【FILE】No.2
【DATE】2013 / 3 / 30
【NAME】〝Bloc Party〟
【PLACE】水の国〝Savage Garden〟
【SUMMERY】〝D.R.U.G.S.〟による刑務所襲撃
「要求は一つ〝Savage Garden〟に収容されているジーノ=スカルノフの釈放
さもなくば力づくで、有るべき者を有るべき場所へと解放しよう」
先の〝D.R.U.G.S.〟の宣誓の傷跡も未だに癒えぬ頃
人々は更なる脅威を怯え、或いはその存在を危惧し沈黙を保っていた
その渦中
水の国の自警団へと〝D.R.U.G.S.〟代表〝Cypress〟の通信が入ったのは
今からもう10時間も前の事であった
〝Cypress〟の要求はただ一つ水の国郊外の刑務所〝Savage Garden〟
そこに収容されている凶悪犯ジーノ=スカルノフの釈放であった
自警団内部はざわめきたつ、それほどまでにジーノの名前は水の国では強い意味を持っているのだ
爆弾狂ジーノ、時限爆弾のスペシャリストである彼は〝D.R.U.G.S.〟の名の下、10年前から各地でテロを繰り返し
敵対組織8つとその構成員およそ500人を爆殺、自警団によって捕らえられ死刑を待つ身であったのだ
「市民には手を出しちゃいねぇぜ」――――ジーノの言葉はある意味正しかった
彼がその爆弾によって手をかけた人物は、それらが皆〝D.R.U.G.S.〟に敵対する組織の人物であったのだ
けれどもその被害と破壊の結果は無視できるものではなく、自警団達は半ば黙殺し、彼に一方的な死刑を押し付けた
だからこそ彼を再び外に出してしまえば、その悪意を市民へと向けることは十分に予期できる
自警団は必死の交渉を続ける、その裏で〝
UNITED TRIGGER〟及び市民の有志を募り、先遣隊を結成
〝Savage Garden〟へと、能力者達からなる防衛隊を派遣〝D.R.U.G.S.〟との戦闘に備えた
だが事態はそう上手くいかなかった
先の宣戦布告に巨悪が動いた
カノッサ機関による選りすぐられた尖兵達もまた〝Savage Garden〟へと向かう
彼らの敵は〝D.R.U.G.S.〟であり、その戦いを邪魔するであろう防衛隊でもあった……
――――PM7:51交渉は決裂、戦いの火蓋が切って落とされる
ほぼ同時刻〝D.R.U.G.S.〟内部の選りすぐりの精鋭たちが刑務所内部へと進行を始めた
防衛隊と称された人々はそれぞれ決死の戦闘を始め、その結果として多数の被害が出た
一方のジーノはこれが好機とばかりに脱獄のために能力を行使するが
その前に立ちはだかったのは第一回大会優勝者八攫 柊であった
決戦の末、ジーノは敗れたかに見えたが……
間一髪のタイミングでソレイユ=ナイトシェイドによる救出が間に合いジーノの脱獄は成功する
彼の心中に一筋の疑いを残して――――――
【BATTLE】
――――〝Ⅰ〟
≪D.R.U.G.S.≫ 霧崎舞衣 VS 〝No.18〟 シルベ・ドーンナアブ ≪カノッサ機関≫
トラックによる強襲、秩序に満ちた刑務所を一瞬にして鉄火場臭く変えるのは
実力派集団〝富嶽会〟の中でもトップクラスの力を持つ霧崎舞衣の実力なのだろう
それに相対する
シルベ・ドーンナアブは機関の精鋭部隊〝ナンバーズ〟
その中に於いて18の数字を与えられる程に死線を潜り抜けてきた者であった
瞬きする間もない刃と刃の攻防、一つ一つ重ねるたびに命が縮まりそうな程の密度
その最中、シルベが切り札とばかりに取り出した〝創炎の宝玉〟
罪神スペルビオがシルベの力を評価し授けたその宝玉が今姿を表した
為す術無い宝玉の火力に追い詰められる舞衣
けれども彼女は一瞬の隙をつき自らの刀を犠牲に反撃を見せる
三半規管をかき鳴らす轟音、シルベにダメージを与え退散させるのには十分すぎた
結果として舞衣がシルベを退ける形で、この戦闘は決した
――――〝Ⅱ〟
≪D.R.U.G.S.≫ ロバット・ムルシエ&ネロ VS ラベンダァイス ≪第三勢力≫
〝キマイラ〟―――ロバット・ムルシエを首領とするその集団は
世界でも珍しい亜人による亜人のためのマフィアであった
故に彼らと相対した
ラベンダァイスの姿に亜人達は油断を隠せなかった
――――――ただ一人、ネロを除いて
亜人達の嘲笑の言葉に、毅然とした力でラベンダァイスは敵対した
小柄なその身に孕んだ力は、亜人達を驚愕させるには十分すぎて
一人ネロだけが、その力をハッキリと見抜きラベンダァイスの前に立つ
変化の力を行使し無限の戦術を繰り出すラベンダァイスの戦法に翻弄されるネロ
彼の能力である〝シュレーディンガー〟その力を余すこと無く使用し、ギリギリの攻防を耐える
そして〝シュレーディンガー〟を反転させることによって、ラベンダァイスを何とか退ける事ができた
残った影だけが、静かに微笑むように
――――〝Ⅲ〟
≪D.R.U.G.S.≫ ビスク・フランコ VS 中邑瑛月 ≪自警団≫
ジーノの旧友であったビスクにとってこの作戦はきっと心躍るモノであったのだろう
止める者もなく進撃するその姿を、止められる者などきっと居なかった
――――――ただ一人を除いて
〝自警団〟に籍をおく瑛月、その実力は一騎当千との言葉では足りないほどに
その実力を見切ったビスクの銃撃、老獪とも言えるその戦術に瑛月は押されていた
けれども瑛月の叫びが響き渡る、ビスクの銃を破壊し剣対剣の戦いへと持ち込んだ
勝負はきっと瑛月の勝ちであった、居合の一撃がビスクを貫かんとする
だがその刹那、ビスクは脱出路を創りだした、自身の本懐を果たしたのだ
残る後味はひどく苦い、勝利の美酒と呼ぶにはひどく――――――
――――〝Ⅳ〟
≪D.R.U.G.S.≫ ジーノ=スカルノフ VS 八攫 柊 ≪第三勢力≫
美しき剣姫が降りたった、今にも外へと出ようとする悪鬼に鉄槌を下そうと
下賤な笑みをそこに浮かべたなら、ひどくノイズの混じった声が漏れる
存在すらも裏返し、交じり合う事のない存在が二つ、絡み合うように
〝Breaking Benjamin〟――――――爆弾狂の名前に相応しい破壊力の大きな能力
並の腕前ならば一方的に爆殺できるその力を前に柊はその力を微塵も褪せさせなかった
だが長い収監生活は彼の身体能力を著しく低下させていた
舌打ち一つ、こぼす理由はきっと長く戦闘を続けることの危機を告げるよう
切り裂く一閃、まるで閃光のような一撃が彼の腹部を切り裂く
だが彼も負けては居ない返り血を爆発させ反撃を試みる
けれども彼女はその上を行った彼の腹部を確実に貫いた――――――筈であった
〝Helter Skelter〟紡がれたその言葉は〝ソレイユ=ナイトシェイド〟の本性
間一髪でジーノは救出されるだろう腹部に僅かな傷を残して
――――――そして〝Cypress〟の正体に、疑念をいだいて
最終更新:2013年07月28日 12:45