強調したい言葉

  文中で、ある一つの語句を強調したい場合がある。本来であればありとあらゆる文章技法を駆使してその言葉を強調したいところであるが、そこまでする必要がない場合もある。とりあえず手っ取り早くそれを行う方法として、いくつかの手法がある。

  • 書体(フォント)を変える
  • カギカッコなど、カッコ類でくくる
  • 傍点をつける
  • 文字の大きさを変える

  以上を見ればわかるとおり、文章で読ませるという小説の本来の趣旨からは外れてしまうが、基本的には視覚の変化に訴えることになる。上はその効果が弱く、下に行くほど効果が強い。ただし、書体の変更に関しては、変える書体によって目立ち方が違うので、順位も変動する。また、それぞれを組み合わせる(書体を変えた上で傍点をつける、など)こともできる。
  ここで留意したいのは、一番下、文字の大きさの変更である。視覚的な変化が大きいので、目立つことは確かだが、これをやってしまうと途端に文章が安っぽくなってしまうので、あえて安っぽい文章を狙っているのでない限り、行わない方が賢明である。
  また、ここでも当然安易な乱用は避けたい。特にカギカッコでくくる、などといった手法は手軽にできるために乱用しがちになるが、わざわざカギカッコでくくらずとも、きちんといいたいことが伝わることの方が多い。手書きで原稿を書いているのでなければ、推敲時などにカギカッコを外して読み直してみるとよい。
  また、ある作品で、強調したい言葉を一行あけで囲む、という手法が使われていた。一行あけは非常に強力な文章区切りなので、確かに強調したい言葉は目立っていたが、個人的にはこれはやりすぎではないかと思う。
  これは私だけだったのかもしれないが、一行あけというのは、基本的にはその直前までで文章が完結しているもの、という認識があるので、文章の途中で唐突に空行があって次の行で一つの単語、さらに一行あけて文章が続く、という流れには、非常に戸惑ってしまった。
  この手法は、アリかナシかでいえばアリだとは思うが、視覚的な効果を狙っているのが見え見えであざとく、加えて読み手に余計な負担を強いるため、個人的には、それこそ乱用してほしくない手法ではある。
  もっとも、私の考えが古いだけなのかもしれないが。
最終更新:2007年04月28日 22:58