。誰が悪いのかと言えば、勿論主催者なのだが……
俺達はこの惨劇を食い止める手段がどこかにあったのではないか?
俺がもっと頑張っていれば、こんな事にはならなかったではないか……
今回の惨劇を生み出したのは、リンを傷つけたのは、紛れもなくカイトだ。俺がなんとかすれば止められたかもしれないが、今回は無理だった。
カイトが精神的に復活しなければ、どうしようもない。

「誰だって死ぬ事は怖い。肉体的な意味でも、精神的な意味でも……
 だから人は自分の身を守るし、自分の心を守るために、自分を正当化しようとする。
 カイト、お前はそれが、自分を正当化しようとする心の働きが、特に顕著だったんだよ。
 言っちゃ悪いがお前は臆病者だ。だから……な」
カイトは反論一つせず、俺の話に耳を傾けている。
「だが、どんな臆病者でもヘタレでも、成長できる可能性はあるはずだ。
 いや、例え可能性がなくても、俺がお前を成長させてやる。お前を勇敢にさせてみせる。
 ハクが生きていたら、きっとお前を見捨てはしないだろう。同じように、俺もお前を見捨てない」
死体の炎が燻り、火力が次第に弱まっていく。カイトは項垂れたまま、何も反応しない。
俺の言葉を聞いているのか聞いていないのか、はっきりしない。

「自分の気持ちに正直になれ。リンとクラッシャーに対して、何か思う事があるはずだ。
 俺はお前の事を根は優しい奴だと信じている。妹のために殺人鬼に立ち向かう兄などそういない。
 だからこそ、自分の本当の気持ちに気づいてほしい。実は後悔しているんだろ……?

 ────リンに謝れ。クラッシャーを殺してすまないと、心の底から謝罪しろ」

俺の声が虚空に空しく響く。カイトは無反応だ。辺りは静まり返っている。
リンの涙ぐむ声を除くと、辺りは静まり返っている。俺、カイト、リン、三人が三人ともどこか空虚な気分だった。
やるだけやって、これ以上なくらいに悲しい気持ちになって、もうどうでもいい。
ついそんな、投げやりな気分になってしまう。どうしてこうなったんだ。俺は、俺達はどこで道を間違えた……

カイトがゆっくりと立ち上がり、俺の方へと顔を向ける。
悲しみと屈辱と後悔にまみれたカイトの表情は、見るに堪えないものだった。

「俺は……俺は悪くない!」
「まだ、言うのか……確かにお前だけが悪かったわけじゃない。だが、リンには謝れ」
「俺は悪くない。悪くないんだ!仕方がなかったんだ……」
「カイト!」
般若のように顔を醜くしかめながら、カイトは必死に主張した。本当に、どうしようもなく弱い男だ……

「謝ってくれなくても結構ですわ」
「リン……何を……」
リンがぎらついた眼をカイトに向ける。
「そんな見え透いた見当違いな謝罪、そんなものはいらない。
 どれだけあんたが謝っても、クラッシャーはもう二度と帰って来ないのよ!」

「リン……し、仕方がなかったって言う事が分からないのかよ!俺にどうしろっていうんだよ!」
「もう消えてよ!あんたなんかもう二度と見たくない!消えて!二度と私の前に現れないで!」
「おい、リン……」
カイトの顔がさらに歪んだ。

「何よ……あんたって本当に口だけ。口では私の事を大切に思ってるだとか、自分は兄だから守るのは当たり前だ、
 なんて言っておきながら、土壇場になったらあんたはいつも逃げるじゃない!いつも私を見捨ててばっかり!
 その上、私があんたの思う通りに動かなかったら、構わず私を殴るじゃない!蹴るじゃない!
 その点、クラッシャーはそんな事しなかった!いつも私を第一に考えてくれた!」
リンは罵りながら、カイトに掴みかかろうとする。俺は何とか、寸前のところでリンを止めた。
「もうやめろリン!」
叫ぶ。だが、リンの罵りは止まらない。カイトは何も口が出せないでいる。ただ、わなわなと震えているだけだ。

「どうしてクラッシャーが死んであんたみたいなクズが生き残ってるの!?生きていて恥ずかしくないの!?
 クラッシャーに申し訳ないと思わないの!?クラッシャーに殺されれば良かったのに!」

「あ、ああああああ……アレク、俺はどうすれば……どうすればいいんだ……どうすれば!!」
リンの一言がトドメだった。カイトは痙攣をおこしたかのようにわなわなと震え、地面に四つん這いになる。
その間もリンはカイトに向かって消えろ!と繰り返し叫んでいる。
「謝れ!何でもいいからさっさと謝っちまえ!!許してくれるまでリンに謝り続けるんだ!!」

カイトの心に積もりに積もった罪悪感は、ついにここで決壊する。
その時、カイトは思い切り吐いた。吐瀉物には血が混じっている。
呻きながら、涙を流しながら全てを吐き出すカイトに、リンは驚いたのだろうか、沈黙する。
あり得ない量を吐き終えたカイトは地面に頭をぶつけ始める。何度も何度も執拗に頭をぶつけ、ついに額から出血した。

────壊れてしまった!
目の前の光景を見て、俺はそう直感した。
「カイト!カイトォォ!!」
「リ…ン。俺が悪い!俺が悪いんだ!!」

「やめろ!」
俺はリンの傍から離れ、頭を打ち続けるカイトを止めに入る。
「もう嫌だ……どうしてこうなったんだ……どうしてこんなに悪い事ばかり起こるんだ」
「カイト!悪いのは主催者なんだ!気をしっかり持て!お前は悪くないんだ!」
このままでは取り返しがつかなくなってしまう。お互いがお互いを憎み、また死人が出てしまう。
この状況を、右上や左上は楽しそうに見ているのだろうか。そう考えると本当に腹が立った。

「クラッシャー!ああ、ここにいたのねクラッシャー!」
リンが地面に落ちている刀を拾い、相変わらず焦点の定まっていない眼で凝視している。
訳の分からない光景に、俺とカイトは目を疑った。
「何を、しているんだリン」
「ああああああああああ……!クラッシャ……ああああ」
奇声を上げて刀を抱きしめるリン。かろうじてクラッシャーという単語だけは聞きとれる。
よくよく刀を見てみると、ある事に気づく。あれはクラッシャーが愛用していた刀だ。
まさかリンはあの刀をクラッシャーと錯覚しているのか?そんな馬鹿な話、本当にあり得るのか?

「どうしてなんだよ……ああ、どうして俺はこうも馬鹿なんだよ!畜生」
「そうよ。レンを見つけるのよクラッシャー。クラッシャー!早くあのバカな召使を探しなさい!
 こんなになるまで私をどうして放っておいたのよ」
「お前ら落ち着け!!!」
リンとカイトはそれぞれ独り言を叫んでいる。生憎俺の体は一つだ。
どちらか一方しか止める事が出来ない。俺一人ではこのカオス過ぎる状況を鎮静させ事は出来ない。

「レン……助けてレン……クラッシャーが死んでしまったわ……」
リンがぶつぶつ言いながら、ロードローラーに向かって歩いていく。
俺はカイトから離れ、リンの前に立ちふさがる。
「何をする気だ」
「レン……」

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