『人と触れ合うのは苦手なんだ、能力者だろうとな。』
『ボルトと螺子を弄繰り回してる方がまだ建設的だよ。』
<―――概要―――>
名前:"サイファー"
性別:女
年齢:30代前半
肩先まで伸びる、緩いウェーブのかかったピンク色のロング・ヘアーが特徴的な、GIFTに所属する女性研究員。
スレンダーな体躯をどこかパンクな印象を与える派手な黒のタンクトップに包み、
その上から使い古した白衣を乱雑に羽織っているのが彼女の正装、であるらしい。
堅苦しい制服やスーツはあまり好まず、自分の好きなようにラフな格好で研究所と外を行き来する為、
その髪色も相まって非常に目立つ存在である。また喋り方はどこか男性染みている所があり、
非常に高圧的で敬語を使うつもりは一切なく、身体的な特徴と合わせて少々中性的な女性にも見えるだろうか。
また研究所内では銀縁の眼鏡を装着している姿も見られるようだが、人前では外すことも多い。
しかし顔立ち自体は非常に流麗であり、黙って綺麗な服で着飾ってさえいれば
年齢不相応な程には美人に違いないのだが、本人にその手の趣向はまるでない模様。
GIFTが『G.I.N』として外部に無能力者等からも研究員を募っているのを知り、
その後"サイファー"というコードネームを名乗りGIFTに参加した為、本名は不明である。
そういった経緯を持つ為アカデミーの卒業生と言う訳ではない(記録が残っていない)人物の筈だが、
なぜかGIFTについては古くからその存在を認識していた様子。
優れた知能と多くの知識を持ち、それらを活かした技術を用いて、応用工学の第一線で活躍する研究員である。
因って『GIFT Lab』内では主に兵器開発・運用試験までを含めた機械を専門とするグループに所属している。
天才的な発明を次々に起こすような神がかった才能こそ持ち得ないものの、
幅広い兵器類の知識や科学技術への深い造詣を持ち合わせており
幼い頃から秀才であったであろう事が伺えるが、本人は過去の事を一切語りたがらないので詳細は不明である。
また、対人関係においてもドライな面を見せる事が多く、研究チームの中でもどこか浮いており、
本人もそれを自覚しているがまったく気にする傾向はない。
『人と触れ合うくらいなら、スパナでも磨いていた方がマシ』という、倒錯的な思考を持ち基本的に誰かと仲良くするのは苦手である。
そんな彼女と運良く会話が続いたのならば、貴殿も変わり者であるという事に疑いは持てない筈だ。
若干ではあるが機械<金属>フェチなところもあり、科学信仰が強い為オカルトや魔術の類を極端に毛嫌いしている。
研究職に就きながら、自ら工具を手に取り巨大な精密機器を製作・修理・改修している為身につけた白衣は常に汚れているか、
もしくは破けて新品になっているかのどちらかである。
こういった事情も含めてか研究員と言うよりはメカニック、所謂"技術屋"に近い立ち位置におり、
それがラフな格好を好む理由にもなっているようだが――――・・・?
とかく、彼女については謎が多い。
例えば、
カノッサ機関の研究員である-
"謎の男"と戦闘を繰り広げた際にも
GIFTのメンバーらしく『無能力者は駆逐されるべし』という論調を展開しながらも
其れを口にする際の彼女の表情はどこか浮かない、と言うよりも寧ろ怒りすら感じさせる様な物であったのも事実であるし
その過去についても一切が不明、そもそも戸籍すらも持っていない彼女は一体どういった存在なのかまだ判明しておらず
少なくとも純粋に"GIFT"の思想・方針に迎合している様子ではない事が他のメンバーと全く関わろうとしないその姿勢からも分かるだろうか。
外部からの研究員、そしてその意向は不明ともなれば――――組織の人員は彼女に気を付けるべきであろう。
GIFTも一枚岩ではない、という事を思い知る羽目になる可能性は、捨てきれない筈だ。
<―――能力―――>
『ショート・サーキット』
彼女は『GIFT Lab』の研究員でありながら、また一人の"能力者"としても強靭な戦闘力を併せ持つ"兵員"である。
自身の持ち得る応用工学の知識と技術を、手にした"能力"に掛け合わせる事で変幻自在の戦術を編み出す。
『ショート・サーキット』は彼女が操る特殊能力の呼称であり、彼女が優秀なメカニックである事を証明する"ハイテク"な技術の結晶だ。
彼女は人間が体内で血液などの物質を生成するのと同様に、"ナノマシン"を体内生成できる特殊な肉体構造を持っており
その力を用いて大量生産した"ナノマシン"を体外へと自在に放出、展開し自身の脳内に思い浮かべた"設計図"の通り機械を"組み上げ"ることで
瞬時に数々の"兵器類"を作成、それら多彩な武装による幅広い戦術で能力者や無能力者を葬る事が可能。
生成される武装郡は多岐にわたり、遠隔操作の武器から自動兵器、果てはバリアやビームまで多くの武装を戦闘に用いる事が出来る。
彼女が脳内で対象となる機械の設計図、構造、特徴を認識してさえいれば理論的にはあらゆる武装郡を作成する事が出来るが
今までに一度も作成した事のない武装や、難解な造りを持つ精密機械、魔力や妖力等の特殊なエネルギーを利用する魔導具類は
特に生成に時間がかかったり、作成できなかったりすることも多く、戦闘前に予め"試験運用"してある武装でなければ
その場で瞬時に生成し戦闘に用いることは非常に困難であり、本人も苦手としている。
そしてこの能力には明確な弱点が幾つか存在しており、その象徴ともいえるものが"スタミナ切れ"、持久力に関する物である。
先述の通り"ナノマシン"は彼女の体内で"生成"されているものであり、過剰に使用することで体力・及び
体内の循環機能等に大きな悪影響を及ぼし、極端にいえば戦闘継続が困難なレベルにまで陥る危険性がある。
因って多数の兵器群を用い戦う事が出来るとはいえ、相手に合わせて有効な兵器を使わなければ(深く考えず多量に武装を生成すると)
体内でのナノマシン生成が追いつかなくなり、呼吸が乱れ、体力が落ち、視界が揺れて身体が上手く動かなくなる等
戦闘において非常に不利な状況へと逆に追い込まれる可能性が高まってしまうという。
また、精密な機構を持つ強力な火器類を生成する時にはナノマシンを大量喪失する為、一つ一つが彼女にとっての切り札になりえると同時に
命取りになる事もあり得る等、非常に"繊細さ"と"慎重さ"が求められる能力である事に違いはない。
さらに言えば、もう一つの弱点として彼女が能力を起動し、武装を生成する間はとても"無防備"になる事が挙げられる。
能力を発動する際には、放出されたナノマシンが集束し美しい銀光を発しながら武装を次々に組み立てていくのだが
その間使用者である彼女自身は、ナノマシンを操作する事に集中しなくてはいけない為、回避行動や攻撃行動が同時には行い辛くなり
一瞬一瞬に勝負を賭ける近接戦闘を得意とする能力者や、銃撃を得意とする者には格好の餌食となる事が散見される。
そして悲しい事に彼女は生身の状態であればナノマシンが体内にあるとはいえ"人間"と同様の存在であるので
手痛い攻撃をもらった場合一気に窮地に追い込まれる事も多い。頭脳労働がメインの彼女としては
強靭な肉体や膨大な体力など望むべくもなかった筈で、これが先述の体力消費に関わり総じて大きな欠点となっている。
―――要するに、打倒する場合には"サイファー"本人を叩くのがベスト、と言う事になる。
しかし一度兵器類が空間に現れた場合、彼女の持つ優秀な頭脳が生み出した凶悪な武装たちが一斉に襲い来る為
決して油断が出来ない存在である事は確かだろう。
能力は"段階"によって種類が区切られており、現在判明している内では
『第一段階』
- 遠隔操作・自動兵器等、能力者本人から離れた場所で浮遊・移動を繰り返して戦う兵器群
『第二段階』
- 装備型、能力者自身が装着・使用することで威力を発揮する純粋な火器類
と、二種類の武装が存在する事が判明している。
尚、段階が増えることで消費するナノマシンの量も増える=生成に時間がかかるので、
強力な武装を作ろうとすればする程大きな隙が生じる事も記載しておく。
以下は現在、彼女が生成した武装の一覧である。
『SUPER 8』
『ショート・サーキット 第一段階』に属する自動浮遊型斬殺兵器。
生成されるのは小型の浮遊する円盤型飛行物体で、外見は所謂"UFO"に近い物である。
円形の胴体に沿って鋭いエンジンカッターが装備されており、猛回転しながら相手へと迫る。
AIを搭載されており、カメラで視認した目標へとある程度の自立行動・攻撃も可能な他、ナノマシンによる制御で
サイファーの指示に従い飛行する事も可能だが、奈何せん精度に関しては難があり思った所に飛んで行かないという
飛行兵器としては致命的な欠陥を持つ物の、かなりの強度と高速性能を併せ持つ危険な武装である。
尚、『8』の名が示す通り生成は同時に"8つ"まで可能で、最大生成時には圧倒的な殲滅力を誇る。
『MEN IN BLACK』
『ショート・サーキット 第二段階』に属する超集束型光線砲。通称"MIB"
シルバーフレームの銃身、大型のボディを持つ強力な光線兵器、所謂『レーザーガン』である。
しかし発射されるのはサイファーのナノマシン制御によって超精密に集束された粒子であり
『ガン』と言うよりも寧ろ『カノン』に近い程の破壊力・攻撃力を誇る遠距離兵器である。
命中すれば鋼鉄はおろか大型車両や建設重機を一撃で破壊できるほどの威力を持つが
発射までに粒子の充填<チャージ>や電力供給の為のカートリッジ装填過程など
予備動作が必要になる為隙も大変大きく、また銃器自体の重量・サイズも合わせて非常に
取り回しが利き辛いので、接近戦や乱戦状態では扱う事も困難なじゃじゃ馬兵器。
また欠点として、戦闘員向きではないひ弱なサイファー本人が扱う必要がある点や
高威力を重視し過ぎて設計したが為に部品の消耗が激しく、光線兵器でありながら弾数使用制限がある事等が挙げられる。
『INDEPENDENCE DAY』
『ショート・サーキット 第二段階』に属する超電磁式防護盾。通称"ID4"
生成される武装は左腕を肩から指先へかけて覆うような形で装着されるパワー・アーマーと
その上に重なるよう配置されたガントレット、及びそれが発する電磁式のバリア<防御壁>で
敵の攻撃を防ぎ、弾き返す為の所謂"盾"に該当する物である。
ナノマシンにより電子制御された、半径50cm前後の円形電磁バリアを展開し
物理攻撃・属性攻撃両方を弾く事が出来る万能のシールドとしてサイファーの戦闘をサポートする。
特に生身を晒す事が多い彼女にはある意味で生命線とも呼べる武器の一種で、重宝している。
が、展開されるのが極狭い範囲であったり、また腕に装備される盾の為に
多角的な攻撃や同時多重の攻撃には対応できず、また反動を殺す事も出来ない為強烈な武装を相手にする場合
攻撃そのものは相殺出来ても、衝撃で彼女自身が後方へと吹き飛ぶ事は多々あるようだ。
しかし前述の通りバリアを展開するガントレットの下地に肩から指までを覆うパワー・アーマーが
装備される為、この武装を使用している時の彼女は電力によるパワー・アシストを経て怪力を発揮できる。
強力な剣士と討ち合いになったとして、この強化された左腕と盾は相当な脅威となるだろう。
最も、シールド自体を制御しているガントレット部分にダメージを与えられればバリアは無力化が可能となる。
総じて、彼女の武装は精密であるが故の脆さを持ち合わせていると記載しておこう。
―――以上が現在、彼女が使用した『ショート・サーキット』の武装類であるが
彼女の優れた頭脳を鑑みるに、これら以外にも多数の武装が存在しているであろう事が予測される。
しかし研究員と言う身でありながら何故、望んで戦闘に参加しようとするのかその事情は不明であり
またこの奇異な"能力"をどこでどのようにして手に入れたのかは、彼女以外誰も知ることはない。
生まれついての能力なのか、それとも人為的に手に入れた"技術"なのか。
唯一つ分かっている事、それはコードネーム"サイファー"が、『暗号』を意味する単語である、という事のみ。
果たしてそれが何を示すのか―――未だ、GIFTと彼女と世界が迎える結末は、誰にも判らない。
最終更新:2013年10月05日 02:17