地勢
大陸西部の大半を含み、まさに大陸を二分する勢いの大王国である。
その領土は広大なだけに変化に富み、地方毎に多彩な産業を抱えて、この西の強国を支えている。
成立
レイウォールの歴史は古く、アルディオンが未だ
フェリタニア統一帝国だった頃にまで遡る。
皇帝クラン(在位169-206)には三人の息子がいた。長子ルンバルトは賢く優しいが激しさに欠け、争い事は苦手だった。そして二子グリス・三子ベルオートともに優れた戦士であったと言う。兄弟は仲が良く、二人の弟は良い帝の資質はあるが些か頼りないルンバルトを支え盛り立てる良い将になるだろうと言われていたという。
そして帝紀206年、皇帝クランが崩御すると、帝位は長子ルンバルトが継ぎ、グリス・ベルオート両名はそれぞれ、皇帝が有していたレイウォール辺境伯、グラスウェルズ辺境伯の爵位を継いで兄の周囲を固め護った。
現在のレイウォール王家は、このグリス・フェリタニア・レイウォール辺境伯の末裔である。
帝紀287年、時の皇帝コーネルが崩御し、フェリタニア本家が途絶えると、帝国は後継者争いで割れた。その起源では仲の良かったレイウォール・グラスウェルズ両家はいずれも自分達が帝位を継ぐと言って譲らず、諸侯達は帝国というシステムが自分達を護ってくれないと悟ると各自好き勝手に自分達の領土を運営して自衛するようになった。
その混乱を終わらせ、統一帝に選ばれたのは
ゴルフォード王国の賢帝
アドヘルムであった。しかしゴルフォードによる統一帝国時代も100年と保たずに終わりを告げ、
アヴェルシア王国の
ベルガ王が統一帝の地位に就く。この頃にはもう統一帝は単に「一番有力な王」程度の意味合いしか持たず、帝国は長い分裂の時代を迎える事になった。
名門レイウォールは長らく、有力な王国であり続けたが、その分ライバルも多く統一帝の地位を得ることが出来ずにいた。
そのレイウォールが転機を迎えたのは、帝紀692年の事である。
エリンディルの
神聖ヴァンスター帝国からの使者が訪れ、貿易を始めたのだ。
ヴァンスターからの使者がレイウォールの領土に到着したのはたまたまで、彼らが望んでいたのはフェリタニア統一帝国との貿易であった。が、レイウォール王ブルグは強引にレイウォール・ヴァンスター通商条約を結び、現在の
カムロート辺境伯領の領有権を
ゴルフォード王国から買い取って貿易を始めた。
この独断専横は統一帝の咎められるところとなり、
カムロート辺境伯領は皇帝の直轄地となってその貿易による恩恵は帝国全てが得られる事になったはずだったのだが、カムロート辺境伯は言ってしまえばレイウォールの手の者であり、レイウォールに贔屓をするいびつな関係が続く事になった。
時の統一帝、ベルリールの若きクローヴィス王は手を尽くしてレイウォールの力を削ごうとし、その為レイウォールとベルリールの対立は深まる事になる。
そして帝紀715年、小競り合いから始まったレイウォール・ベルリール戦争は723年の大災厄でベルリール滅亡という形で幕を閉じ、レイウォールはベルリールの領土の1/3を併呑して終わった。
それまで、敗れても利権のやり取りだけで決着がついていた王同士の戦争が、一方の王家滅亡で終わったのは初めてのことであり、その分レイウォールへの風当たりは強かった。しかし
王権の四宝はレイウォール王ブルグを統一帝に選び、レイウォールによる統一帝時代が現在まで続いている。
政治
レイウォールの政治は基本的に、王が強い発言権を持つ絶対王政である。
古風な長老会議や地方領主から端を発した貴族階級もあるにはあるが、王権が強く、相対的に助言役程度の機能しかしていない。
情勢
現在の国家元首は知勇兼備の名君として名高い
オーギュスト・レイウォールだが、現在では病に伏せって人前に出ることはなく、第一王子
ヒューバートが実質上の政務を執り行っている。
ヒューバートの政治手腕は父譲りで、広大なレイウォールを見事に纏めていると言っていいだろう。が、オーギュストが人前に出なくなって半年ほどしてから、まことしやかにオーギュスト死亡説が囁かれるようになっている。
公表されているわけではなく、密偵達も確証を掴んでいる訳ではないが、第二王子
ベルフト、その妹で第一王女の
ステラが共に北と南に居を構え、王都から距離を取るようになったという事実がこの説に不気味な信憑性を与えている。
軍制など
レイウォールの軍事を取り纏めるのは、竜炎騎士団という将校騎士集団である。
竜炎騎士団はいわゆる「レイウォール騎士団」の一部ではあるが、指揮権の都合区別されている。
レイウォール軍は基本的に全て職業軍人と貴族であり、民兵を用いてはいない。その為規模は国土に対して小さいが、練度・武装度は非常に高く、騎兵や弩弓兵、水軍などといった技術職が充実している。
主要な地名
アルディオン最古の平城、ノルドグラムを中心に栄えるレイウォール首都。
湾に大規模な治水・護岸工事を行って築き上げた古式ゆかしい都市であり、螺旋状に伸びる城壁と、それに沿って発展を続ける事が出来る都市計画が特徴的。
エールズ海に面した城塞都市。
元々は
ベルリール王国の都市であったが、現在ではレイウォールの南の海軍拠点として、そして旧ベルリール諸侯への押さえとしての側面が強い。
メルトランド王国との国境近くに位置する貿易都市。
今のところレイウォールとメルトランドは表面立って対立してはおらず、両国の商人やエリンディルからの特産品が集まる一大商業都市である。
旧
ベルリール王国首都。今は廃墟が残るばかりで、立ち入りも制限されている。
著名人
諸外国との関係
レイウォール王は統一帝であり、名目上ながら各国に号令を出せる立場にある。
その為、積極的にレイウォールと対立しているのは
グラスウェルズ白竜王国と
ラングエンド新皇国の二国だけである。
国土の一部を奪って強引に独立した
フェリタニア王国はレイウォールにとって体内の棘だが、
ステラ王女はフェリタニア女王
ピアニィに対し柔軟な姿勢を見せていて、今のところ面と向かって事を構えてはいない。
最終更新:2009年10月16日 16:39