フェリタニア王国

地勢

 大陸中央部、キール山脈の東、旧アヴェルシア王国の西半分を領土とする、小さな王国である。
エストネル山地の東端の裾野に位置している。
 国土は内陸で海が無く、河川貿易もエストネル王国を経由するルート以外はほぼ封じられている為、事実上陸の孤島に近い状況である。
 大半を山地と森林が占めており、鉱山資源・森林資源は豊富だが、農業力は貧弱である。

成立

 フェリタニアの起源は非常に新しく、帝紀812年の春である。
 宮廷でのトラブルから出奔したレイウォール赤竜王国第二王女ピアニィが、この地でレイウォールの支配に反感を抱いていた旧アヴェルシアの民と共に独立を宣言、王位に就いたのだ。
 「フェリタニア」という名はアルディオンの民にとって特別な意味を持ち、それだけにこの出奔姫がフェリタニアという国号を宣言したのは諸国にとって、とりわけ統一帝候補たる王達にとって衝撃であった。グラスウェルズ白竜王国レイウォール赤竜王国の両王家が傍流・分家へと引き継がれ血筋を薄めたのに対し、アヴェルシアはその本家の血筋を維持しており、その末裔たるピアニィは言うなれば「ウルフリックの血を最も濃く継ぐ人物」であった。その為、その彼女がフェリタニアを宣言するというのは言うなれば他の統一帝の正当性に挑戦する行為だったのだ。

 また、これは余談の類となるが、フェリタニアはアルディオン史上初めて、エストネル王国の承認なく王権を宣言した王国である。
 周辺国家が過激な反応に出なかったのはこの辺りが原因で、諸国はエストネルの密偵集団ノーデンスによる制裁を期待した。しかしエストネルは動かず、消極的ながらフェリタニアの王権を認める姿勢を見せている。

政治

 フェリタニアの国政は、ピアニィ女王の元に集まった長老会議の協議で取り決められる。
 長老会議は有識者で構成され、新興国家の特権で古いしがらみがない分新しい知恵を得やすいが、反面過激な意見が出やすい危うさもある。

 建国英雄であるアル・イーズデイルとベネットは幸か不幸か、主君を支える意志はあっても国政には興味がないらしく、今のところ権益争いのような事態は起こっていない。
 もう一人の建国英雄、竜軍師と名高いナヴァールは長老会議の筆頭を務め、若く危うい長老議会をうまくリードして国政を取り纏めている。

情勢

 女王ピアニィと直接会った者がまず驚くのは、諸国で囁かれるピアニィ像とのギャップであるという。
 国の喧嘩腰の成立・国号に対し彼女自身はおっとりとしたお姫様であり、(戦上手であるのは確かなようだが)戦乱を嫌い、多くの血が流れるくらいなら迷わず我が身を傷つける人間なのだ。
 この姿勢は多くの民を惹きつけ、その反面で失望させている。フェリタニア内に慈悲深く心優しい君主であるのは確かだが、その慈悲は他国にも惜しみなく分け与えられ、彼女が平和の為に傷つける我が身とは即ち国民であり、国土なのだから。

 そんなアンバランスさがフェリタニアの発展を大いに支え、また同時に躍進を妨げている。
 フェリタニアが存続しているのは竜軍師ナヴァールの外交戦術に拠るところが大きく、そのナヴァール自身も女王に「貴女は覇業を成し遂げる器ではない」と告げたと言う噂があり、頻繁に書簡を交わすラングエンド新皇国に移るのではないかという不安の声も聞かれている。

軍制など

 フェリタニアの軍事力は、一言で言えばお粗末なものである。
 独自の国軍は産声すら挙げておらず、民兵と傭兵に頼り切っている。

主要な地名

  • クロフト
 フェリタニア東のクロフト山の麓に位置する鉱山都市。

  • バーランド
 フェリタニアの首都である。レイウォール時代は貴族達の避暑地として愛され、高地ながら快適な都市だが、戦時における防衛に適しているとは言い難い。

  • ルーパスディル
 エストネルとの国境近くにある都市。
 国防の重要な役割を果たす狼の牙傭兵団のホームタウンであり、事実上フェリタニア最大の軍事拠点である。

著名人

諸外国との関係

 フェリタニアと明確な同盟関係にある国はない。
 比較的友好的な関係を築いている国にエストネル王国メルトランド王国ラングエンド新皇国があるが、いずれも積極的な友好関係にあるわけではない。
 レイウォール赤竜王国とは明確に対立しているが、女王自身がレイウォール出身であり、理解者も多い為、今のところ面と向かって事を構えるような事態にはなっていない。

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最終更新:2009年10月19日 04:29