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17話


海岸近くの崖、
隣のエリアに掘っ立て小屋があるものの、
それ以外は人工物がないように見える島。

「今更だが、ここで会うとは思わなかったぞ。気に入らない女」
「奇遇ね、わたしもそうよ。気に入らない女」

幕府に二人の鬼女あり。
偶然にも、その二人が顔を会わせていた。

「しかし、わたしが死んだ後、七花がよりにもよってきさまとくっ付いているとは…………」
おかっぱの白い髪のやや小さい女性が苦々しくそう言うのを、
「否定する—— 一応、同意の上での傷心旅行って事になってるわ」
顔の横に『不忍』と書かれた仮面を着けている外国人の様な女性が否定した。

十二単を二重に重ねた様な衣装を着たおかっぱの白髪のやや小さい女性は、奇策士とがめ。
自分を奇策しか使わないから奇策士だと言っている。
『不忍』と書かれた仮面を着けている金髪碧眼の女性は、否定姫。
如何なる物であろうと何でもかんでも否定するため、否定姫。

幕府の二人の鬼女。
ちなみに両方とも戦闘力は皆無に等しい二人は、
よりにもよって無人島、呼ぶ人は不承島と呼ぶ所に居た。

「…………で、どうする、気に入らない女」
「…………どうしようかしらね、気に入らない女」

状況は無人島で、どうやら二人しか居らず、
島から出るにも舟一つないため出る事も出来ない。

「ちっ、ここから出る手段は一つとしてなしか…………」
「否定…………しないわ」
「あら、そうですか?」

本当に困った事態である。
出る手段はないが、外の方は入る手段があるだろうから、
最悪、殺し合いに乗り気で説得が効かない相手では正しく話にもならない。

「「そうですか?」って、舟もないのだぞ?どうやって出る?筏でも作るのか?」
「筏なんか私達で作れる訳がないわ。ハッキリ言ってこの状況、打つ手無しよ」
「そうでもないですよ?」

二人で案を出しては否定して、あるいは容赦せずに没にしたり、
ハッキリ言って出る気があるのかと疑うような状況だが、
二人とも至って真面目であるのが更にややこしい。

「「そうでもないですよ?」だと?じゃあどうやって出るんだ?」
「誰かどこぞの忍者みたいに海の上でも歩ければ良いんだけど…………」
「いえ、わたしは海の上を歩いて来ましたし」

「冗談も大概に————ん?」
「冗談も大概に————え?」
二人が同時にそう言うのを二人が同時に不審に思い、
どうやらようやく二人して気が付いた様である。

何時の間にかもう一人会話に加わっていた事に、
他に誰も居ないはずのこの島に、
何時の間にかもう一人この島に居た事に。
しかもわざわざ二人の後ろから話しかけていたらしい。



遅い事この上ないが、
二人が後ろに振り向けば居たのは…………
「お久し振りですね、とがめさん。あと、はじめまして誰かさん」
邪悪そうに笑うとがめにとっては見覚えのある女性だった。



ここで簡単な説明を入れよう。
誰も居ないはずのこの島に、呼ぶ人は不承島と呼ぶこの島に、
どうやって奇策士とがめと否定姫以外の人間が一人来ていたのか?

言葉で表すにはこの上なく簡単な事である。
本人が言ったとおり、海の上を歩いた。

そう、言葉で表すにはこの上なく簡単な事を実行した。
実際にやる事は不可能に近いこの事を、
まるで簡単な事のように、アッサリとしたのである。

種を明かせば簡単な事ではないが、
彼女の持つ眼で、かつてこの島で戦った真庭蝶々から見取った、
ありとあらゆる物の重さを消す事ができる歩法の一種、
忍法足軽を使って自分と荷物の重さを消して歩いて来た。

既にあらゆる技術を自分の物にしている彼女だが、
地味に死ぬ前からよく使っている技術である。



「で、わざわざこの島まで歩いてきた事はわかったが」
「残念だけど七花くんはこの島には居ないみたいよ?」
顔見知りのとがめの方はおいておいて否定姫が自分の紹介を終えて、
とりあえず三人で話を始めた。



「早速だが一つ質問がある」
とがめは特に天才かつ天災的な彼女に物怖気する様子もなく質問する。

「向こうの、まあ、本土として置いて。
本土であった地図で言う赤神イリアの屋敷とやらであった爆音についての情報を持っていないか?」
不承島の砂浜のほぼ対岸に位置する屋敷で何度も会った爆音、
それを見る為に見晴らしの良い海岸に来た所で否定姫と出会ったと言う裏話は置いて、
素直に戦闘があったらしい場所の状況についての情報を求めた。

ちなみに気になってはいたらしい否定姫も静かに二人の話に耳を傾けている。

「え?あれですか?」
「うん、多分そのあれだな」
一応話してくれる気はあるようだ。

「三人ほど逃げらてしまいました」
どうやら戦闘を起こした本人の様である。
しかし微妙に会話がずれている。

「ほ、ほお?と言う事は何人か殺したのか?」
微妙に冷静で居られていないとがめである。
それもそうだろう。
一応、目の前の人物が殺し合いに乗り気である可能性が判明したのだから。
今後、自分達が七実に殺されない保障は何一つとしてない事をない事に。

実際に一度は殺され掛けた事があるとがめも、
一度も殺され掛けた事がないものの危険性は左右田衛門から聞いていた否定姫も、
二人の身体に若干の緊張が走っている様子である。

無論、大抵の物を見通せる七実に対して緊張を隠そうとも意味もなく、
あっさりと見破ったらしくクスクスと笑っている。
「大丈夫です。あなた達を殺すつもりは少なくとも今はありませんから」

笑いながらそう言う笑顔は、その笑顔は、
本当に悪そうで、どこまでも邪悪そうな笑顔だった。



「それでは、その館で一人殺して三人は逃げられたという事だな?」
一瞬、あまりに邪悪そうな笑顔に一瞬怯んだ物の、
その後、屋敷での戦いの様子の説明を求めた所あっさりと答えてくれた。
あまりにもあっさりと、何でもないかの様に。



しかし、その屋敷の四人の戦闘を見て来たと言う。
それぞれがそれぞれで異能を身に潜めた様な四人の戦闘を、
しっかりと、まじまじと、その四人の技術を、

七実は己の眼で、見た。
じっと。
ぎょろりと。
まじまじと——

見る。

見切り。

見抜き。

見定め。

見通し。

見極め。

見取る。

見る——視る——観る——診る——看る。

観察するように——診察するように。

その四人の技を、技術を、経験を、見て来たと言う。

一人は全身、体のありとあらゆる部分に口を持った少女だったと言う。
幸か不幸か流石にそれは真似出来ないと言う事らしいが、
そんな化け物がこの戦いに参加している時点で笑えない。

一人は変わった服装の女性だったと言う。
幸か不幸かこれと言った珍しい技術は持って居なかったらしいが、
その胸に悪刀『鐚』が刺さってたと言う。
と言う事は四季崎記紀が作った変態刀が他の参加者の手に渡っている可能性が高い。
もしも前の持ち主の腕を超える者の手に渡っているとすると…………

一人はまにわにの忍者らしき人物だったと言う。
服装などを詳しく聞いた所どうやら真庭鳳凰で間違いが無さそうだった。
真庭鳳凰が殺し合いに参加しているのはわかってはいたが、
問題は真庭鳳凰の忍術を見て来たと言う事である。

ただでさえ恐ろしい七実が、あの真庭鳳凰の忍術を手に入れた。
ハッキリ言って恐ろしい事この上ない。

最後に唯一殺せたと言う若草色の和装の女。
この女の空蝉なる技術を見て来たと言う。
どのような技術かは身を持って場所を入れ替えさせられて教えられたが、
そのような技術を持つ者が他にも居るかも知れないと言う事。

七実よりもたらされた情報を纏めると、
どうやら主催者は殺し合いを本気でやらせたがっていると言う事、
この殺し合いの中には真庭忍軍並みかそれ以上の使い手が居るかも知れない事、

そして、このありえないはずの地図の地形はほぼ確実である事。

H-4にある赤神イリアの屋敷から海の上を歩いて、
今とがめが否定姫と共に居るH-2までまっすぐ海の上を歩いて来たと言う。

誰の屋敷かは知りはしないが、
この不承島の向かい側の陸地、深奏海岸に、
赤神イリアの屋敷と呼ばれる場所はない。

更に言えば、
不承島の近くに鎧海賊団の本拠地とも言える濁音港が、
こんなに近くにあるはずが無い。

不承島は場所で言えば丹後、濁音港は薩摩。
本来在り得る筈が無いこの地形がありえるのか?

濁音港はとがめと会う前に否定姫が港らしい場所があると言う事を視認したらしい。
ここで否定姫が嘘を言う意味は無い。それから考えればこの地図は本物である。
七実が嘘を付いていない事が前提ではあるが、
今の所、七実が妙に積極的である事を考えれば嘘を付いてはいなさそうである。

以上の事をふまえて考えた結果、
「ふん、それから考えれば願いを叶える云々はおいておいても」
「水倉神檎はとんでもない力を持っている、と言う事かしら?」
これが幕府の二人の鬼女が一緒に出した結論であった。

「ふふふ…………」
「あはは…………」
しかし、その結果が出た上でも二人は笑い出した。

「くはははははははは」
「あはははははははは」
まるで楽しそうに笑う、

「それでこそ」
無自覚に声を合わせながら、

「奇策の練りようがあるわ!」
「否定しようがあるわね!」
やはり幕府にありと言われるだけはある鬼女の二人。
二人とも水倉神檎に対する闘志が溢れていた。

目の前に居る七実を超える化け物かも知れないとわかっている上で、
天災と呼ばれた天才以上の怪物かも知れないとわかっている上でである。

その様子を七実は二人を笑いながら見ていた。
悪そうに、邪悪そうな微笑と共に、見ていた。



「さて、元日本最強の七実どのにわたしから頼みがある」
真剣な表情でとがめと七実は向かい合っていた。
とりあえず言うと七花が住んでいた小屋……ではなく、
場所は変わらず崖の近くの地面の上でである。



いくら天才七実と言えども海を歩いて渡って来て、
流石に疲れてあまり動きたくないとの事なのでである。
この殺し合いの中でも体力が無いのは相変わらずのようだ。

一応、真剣な話し合いではあるが、
場所が場所なので微妙に間が抜けた感じがしないでもない。
ちなみに否定姫は所在無さげに少し離れた位置からこちらを見ている。
とがめの交渉の行方を見守っている。

「わたし達と協力して貰いたい」
簡潔に、混じり気無く、一直線に交渉する。
目の前の天才に対しては小細工は通用しない。
文字通りそんな事をしても、見抜かれてしまうから!

ちなみに「わたし達」と自分も勝手にとがめの仲間に入れられている事に、
無論、否定姫は気が付いているがあえて口を挟まない。
とがめはともかくして七実と共に行動が出来る事に損は無いと考えているためである。

「構いませんよ」
そんな周りの空気を知っていながら七実はアッサリと承諾した。
「いくつか条件がありますが」
と後に付け加えて。

流石にとがめの表情が曇る。
あの天才の七実が共に行動するに当たって付ける条件だ。

簡単な物ではないだろうと予想しながら、
それも計算通り、と密かにほくそ笑みながら、
「…………条件はなんだ?」
と、表面だけは苦々しげに聞いた。

それを恐らく見抜いているだろうが、条件を提示する。
「一つ目はお二人に関する事です」
一つ、まずは一つ目。

「お二人にはわたしにしっかりと協力して頂きます」
一つ目、いくつかある条件の内の一つ目は普通だった。
いや、あまりにも普通過ぎた。

簡単に言えば、
とがめからは思わず見惚れるような奇策を出してもらい、
否定姫はとがめの政敵だったと言うからとがめ並の頭はあるだろう。
だったら、使えるだろうから使う。
それ以上でも以下でもない。
役に立つだろうから使う、それだけである。

が、二人にとっては普通過ぎる条件に、
思わずとがめと否定姫が不審そうな表情を浮かべるのを見て、
「二つ目は支給品に関する事です」
あっさりと流した。ごくあっさりと何事も無かったように流した。

「お二人の支給品を見せて頂き、使えそうな物を頂きます」
二つ目も普通、普通にしっかりと自分の目的を出す。
あくまでも冷静に、自分の目的を表に出す事無く果たすために、
二人の支給品を見て、使えそうな物を貰う。

一見すれば当然の行為。
相手から自分にとって使える物、武器を手に入れる。
しかし、七実にとって武器など本当の意味で、

どうだっていい。

己を一本の刀に仕上げた虚刀流にとって、
銃などの遠距離武器以外は邪魔でしかない。

もっとも、今の七実は忍法撒菱指弾も見取っているから銃などもほとんど必要がない。
と言っても残念ながら今は撒菱は持っていないので使えないが、
石を撒菱の代わりくらいには出来るだろう。

今の目的は優勝する事でもなく皆殺しにする事でもなく、
あくまでも完璧な『再生力』を見取る事。
いくつもある吸血鬼の一部を集めて合わせて、
完璧な『再生力』を見取る、それだけである。

一応、七花に会って見たいと言う事もあるが、
ここに来てしまった事でこれ以上思い当たりはない。
ならば、思い当たりがありそうなこの二人と行動する事が一番良い。

「以上です」

二つ。この二つだけではあるが、この二つの条件に必要な事を全て詰め込んである。
しかも二人からしたら楽な条件であろうとちゃんと考えて。
自分にこれ以上ないぐらい良い条件を出しながら、
二人にとっても良い条件になるように考えて。

二人に断る理由が見付からないように、
「そうして頂ければお二人と共に行動しましょう。
ついでに可能な限りお守りもしましょう」

そうちゃんと付け加えて利益に目が眩むように、
自分と行動するの利益がしっかりと眼に見えるように、
頭脳労働専用と言っていた彼女達には破格の条件だろう。

言うならば、決して見逃したくないほどの条件を!

とがめは苦々しげに、
「——————わかった。その条件、のもう」
しかし、心の中では踊り出しそうなほどの喜び様であった。

踊らないのは否定姫の前だからであり、
否定姫が居なかったら踊っていたかも知れない。

否定姫も否定姫で、
しばらくの間、左右田右衛門左衛門の変わりになる護衛が見つかった。
と、とがめと同じく踊り出しそうなほど内心で喜んでいた。

こちらもとがめの前だから踊らないのであり、
とがめが居なければ踊っていたかも知れない。

七実は二人とも踊り出しそうなまでに喜んでいる内心をしっかりと見破り、
一人、笑っていた。
悪そうに、邪悪そうに、笑っていた。
「それでは、交渉成立で」



ちなみに、
二人の支給品を見ても七実の目当ての物、
吸血鬼の一部は見付からなかったが、
「あら?これは…………」
一つ、変わった物に目が付いた。

「ん?これがどうしたの?」
すでに三人でとがめの支給品を見終えて、
今は三人で集まりながら否定姫の支給品を検分中である。

七実の眼に止まった『それ』、
「これによく似た服を悪刀『鐚』を刺していた人が着ていましたね」

『それ』の正体は…………
エプロンドレス。
おまけなのか黒縁メガネ付きのエプロンドレス。

対ロングレンジ用の特別なエプロンドレス。
前の持ち主、千賀てる子。
七実と会っていながら逃走に成功した千賀てる子の服。

「これを着ていた方が良いですねよ」
無論、対ロングレンジ用の加工がされている事を見抜き、
否定姫に着るように勧めた。なぜかメガネも。

なぜ否定姫に着るように勧めたかと言うと、
とがめには大き過ぎて、七実には必要がないからである。

更に、ただでさえ目立つ髪と眼の色にこのエプロンドレス。
自分が狙われない可能性が上がる、とちゃんと考えての事である。
あくまでも自分が生き残るために。

最初は嫌がっていた。
いくら外国に対する理解があったもの、
防御力も全く無さそうにしか見えないこれは……と。

しかし、
対ロングレンジ用の加工がされている。と七実が言った所、
ならなぜ七実が着ないのか?と言う疑問を胸に入れたまましぶしぶ承諾した。



そして今、メイドの格好をした否定姫が誕生した。
頭に『不忍』と書かれた仮面を着けたままではあるが、
金髪に碧眼、更に黒縁メガネにメイド服。
ちなみに先ほどまで着ていた服は支給品が入っていた物に畳んで入っている。

今現在ここには居ないが某最悪と某最弱が見たら悶絶死する事請け合いであろう。
それほど妙に似合っていた。
外国の血が混じっているからだろうか?
否定姫本人に言ったらきっと瞬間的に否定する事であろう。

微妙に恥かしいのか若干であるが否定姫の頬が赤い。
「あら、お似合いですね」
「………………」
その姿を見て七実は褒めるが、とがめは後ろを向いて堪えていた。

笑いたいのを懸命に堪えていた、が、
「…………ぷ」
あえなくとがめの笑いを堪えるために出来ていた防波堤は決壊した。
それも見てからたったの十秒持たずに。

その時のとがめの笑い声は、
島の向こう岸に届いたとか届かなかったとか。



その後、

「そう言えば七実」
存分に笑い終えたとがめがふと思い出したように言った。
「なんでしょうか?」

「七実の眼でこの首輪はどう見える?」

わりと重要事項。全員に付いているこの謎の首輪の情報を聞いてみた。
ちなみに否定姫は少し離れた所で座り込んでいる。
否定しようがないほど笑われたのがショックだった様子であるが、
二人は何事もない様子で話を続けている。まさに鬼。

「………………」
「………………」
「………………」
沈黙、ただの沈黙が流れる。

七実の顔に何の色も見えないが、
それの意味を理解したとがめは黙るしかなかった。

まさか、天才七実の眼でもわからない事があるのか!?

ただ単に驚く。
四季崎記紀の完成形変態刀の特性すら見抜いたその眼でも見通せない、
水倉神檎が作ったと思われる首輪に驚いた。

しかしあくまで驚いただけである。
「どう言った性質の物かはわからんか?」
諦め知らずの奇策士とがめである。

それに対して、
「わたしの眼だけでは情報が足りません」
とキッパリと言い切った。
「せめて首輪の中身が見れれば良いのですが…………」

「………………」
「………………」
「………………」
またも沈黙が流れる。

七実の眼を持ってしても首輪に対する打開策はなし、
「やはり、この殺し合いに乗るしかない。優勝するしか…………」
助かる方法はない、か。と、とがめが言い掛けた時、
「否定する」

少し離れた所に居たメイドの格好の否定姫が言った。
「否定するわ。気に入らない女」
ハッキリときっぱりと、気持ちが良いほどしっかりと否定した。

「あなたはさっき七実さんが話した話の内容を覚えていないのかしら?」
ゆっくりと近付きながらとがめを見下ろす様に歩いて来る。
ちなみに伊達メガネとメイド服を着たままである。

「さっき七実さんは言っていたわ。
本土の方の屋敷で若草色の和装の女を殺して来た、と。」
そう、しっかりと一人殺して来たと言った。

それも頭がなくなるぐらいにまで踏み潰して来たと言っていた。
「はい、ちゃんと摘んで来ましたよ?この通り支給品も全て持って来ましたし?」
それがどうしたと言わんばかりの言い方、
人を殺した事への後悔の様子はないが今は関係ない。

「その和装の女の首輪はどうしたの?」

「………………あ」
「………………あら」
二人とも忘れていたようである。

しかし否定姫からしたら、
「そんな事も忘れてたの?そんなんでよく奇策士なんて務まるわね?」
と言いたい放題言える上、先ほど笑われた恨みを晴らす機会である。
普段なら絶対に逃す訳がないのだが…………

「…………まあいいわ。
七実さんの眼があれば、その女の首輪を見れば何かわかるかも知れないから、
とりあえず、まずは本土の屋敷に向かう。それで構いませんか?」
ここまで正論を言われてはいくら奇策士と言えど反論出来なかった。

「わかりました。それでは——行きましょうか」
七実が立ち一声掛け全員が、と言っても七実の他は二人だけだが、
更に言えば座っているのはとがめだけだが立ち上がり、
幕府にありと言われた二人の鬼女と、天災級の天才は動き出した。

目的地は、H-4にある赤神イリアの屋敷。
目的物は、七実が殺した名前も知らない女の首輪。
目的は、自分達の首輪を外す。
今の所はそれだけである。



これから七実の肩に乗せて貰って海を移動しようとした時、
「そう言えば、知らない誰かに会った時はどうする?」
唐突にとがめが言ったのを、
「わたしが見て、役に立ちそうになかったらむしりましょうか?」
あっさりと答え、

「否定する——最初は殺さないで置きましょう。
役にたたなそうな人でも、情報を引き出してから殺す方がよっぽど合理的よ?」
否定した。
「それもいいですね。…………いえ、悪いのかしら?」

今の所、役に立たない人間は殺す方針に決定したようだ。
あらゆる事柄を見通す天才に、奇策と否定の二人の鬼女。

今回は刀集めではない上、手加減の欠片もないだろう三人組。
彼女達が通った後に残れる者は居るのか?

容赦なく奇策に貶められるか、
ありとあらゆる事を否定され死ぬか、
草のように摘まれて終わるか、
はたまた生き残れるか、

ある意味でもっとも凶悪な三人組が行く。


【1日目 黎明 不承島 H−2】

【鑢七実@刀語シリーズ】
[状態]健康
[装備] なし
[道具]支給品一式、ランダム支給品(1〜2)、キスショットの心臓
 闇口憑依の支給品(確認済み)
[思考]
 基本 二人を守りつつ吸血鬼のパーツを探す。
 1 七花とあってみたい 。
 2 完璧な『再生力』を見取るために吸血鬼のパーツを集める。
 3 『再生力』を見取り自分の本気を出してみたい。
 4 とりあえずこの二人と行動を共にする。

【奇策士とがめ@刀語シリーズ】
[状態]健康
[装備] なし
[道具]支給品一式、ランダム支給品(1〜3)
[思考]
 基本 今の所はこの二人と行動を共にする。
 1 鑢七花を探し、見付けたら護衛させる。
 2 基本的に鑢七実に頼る。
 3 とりあえず首輪を手に入れる。
 4 奇策を練る。

【否定姫@刀語シリーズ】
[状態]健康
[装備] なし
[道具]支給品一式、ランダム支給品(1〜2)
 防弾エプロンドレスと黒縁メガネ(装備中)@戯言シリーズ
[思考]
 基本 今の所はこの二人と行動を共にする。
 1 鑢七花と左右田右衛門左衛門を探し、見付けたら護衛させる。
 2 基本的に鑢七実に頼る。
 3 とりあえず首輪を手に入れる。
 4 優勝したら願いが叶えるって、水倉神檎は何を考えているのかしら?


 *これから赤神イリアの屋敷に向かいます
 *不承島G-2にある鑢七花の住んでいた小屋には誰も入っていません


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012 鑢七実 ―
― 奇策士とがめ ―
― 否定姫 ―

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最終更新:2009年07月20日 23:54