一刀正伝唯刃流:中邑 瑛月




概要

「イットウショウデンユイジンリュウ」と読み、約200年前に櫻の国で発案された「能力者に対抗するための剣術」であり中邑 瑛月が操る古流剣術。
唯一刀のみで、能力や魔術など特殊な力を用いず能力者を倒すという理念からこの名がついたが、道場が辺境の地にあり閉鎖的な為知名度は皆無だったが、
瑛月が大会に参加したことがキッカケとなり少しだけ知られるようになった。しかし唯刃流の方針として入会は子供しか認めず、門下生は少ない。(武体作りの為)
特徴は「最大効率身体操作」「全体等速動作」にあり、作為的な力を使わずに全身(体幹)や体重を使い、疾く柔かく鋭く強い動作を実現する。
見えない部分を動くようにして動かすことで、腕力や脚力のみに頼り切った動きでは実現不可能な、通常では考えられないような抜群のキレを誇る動きができる。
その為単純な筋力はそれ程重要ではなく(レベルアップには勿論必要だが)、極めれば歳を取っても動きが衰えずに長く武人で居られる。
瑛月は最新の武術知識や他流派の要素をプラスして唯刃流の改良を続けており、最早道場で教えている唯刃流よりも2歩も3歩も先を行く武術となっている。
唯刃流のような古武術は古くから伝わる「身体操作術」を神聖化しており、筋力そのものに関しては現代武術とは反対に軽視していた傾向がある。
瑛月もその一人であったが水の国で最新のトレーニング科学、運動学に触れた結果筋力アップにも関心を抱き、体重は水の国に来てから10kg増加している。
現代格闘技のように「筋力」だけでもなく古武術のように「技」だけでもなく、何方も最大限活かすという思想で新たな唯刃流を構築しているようだ。


鍛錬

鍛錬の多くは技を使う上で必須になる「武体作り」に割く。体幹が唯刃流の動作の全てと言っても過言では無く、「武体」とは全身の力を100%使える身体を指す。
言葉を変えると、全ての筋肉が柔かくそしてキレのある(弛緩と緊張の幅が広い)質の高いものにすることを唯刃流では「武体作り」と呼んでいる。
唯刃流に伝わる各部位の柔軟運動により骨盤周り、肩甲骨周り、肋骨等の全ての筋肉を柔らかくできるが、武体を作るまで8年程時間がかかり忍耐力が求められる。
筋肉が柔かい程その伸縮を威力に変換できるため、使える全ての筋肉を一瞬で収縮させることで体格や腕力が無くとも重い一撃を繰り出すことを可能にする。
瑛月自身は身長172cmと体格も恵まれない為単純な力では勝てない相手も多いが、その分体幹部や下半身の強靭な筋肉、体重をフルに活かしてカバーしている。
柔軟運動もそうだが、剣術の鍛錬においても体捌きを磨く独自の鍛錬法などが数多く存在し、夜の公園では瑛月の鍛錬の姿が見られるかも……知れない。



唯刃流が求める「真の速さ」

約200年の長い歴史を持つ唯刃流は、ただ只管に『真の速さ』を求め続けてきた。それは単なる剣速や移動速度ではなく「最短工程」「最遅反応」を指す。
「最短工程」とは10工程の動作を6~7工程でする事を指し独特の動きにより実現可能となる。どの動作を減らすのかというと、「予備動作」と「繋ぎ動作」である。
簡単に言えば、床を蹴る、大きく捻る、後ろから前に体重を移動させる等といった察知され易い無駄な動きを消し(予備動作の排除であり所謂最大効率身体操作)、
全ての動きを出来るだけ同時に、部位ごとに動かすこと無く全身を一体化させて動く(繋ぎ動作の排除であり所謂全体等速動作)と言う事である。
『最遅反応』は「全体等速動作」を使い、「人の脳は一部分の動きには敏感だが全体の運動には悠長」という性質を活かし擬似的に速く見せる視覚効果を指す。
この視覚効果に最短工程が加わり、反応ができても回避が難しいという不思議な攻撃が可能である。戦い慣れしていない素人では対応は極めて困難である。
これらの技術により自身の肉体で実現可能な速度を「技」で越えることが可能となり、異常なまでの「キレ(鋭さ)」を感じさせることが出来る。




独特の足捌き

唯刃流の足捌きの特徴は「頭が上下しない」「動き出しに“予備動作”が無い」「止まる時の揺れ(戻しが)ない」「手・腰を殆ど振らない」「正中線が動かない」
というものであり、遠くからだとまるで幽霊の様と形容される。地を蹴る動きよりも地を滑る動きに近く、全身を一体化した完全なる1つの動きである。
地面を蹴ったり踏みしめたりと言う作為的な力を殆ど使わず、重心を丹田部分の一定範囲内に保ち精妙な操作を行う「支持(維持)力」で移動する仕組みである。
更にこの動きに、足裏にかかる面圧を軽くし地面・床面との摩擦抵抗を極限まで下げ、殆ど体幹部の動作だけで自由自在の運動性・機動性を得る「浮身」や、
身体が倒れる力を利用し尚且つ足裏を地面と水平に保ったまま垂直に離陸させることで重心を瞬時に移動させることができる「足裏の垂直離陸」などの技術を
導入させることで、脚力を使わずとも流水の様な変幻自在な移動を繰り出すことが可能となる。ただ無理やり弱点を挙げるとなると、速度が余り出ないことがある。



唯刃流四神の構え

唯刃流に伝わる四つの構え。これらを次々と切り替えながら能力者に相対していく。これとは別に「裏構え」という秘伝の構えもある。


玄武の構え
刀を軽く右に倒し、脇を締め肘を曲げて刀(両拳)を身体に引きつける唯刃流の防御の型。
両拳は左胸の位置で、左足を引き、膝を緩める様に曲げ、腰をしっかりと落とす。
刀を身体に引きつけることで剣先がブレず、敵の攻撃に剣が圧されにくくなる。

白虎の構え
刀を立てて右手側に寄せ左足を前に出して構える、言わば打撃フォームに似た唯刃流の攻撃の型。
斬り下ろす攻撃に限れば「四神の構え」の中で最速であり、一番柔軟で尚且つ動き回る時もこの型が一番速い。

朱雀の構え
右足を引き体を右斜めに向け刀を右脇に取り、剣先を後ろに下げた構え方。
相手から見てこちらの武器の射程距離を正確に確認出来ないために近距離の相手に有効。
切上や逆風など下方から斬り込む変則的な軌道の技を打ち込めるのが利点である。

青龍の構え
予め鞘ごと刀をへそ付近まで前に出しておく居合の構え。体の中央で構えることにより左右に隙を作らない。
刀を抜くのではなく鞘を抜く様な体捌きの独特の抜刀は反応されにくく速い。



表奥義

様々な場面を想像して編み出された為に他の流派に比べて圧倒的な量の技が存在する。全ての技は唯刃流の足捌きがあって初めて成り立つ。


飛燕
体を大きく前傾させ右足を踏み出し鞘の反りを返して下から抜き上げる。低い位置から伸びる軌道は『視界の外から刃が飛んでくる』とも表現される。
しかし下から上への動きであるために左右に躱されると一気に間合いを詰められてしまう。

逆飛燕
飛燕の上から抜き上げて下ろすバージョン。マルスの横スマッシュ。飛燕を一度見せた後に使うと効果的である。
隙は飛燕よりも大きく、低い姿勢で潜り込まれると非常に対処に困る。

燕牙
飛燕から刀を返しての袈裟切り。飛燕の後の隙を無くし、追撃の一手にもなる。

逆燕牙
逆飛燕から刀を返しての斬り上げ。要は燕返し。逆飛燕からではなく袈裟切りからの逆燕牙の方が多い。
ワザと離れすぎた間合いから逆飛燕を放ち、躱して突っ込んできた相手に逆燕牙を食らわせることもしばしば。

燕爪
飛燕で刀を抜き上げた状態から更に一歩踏み出し角度の付いた突きを中~下段に下ろす。
瑛月自身が開発し実戦レベルにまで昇華させた技であり、飛燕からの連携で最も見切りにくい。

幻牙
鞘の投擲技。納刀時には応用技の月影へと変化する。

幽牙
鞘から刀を瞬時に抜く奥義。抜刀の時に一切右手(刀身)を動かさないのが特徴。右手の力に頼らず身体の捌きで抜き刀身が一切動かないので反応し難く、速い。
あくまで鞘から抜く技であり居合では無い。咄嗟の攻撃準備や先に銃を突きつけられている時に重宝する。

月影
鞘ごと刀を抜き、相手に剣先を向けながら鞘を飛ばす。この意表を突く動作で相手を一瞬止め、その隙に一撃を叩き込む。
この技を使うという事は『旋風』が使えなくなるという事。

旋風
鞘付きの刀で相手の攻撃を受け、鞘で制している内に右側に抜けながら刀を抜き居合を叩き込む。
相手から見て流れるような動作で繰り出さねばならない此の技は習得難易度が物凄く高い。

崩山
人体における関節というアブソーバーを全て固定して全体重を乗せることにより、自らの体を同重量の鉄球と化す技術『剛体術』を使い繰り出す突き。
60kgを超える鉄球が高速で衝突する時のものと同等の威力を誇るために強固な防御を破る時に使用されるが、自身の体にも大きく負担をかける。

水切
身体を一気に沈ませ、超低空の斬撃(地面とほぼ平行)により足元を狙う。

断影
頭を動かさずに胸だけを小さく引くことで近づいていないのに近づいて見えるという唯刃流の間合い管理技術。
唯刃流独特のフェイントの一種であり、人間の錯覚を利用した技である。

影祓
わざと振り下ろしを間合いのやや外で空振り、相手が踏み込んで面を打ちに振り下ろした相手の腕に返しの切上を合わせる技。
重心を後ろに残したまま振り下ろすことと唯刃流独特の完全体幹手動の動きにより、相手の面に間に合わせることができる。同じ剣士を想定した技だが応用可能。


体は一切微動せず、肩・腕だけによる突き。刀を水平にして突く。
予備動作が皆無な為に技の出るタイミングが全く分からず反応が取りにくい。
しかし腕力のみに頼った突きなため威力はあまり無いが、本人が一番良く練習している技な為に突きのスピードは侮れない。

蜃気楼
刀を振ると同時に、手を刀の鍔元から柄尻まで滑らせることで相手に間合いを誤認させる。
強靭な握力および精妙な握力のコントロールが必要なため、十分な力量が無い者がこの技を使うと、刀を保持できず手から飛ばしてしまう事になる。


肘を畳んで腕を内側に捻り、相手に剣鋒を向けた状態から放つ変則の突き。玄武の構えで受けた直後の反撃として使うことが多い。
その構えから放たれる突きは蛇のようにうねりながら繰り出されるため見切りにくい。


抜刀と同時に相手の右側に転身し、相手を斬りつけんとする。右側へ移動する勢いを生かして空中で刀を反転させるのが特徴。
地面反力を利用した抜刀術である。


体を大きく沈ませながら相手の左側へと転身し、相手の小手を斬りつけんとする。沈ませる勢いを用いて素早く抜刀を行う。彼の得意とする技である。
地面反力を利用した抜刀術であり、抜くときの左手の鞘の引きで右足の膝の伸展を引き出し、地面反力を得て「転身」する。

隠し峰
斬撃の運動とともに剣を反転させて結果的に峰の部分で相手を打つ技であり、数少ない不殺の剣である。

神速・明鏡止閃
極限にまで身体を脱力させた状態からの、駆け込み式居合。唯刃流に伝わる表居合の中で最大威力を誇る。
唯刃流の全ての技術を駆使し、音速をも超える一閃を放つ。反動として放つと動けなくなる、「表」の最終奥義の1つ。



裏奥義

裏構えから繰り出される唯刃流の中でも高難易度を誇る奥義。瑛月は使えるは使えるのだが、その出来にはまだ満足していない様子である。


裏構え
身体の余分な力を抜き脱力し切った棒立ちに近い状態を唯刃流ではこう呼ぶ。裏の奥義を繰り出す際の構えである。

裏居合・逆抜
如何に速く剣を抜くか(最短工程)に拘り生み出した秘剣。剣速が速いのではなく、抜くまでに要する時間が最も速い。
左手の逆手で抜き、抜いた刀の背を右手で押し上げることで押しの弱さをカバーする。
技を繰り出した後の隙が多く、他の技に繋げられない等の弱点も多いが彼の裏の必殺技の一つである。

裏居合・飛蜂
相打ち覚悟の秘技。主に不利な状況で使われるカウンター。相手の接近に合わせて膝を抜き、後ろに崩れるように腰を落としながら跳ぶ。
その勢いを利用し刀を右手の逆手で抜き、相手に向かって投げつける。本人はこの技の使用=結果に関係なく実際には負けという認識らしい。
互い違いになるために命中率は高いが、自らの後退より相手の前進の方が確実に速い為に相手の攻撃を高い確率で食らうことになる。

真居合・空蝉
裏構えから股関節と膝関節、足裏までも脱力させて身体を急激に落下させながら繰り出す、跳ばずに"浮いて"その場から"落ちる"を実現した居合。
自然(体)で出せる“速さ”の最たるものそれは「落下」によってこそ生み出せると言う結論に至り、現在唯一開発途中である技である。
骨盤を後方回旋することで脚の筋肉を使わず脚を上げる技術、余分な力を極限まで抜く技術を極める程予備動作が無く自由で疲れない動きになる。
唯刃流の技術から彼が生み出したオリジナル技であり、筋肉を使わずに速度を出すという究極に武術的な技だと彼は語る。

裏・崩山
背骨を含む全身27箇所の関節の回転を連結加速させ、音速を超える突きを放つ技。
この技は唯刃流から生まれたものでなく完全に瑛月のオリジナル技である為、自身の最終奥義の1つとなっている。
突きから薙ぎに派生出来る為に完全回避がとても困難な優れた技だが、「音速」を優に越えた反動として衝撃波が自身の右手を切り刻む。

龍牙崩山
「裏・崩山」に唯刃流の技術を総動員させることで遂に完成させた最終奥義。剣速も唯刃流が求める「真の速さ」もどちらも最速を誇る。
足→腰→腕の動きではなく、腰より先に末端である腕から動かし遅れて体幹操作を乗せるという常識を打ち破った動きに加え、
人体最重量部位の頭部を振り重さを乗せ、そして肘や肩の力を抜き落下のエネルギーと刀の重さを使うことで威力を極限にまで増大させた。
更に変則の突きである「蛇」と融合させ螺旋の力を加えることによって威力と見切られにくさも強化し、脱力にも磨きをかけた。
天を優雅に舞う青龍の如くうねる軌道を描いて繰り出される突きは優に音速をも超え、捻ることで回転の力が加わったその一撃に貫けないモノは無いと言われる。
負担は「裏・崩山」をも上回り、特に捻ることで肘への負担が大きく増えた。1発放てばその腕は使い物にならなくなると言われている。薙ぎへの派生も可能。

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最終更新:2014年05月17日 03:49