カムロート辺境伯領

地勢

 アルディオン大陸南東部のカムロート半島及び、その根本の平地を合わせた、辺境伯領にしては広大な国土。
 半島は山地が主だが、それ以外は比較的平地がちで温暖。海洋資源、鉱山資源に恵まれた貿易国家である。

成立

 帝紀692年に、レイウォール赤竜王国領土になっていたクレスト諸島西部との交換という形でゴルフォード王国との交換領土として成立する。
 とはいえ、名目上この大陸は「帝国」という統一国家であり、この領地交換は諸侯達の猛反発を受けた。というのも、レイウォールはカムロートをエリンディルとの貿易港として拓くつもりだったからだ。
 諸港の圧力を受けてカムロートはトーラム辺境伯が治める帝国直轄地としてスタートを切った。

 このまま行けばカムロートは、統一帝の取り分を一番多くしつつ、諸王国に均等に貿易の恩恵を配分する機関になっていた事だろう。しかしそうはならなかった。
 トーラム辺境伯はレイウォールに近しい人物であり、諸国が監視の目を強める中、レイウォールに対して便宜を計り続け、関係の強化に余念がなかった。対して統一帝を擁するベルリール王国はレイウォール包囲網を作るのに切り札を使い果たし、疲弊しきっていた。
 両国はやがて戦争状態に陥り、帝紀723年の大災厄を持ってベルリールは滅亡した。戦争中、カムロートは戦時特需でレイウォールとベルリール双方から富を吸い上げ、更に大災厄のせいで諸王国間の「紳士協定」体制が崩れた為、「帝国直轄地」として統一帝に仕えるという役目からも解放された。
 カムロートは「辺境伯領」を自称しているが、基本的には王国と変わらない。帝紀812年、カムロート元首シェリー・トーラムは国号をカムロート王国に改めている。

政治

 君主である辺境伯と、国の発展の要である海商組合を始めとするいくつかの組織の代表が協議によって国策を決めていく、議会君主制。
 とはいえ実際には、帝紀812年の「王国宣言」以降は議員の大半がトーラム辺境伯自身あるいは近しい人間により占有させており、君主の発言力が非常に強い。

 余談となるが、ハリソンは竜輝石を所有していたと言われている。が、王国宣言の際、当然戴冠に用いられると誰もが考えたにもかかわらず、話題にすら出なかった。

情勢

 エリンディルとの貿易を一手に引き受けるカムロートは、概ねの国から一定の友好関係と一定の不信感を得ている。
 エリンディルとの通商ルートを持っているのはカムロートだけであり、エリンディルの品を手に入れたければカムロートと仲良くする必要がある。しかし同時にいずれの国も、この通商上の独占を疎ましく感じているのだ。

 先代君主ハリソン・トーラムはその辺りを弁えていて、国を富ませつつも、周辺諸国との関係を強化し、敵を作らないように努めた。
 しかし第一子マシューが溺死し、第二子シェリーが国を継ぐと、政策は富国強兵路線を強く打ち出すようになった。この路線転換は自由な取引を守ると商人達には歓迎されたが、為政者・権力者・生産者からは強い不満感情を抱かれている。
 そういう意味でカムロートは、流れに乗って強国になるか、出て打たれる杭になるかの瀬戸際だと言えるだろう。

軍制など

 カムロートの軍は大きく、水軍と陸上軍に分類される。
 陸上軍は税で雇い入れられた傭兵が主体で、指揮系統は貴族が請け負う。兵科は歩兵が主で、技術を要する兵科(騎兵、砲兵など)は正規軍として存在するものの、その数は少ない。
 対して水軍は全てカムロートの正規軍であり、商船団の船員でもある。彼らは国家の主導の下、時に商船員であり、時に軍人であり、そして海賊でもある。

主要な地名

  • クリスタ
 首都。国家元首であるトーラム辺境伯の居城があり、商人ギルドもこの街にある。
 開放的で垢抜けた、レイウォールなどの大国にも負けない近代的な都市である。が、また同時に数多くの情報が集まるためか、歓楽や賭博に対し寛容な法が施行されているためか、華やかな反面、あちこちに危うい影のような物が見て取れる。

著名人


諸外国との関係

 前述のとおり、多くの国はカムロートと貿易するメリットを認識しており、友好的な関係を築こうとしている。しかしカムロート一国が海外との貿易を一手に担う現状を憂慮する国は多く、一定の反発を抱かれているのも事実である。
 新君主シェリーの、気さくながら強引な手腕でカムロートはますます力を増しており、今の一種危うい均衡が崩れる日も近いのではないかと噂されている。

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最終更新:2009年10月15日 01:17