ゴルフォード王国

地勢

 アルディオン大陸東部、北をエストネル王国から流れ出す大河エル川、南をマーズ川に挟まれた、広大な王国である。
 国土は西半分が森と山地、東半分が平地と分かれている。西側からの鉱山資源と革製品が国の主な産業となり、東側からの農作物がそれらの産業に従事する人間を支えている。

成立

 帝紀296年、この地に置かれていた錬金術協会が、国の分裂による各諸侯の働きかけに対する手立てとして結束し、協会長位を持っていたウォリック・ゴルフォード公爵が領有を宣言したのが起源である。
 ゴルフォード公爵は統一帝近衛の地位にある重臣で、帝位の移譲に際し助言できるほどの立場にあったので、この限定的な「独立宣言」はすぐに受け容れられた。
 公爵領はしばらくの間公国として機能し、統治者は混乱が収まるまで協会を護ろうとしていた。が、帝紀304年にアランドラが王国を宣言すると、それに追従して自らもゴルフォードを国号とした王国として、王権を宣言した。

 王国を宣言してからのゴルフォードは、アカデミックな側面から次第に工業的の側面を強め、豊富な鉱山資源・森林資源を用いた金属・皮革製品を産業とするようになり、常に大陸内で最も先進的な兵力を持つ強国に発展した。
 元々ゴルフォードは帝国の一機関からスタートし、帝国の統一に対し、野心とは異なる動機を持っていた。その姿勢はエストネル王国の初代国王エル・ウォーデンに好ましく思えたのだろう。ゴルフォードとエストネルは二人三脚の協調関係を結び、帝紀481年には賢王と呼ばれるアドヘルム・ゴルフォード王の時代にウルフリックの家系以外から初めての統一帝が即位している。
 アドヘルムに端を発する第一次ゴルフォード統一帝時代は80年ほど続くが、次第に文民統制の悪い側面が横行するようになった。すなわち、腐敗である。腐敗できるほど国が平和だったという事でもあるのだが、富を集め気まぐれに税を浪費する統一帝に諸侯は怒り、エル・ウォーデンも愛想を尽かした。
 帝紀550年頃から各地で反乱が起こり始め、帝紀559年、崩御した統一帝グランバンの帝位を、長子フラマスが継承する事をエル・ウォーデンは認めなかった。フラマスはゴルフォード国王の座には着いたものの、統一帝の位は中央の強国アヴェルシア王国へと移行し、ゴルフォード統一帝時代は終わりを告げた。

 以後ゴルフォードはしばらく低迷の時期が続くが、帝紀700年代初頭になって、第二の黄金時代(国民はアドヘルム時代を黄金と呼び、こちらを白銀時代と呼ぶ)を迎える。
 この白銀時代の立役者サーリック王(在位687-731)はゴルフォードの成立とその国民性をよく理解して、国の産業を援助し、学問を奨励する事で国を大いに富ませた。

政治

 ゴルフォードの政治形態は、錬金術協会時代の中枢会議によく似ている。有力な貴族達が長老会議という物を組織し(というより、長老達が有力な貴族になったという方が正確だろう)、国王に対し助言をしたり援助をしたり、逆に要求をしたりしして、国をより最善に統治しようというものである。
 とはいえ、この長老会議は今ではその力を失いつつある。フロト王(在位760-804)の時代、王はそのアカデミックな性格に溺れ、錬金術に熱を上げた。長老会議はそれを諫める立場ではあったが、多才でそつなく国政をこなすフロトに甘え、一緒になって学問に熱中した。フロトの政治手腕により、在位中に問題が表面化する事はなかったが、フロト王が崩御し、弟のドワーディンが王位を継ぐと、色々と困った事態が浮上し始めた。
 学者肌ながら外交的で目敏かったフロトに比べ、冷静ながら内向的なドワーディンは王権を確固とした物にするのに数年を費やした。その間に長老会議が暴走し、研究に莫大な国費を浪費したのだ。元々学者肌・職人肌の人材が多いゴルフォード政府だが、時代も悪かったのだろう。良くも悪くも、「器用」な人材が長老会議には欠けていた。

 財政難に陥ったゴルフォード王室は、富国強兵路線を打ち出して暢気な研究を牽制し、長老会議の力を大きく殺いだ。
 長老会議は現在、表面上はドワーディンに付き従って富国強兵に務めている。

情勢

 ゴルフォードに取って、長い間脅威であり続けたのは、グラスウェルズ白竜王国である。
 エル川を挟んで国境を接するグラスウェルズとは、常に領土を取られては取り返しての関係が続いていた。しかしながら、アヴェルシア王国が消滅してからは、勢力を増すレイウォール赤竜王国に対抗する為グラスウェルズは友好的な関係を望んでおり、それは富国強兵に徹したいゴルフォードにとっても魅力的な提案だった。

 ゴルフォードに取って現在、対立関係にあるのはベルリリア地方諸国くらいである。ベルリリアとこれといって因縁があるわけではないが、ベルリリアには各国が勝手に売り買いした荘園が数多く含まれており、領土拡大をしたいゴルフォードにとっては都合の良い地域なのだ。

 帝紀812年、ゴルフォードはエストネル王国の混乱を見て、ついに軍をベルリリアのダラス自治領へと進めた。
 これはドワーディンを慎重かつ臆病な王と見ていた諸国にとって予想外であり、注目を集めている。

軍制など

 ゴルフォードの軍制は、国王の元に指揮権が統一され、非常に近代的である。
 兵自体は諸侯の配下であっても、目的に応じて特定の兵科を集中運用出来るというのは非常に有効であり、超人的な個人技が戦況を動かしてしまう事のあるこの世界においても注目されている。

 ゴルフォードの騎士団は実質、将校であり、上位の命令系統の指揮を受けて、兵卒達を縦横に動かす。
 練度自体はそれなりだが、武装度は軽装ながら充実している。
 大砲や攻城兵器、防衛柵や塹壕を駆使する用兵で電撃戦には不向きだが、同数での防衛戦ならまず負けないだろうと言われている。

主要な地名

  • ウォリックフォード
 王都。王城エンレンドリック城を中心に栄える半地下の大都市で、その堅固さは大陸でも一、二を争うと言われている。

  • ティーズタイン
 エイルニーの岩塊に築かれた海上防衛の要となる要塞。
 ヴァイキング上がりの猛将ウォトリングに率いられた勇猛な兵達が、海からの侵略に目を光らせている。

  • ハント大森林
 王国西部を覆う巨大な森林。森林内部に幾多の鉱山と森林資源を抱え、ゴルフォードの繁栄を支えている。

  • ラディンクス
 サーリックが設立した宮廷学校のある学術都市。
 エクスマキナの祖であるゴールリンが建立したエクスマキナのコア工場のうち、最も大規模な施設がここにある。

著名人


諸外国との関係

 名門でもあり、資源産出国であるゴルフォードは、諸外国と概ねにおいて友好的な関係を築いている。
 しかしながら、領土欲に燃えるゴルフォードに取って、ベルリリア地方は非常に魅力的に映っている。

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最終更新:2009年10月16日 03:01