会話文
作中の人物が何も言葉を発しない、ということはまずあり得ない。登場人物の発言を「」(カギカッコ)で囲み、それとわかるようにした部分を会話文、それ以外の部分を地の文という。
特にライトノベルや携帯小説ではその原則が破られて久しいが、物語を会話で進めていくのはやめた方がよい。会話でしか物語を進めることができないということは、すなわち地の文を書く技量が不足している、ということである。
「新・それでも作家になりたい人のためのブックガイド」では、特に駄目な例として、「書かなくても物語の流れが通るセリフ」を挙げている。具体例を挙げよう。
男は彼女を邪険に払いのける。 「あっ!」 悲鳴を上げ、彼女はその場に倒れ込んだ。 |
ここで出てくる「あっ!」というセリフは、あろうがなかろうが意味が通る。加えて、このセリフには、叫び声という意外何の意味もない。このようなセリフは丸ごと削除してしまうか、その台詞にもっと深い意味を持たせることができるよう、地の文を書き直すべきである。
また、いわゆる説明ゼリフも可能な限り避けたい。どうしても、という場合には、それが不自然にならないように場面をつなぎ、説明ゼリフが説明ゼリフとわからなくなるような工夫をすべきである。
この他、文章のテンポを崩したくない場合などに、人物の心情や言葉をそのまま地の文に埋め込んでしまう、自由間接話法という手法があることも覚えておきたい。
これを、
とする手法である。長文で使うと読み手に余計な混乱を与えるだけになるなど、使い所は難しいので、よくよく吟味して使用したい。
最終更新:2007年04月25日 00:58