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ろくでなしブルース

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nightstalker

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Last update 2007年10月07日

タイトルなし 著者:ろくでなしブルース


彼女は小さな声ではあったが、心を込めてかきくどいた。
しかし彼の心には届くことはなかった。
彼にはもう既に妻が居いて、彼の心には妻のことしかない。
そんな事は彼女も分かっていたが、彼女は告白せずにはいられなかった。
駄目な事は最初から頭では分かっていたが、心は納得していない。
心と体の不一致、それが彼女の心の中に狂気を生んだ。

その出来事によって、彼女が狂気の天才科学者になるなどとは予想もつかなっただろう。
彼女は手始めに媚薬を作る事にした。
彼が彼女に振り向くように。
完成には10年の歳月を要したが、副作用のない完璧なものができた。
完成しと分かると、彼女は彼を探し始めた。
必死に探すが消息はつかめない。
彼女は落胆した。
記憶を辿るが5年くらい前からの記憶がない。

彼女は実験している間に彼が老いていくのを見ていたくなかった。
彼女は愛しさの余りに彼を冷凍睡眠にかけたのだ。
しかし、装置の誤作動により彼は死んでしまったのである。
その事を認めたくない為に彼女は一心不乱に実験を続けた。
事実彼女はその事実を忘れる事ができたのだ。

私はそのような小説を思い出すように書いた。
そして、ある時私はある事実に気づいてしまった。
彼女は二度も記憶を喪失していたのだ。
私は自ら嘲るように笑った。





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