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夜間飛行~レディ・ファントム・その2~


そのころ、あの時康一の肩を叩いた少女は裏路地でぼんやりしていた。
その顔は、包帯でぐるぐるに巻かれ、目と鼻、口以外はすべて隠されている。

「…またやっちゃった」

悲しげな声を漏らすと、少女はふらふらと歩き出す。



縁と仗助の泊まっている部屋にやってきた康一は、二人と共に町の地図を見ながらその少女に声を掛けられた場所に印をつけていた。

「…あれ、露伴先生は?」
「かほりさんと出かけたみたい…」

縁と康一がそんな話をしている傍らで、仗助は康一がつけた印と縁のつけたしるしまでの間の道を指でなぞる。

「んで、ここで話しかけられて…縁のいた、ここまで気づいたら着ていた…ってことでいいか?」
「うん…気が付いたら…」
「そりゃ変だな…」

そんな話をしていた三人の部屋の扉が、急にノックされる。
何事かと思い、縁は立ち上がってスコープを覗く。
そして小さく「あ?」と呟くと、扉を開ける。
すると、足早に露伴が部屋に入り込んできた。

「ろ、露伴先生…?」
「どーしたんすか…?」
「…あれ…?先生、かほりさんは…?」

3人に一気に話しかけられるものの、康一の「かほり」という言葉にはっとしたように露伴は顔をしかめる。

「…いなくなった」
「「「はい!?」」」

思わず、3人の声が重なる。
露伴の目には、珍しく焦りが浮かんでいた。

「…誰かに声を掛けられたらしくてな…それに答えて振り返った…なかなか追いついてこないと思ったら、消えていた…」
「…それって…?」

露伴の言葉に、仗助と縁の視線が康一に向けられる。
その視線に気づき、康一は小さく頷いた。

「…露伴先生…それ、さっき僕も同じ目に遭いましたよ」
「何!?」
「これでスタンド攻撃ってことははっきりしたわねー…」
「あぁ…」

■■■

かほりは、ぼんやりと霞がかったような頭で目の前を見つめていた。
思うこととは反対に、体はどんどんと進んでいく。

(早く…先生のところに…帰らないと…)

そう思っても体の自由が利かない。
そのうち、川が目の前に見えてきた。
すると、勝手に口が開く。

「…きれい…でも…」

そう呟くと、体は別な方向へと向かって歩いていく。
商店街の方向だ。
アーケード街の中を、どこかの店に寄るでもなくゆらゆらと歩いていく。

(先生…)

再び消えそうになる意識の中で、かほりは露伴のことを思った。

「かほり!」

露伴の声が、背後で響く。
振り向く間もなく、かほりは背中から抱きすくめられた。
その途端、かほりの意識は一気に覚醒に向かう。

「せ、先生…み…見られてますよ…」
「構わん、見られるくらいは全然な」

真っ赤になってうろたえるかほりの耳から、康一の耳から抜けて言ったのと同じものが抜けていく。
追いかけてきた仗助たちがその耳から抜けた物を見つけると、露伴たちを置いてそれを追いかけていく。

「先生…追いかけないと…」
「…それもそうだな…」

名残惜しそうにかほりの体から離れると、そのかほりの手を取って走り出す。
最終更新:2009年12月27日 00:29