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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫
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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

第03話02

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だれでも歓迎! 編集
 誰もいない居住区のあるマンションの屋上で、彼は1人舌打ちした。

「チ―――なかなかにしぶといな」

 その言葉には、苛立ちがこもっている。
 彼の名は『形作るもの』。
 プラーナによって物体を形成する人形師。正確な情報とものを作るプラーナさえあればどんなものでも複製する能力をもったエミュレイター。
 魔王にまでは届かぬものの、その側近程度の力を有するアモルファスである。

 彼は上昇志向の強いエミュレイターであり、この結界内の世界にやってきたのも名を上げるためである。
 そしてこちらにやってきた彼は、名を上げるための手段として選んだものがある。
 それは、ファー・ジ・アースと呼ばれる世界―――彼の侵略目標地の中の、数多くの侵魔を葬った有名なウィザードを殺すこと。

 もちろん彼自身がいきなり月匣に招待しても、相手にサイコロステーキにされるのがオチだ。
 そいつは、『形作るもの』が声をかけることも出来ないほどの高位のエミュレイターを、何体も手にかけた正真正銘のバケモノ(彼視点で)である。
 そんな相手に真正面からぶつかるのは下策中の下策。そもそも彼は正面切って戦うのには能力的に向いていない。
 だから、彼がこの世界に来て最初にやったのは各世界のアーティファクト集めだった。
 そいつを殺すのに充分な戦力(プラーナ)を確保できるだけのアーティファクトを集めた彼は、夢使いとしての能力で各世界の『脅威』について情報を集めた。

 準備が整ったと判断した『形作るもの』は各世界の脅威を再現した。
 『形作るもの』は、全戦力をつぎ込んで一体の人形を作ることはしなかった。
 目標の相手はけして侮れない。たとえ地力で勝る人形を作ったとしても、そいつは必ず隙を見出して人形を打倒するだろう。その程度には知恵が回ると認識している。
 ならばどうするか。
 簡単だ、相手はウィザードとはいえ人間。肉体の限界に必ず縛られる。
 そう強い人形を用意する必要はない。一撃で倒せる程度の強さでも構わない。ただただ、数を多く用意する。

 その人形共を、相手が休むだろう時間帯に継続して投入する。
 人形はもちろん形を毎度変えて、エミュレイターが黒幕であるということを悟らせない。
 そうやって休息をとらせず、消耗させ続ける。相手がいかに強かろうとも、底はあるのだ。
 力尽きたところに姿を現し、トドメをさせばそれで終わり。それが『には形作るもの』の立てた計略だった。
 さすがに4日も不眠不休で戦うというバケモノのような体力を見せられるとは思わなかったものの、さすがにそろそろ限界のはずだ。
 しぶとさがアレの身上とはいえ、肉体を持っている以上はそろそろ無理が出てこないはずがない。
 もう少しだ、もう少しでこの計画も終わる、と考えている『形作るもの』。


 そんな彼の敗因は、気づかれる可能性があるからと『目標』を直接監視しなかったことと―――何より広い世界の中で『目標』1人しか意識していなかったことだろう。


 突然虚空より吐き出された8つの黒い球。
 次の瞬間黒い球同士を闇のラインが繋ぐ。
 立方体が完成したと同時、中に『形作るもの』を閉じ込める形で紺碧の世界が生まれた。
 『形作るもの』が息を呑む。この世界は彼にとってもっとも馴染んだ異界の感触。すなわち―――

「融合型情報制御空間『月匣』、配備完了。目標の隔離を確認」
「それにしても、無防備すぎではありませんかー?
 罠じゃないってことは調査済みでありますが、あまりに間が抜けすぎで警戒したくなるでありますよ」

 淡々とした言葉と、呆れたような声。
 ざくざく、と後ろから歩いてくる小さな足音が二つ。
 恐ろしく自身の滅びを間近に感じながら、『形作るもの』はゆっくりと背後を振り返る。

 そこには2人の少女がいた。
 吸血鬼と宇宙人というなんともおかしな組み合わせである。

 宇宙人は言う。

「あなたの思惑はすでに解析済み。『彼』の消耗を狙い、その存在を抹消しようとしたのは明白」

 吸血鬼が続ける。

「意図はしていなかったかもしれないでありますが、あの人にいなくなられるとこの『世界』が非常に危ういものになるのであります。
 本人がこの世界の『鍵』というわけではないのでありますが、いなくなられると『維持』が難しい。
 つまり―――あなたは意図せず『世界の敵』になっていた、というわけでありますな」

 なにを。
 なにを言っているんだ、こいつらは。
 そんな言葉が喉の手前までやってくるのに、言葉にはならない。
 一歩距離を詰められる度、『形作るもの』は確かに己に残される時間が加速度的に減っていくのを感じる。
 心を覆う絶望と悪寒。それらは本来彼ら侵魔が与えるものであって、味わうものではけしてない。

 しかし、少女たちにはそんなこと知ったことではないのであった。
 無表情な少女が淡々と告げる。

「『彼』には、わたしも大切なものを守ってもらったことがある。
 そして。多くの住人の守りたいものをまとめて守っている人を、害する行為を認めるわけにはいかない」
「というかあなたのやっていることは、『この世界の住人全て』を人質にとって1人を殺そうとしてるってことであります。それはちょっと見過ごせないでありますな。
 あと―――わたくしこれでもウィザードでありましてな。
 あなたはご存知かもしれないでありますが、『ウィザード』っていうのは、『誰かの大事な何か』に害を及ぼそうとする侵魔を狩るものの総称なのでありますよ?」

 いつも陽気な少女は、赤い瞳を爛々と輝かせて、闇の眷属らしい笑みを浮かべている。
 その2人の少女に、思わず退ろうとしてしまう『形作るもの』。
 そして、自分のしかけたことに顔を紅潮させる。

 ありえない。
 ありえないありえないありえないっ! たかがこんな小娘2人に、この私が後退するっ!?
 認めてはならない。我が名は『形作るもの』。人を食らって力をつけ、固有の名すらも手に入れた強大なる魔の一欠片!
 簡単ではないか、まだ魔力を秘めたアーティファクトはある。人形を作ってこの小娘共を殺して、その力をあのバケモノを殺すための力としてしまえばいい!

 だからこそ、彼は一つの選択をする。
 すなわち己の能力を存分に用いて目の前の少女達を殺すということ。
 そして彼はアーティファクトから魔力を引き出す。
 一番最初に生まれるのは、プラーナで編まれたワイヤーフレーム。
 ワイヤーフレームにプラーナの糸を巻きつけていき、テクスチャを貼り付ける。
 そして最後に中身の造形を本物と寸分違わず作り上げ―――生まれるのは、異形の群れ。
 眼窩の抜け落ちた死人。四肢に力をみなぎらせる猛獣。人の形を模しただけのヒトガタ。不定形な塊。
 ありとあらゆる世界における、滅びや厄災の撒き手にして尖兵が、青い月匣を埋め尽くす。

 それこそが彼の異能。ありとあらゆる『悪夢』の再現者、『形作るもの』。
 その軍勢を見たノーチェがうわ、と呟いて、長門が少し眉を動かす。その様子を見て『形作るもの』は恐怖を狂喜で塗り替えた。
 いけ、と命令を下せば、当然彼の悪夢の軍勢は彼の命令どおりに動き、少女達に向けて雪崩こみ―――勝負は、一瞬でついた。



 絶叫が青い月匣に響く。
 声は一つ―――『形作るもの』からだった。
 背が高い方の少女に群れの先頭の一体が触れた瞬間、悪夢の軍勢の全てが消滅。同時、まるで外郭からやすりで削られていくように蝕まれだしたのだ。
 うひゃー、と能天気な声が響く。

「牙の塔の魔術士の『自壊連鎖』を参考に、有希と一緒に『自壊連鎖因子(プログラム)』を考えてみたわけでありますが……こういう相手には効果絶大でありますな」
「情報制御空間で相手に崩壊因子を仕込むよりも、より受動的ながら攻撃的。こちらの損害も軽微」

 『自壊連鎖』、という魔術は、魔術士が魔術を放ったカウンターに用いると効果的な魔術だ。
 相手の構成する魔術を自壊に追い込み、またその術者をたどって損壊を与える攻撃のことであり―――今回のように『自分の作ったもの』で攻撃する相手には有効手段だ。
 長門は、襲い来る群れの先頭の一匹に触れて因子を解放しただけ。
 それだけで、呆気なく戦いの趨勢はすでに決まってしまっていた。

 崩れる。壊れていく。失っていく。
 そんな彼を見て、ノーチェが少しだけ目を細めた。

「わたくしケンカは嫌いでありますが、大事なモノを傷つけられるのはもっと嫌いでありましてな。
 では。 ―――<ヴォーテックス>」

 幕切れは、一瞬。
 知らない内に『世界の敵』となっていたエミュレイター『形作るもの』は、自分の起こしかけていた事態に対して、あまりに自覚のないまま、その存在を終えた。

 消滅を確認し、月匣を解除。
 ノーチェは魔石を拾うと、大きく伸びをして長門に一言。

「んー……っ! いやぁ、これで蓮司も少しはまともに眠れるはずでありますな」
「あの敵がいなくなったからといって、完璧に安心できるわけではない。
 それでも、意図的に彼を害そうとする相手がいなくなったのだから、負担は軽減されるはず」
「まぁ、どうせ本人は無茶やらかすのでありますから―――こんなことがないように、誰かが見ていなければならないでありますなぁ」
「その通り」

 まったく困った『代表』でありますなぁ、とノーチェがぼやく。
 執行部の中に上下関係はない。もちろん、年齢や学年程度の上下関係はなきにしもあらずだが、役職としての上下関係は存在しない。
 一番初めの執行委員は『特別執行委員』柊蓮司だけであり、その彼が後にやってきた『執行委員』相手に命令したりするのを嫌がったためだ。
 それが彼ら特有のつながりにもなっているのだが――― 一応、柊は唯一学生ではない(肩書きは一応学生だが)ため、『執行部代表』という呼び方で呼ばれる場合もある。
 『委員長』ではなく、あくまで彼らの一員として対外的な場において『代表』とされるわけだ。本人はそんな場に参加したことはないが。

 そんな、誰かが後ろを守らないと危なっかしくて仕方のない、自分達の『代表』にノーチェが思いを馳せていたところ、長門が時計を見て淡々と告げた。

「―――作戦開始から、すでに15分が経過。
 相手の一つが消滅したとはいえ、これ以上初春飾利からの印象を悪くする必要はない」
「うわわ、これは飾利にお土産の一つでも買っていくべきでありますかねぇ……」


 額から大きな汗を流しつつ、一人奮闘を続けているだろう少女に思いを馳せる。
 出てくる前にも、かなりの書類が溜まっていたはずだ。初春1人に任せてきてしまったことに少しの罪悪感を感じて、ノーチェは近くの転送陣に向けて軽く駆け出す。
 それに長門も追従しだした頃、そういえばとノーチェは長門にたずねた。

「有希、そういえばお昼は何してたのでありますか?
 アッシュフォードと穂群原の生徒に連絡とってたのは知ってるのでありますが」

 昼に長門は『一日執行委員代行』を2人調達し、どこかに向かったのを彼女は知っている。
 どこに向かったかまでは知らない。偶然電話を聞いてしまったが、ノーチェは勝手に相手のプライバシーを覗くことはない。
 だから、長門が話してくれることなのかどうか、確かめるために聞いたのだった。
 長門が答える声は、やはり淡々と。

「大したことではない」
「そうなのでありますか?」
「そう」

 本人が言うのなら気にすることではないか、とノーチェは思い直す。
 長門の手を掴むと、急いで戻るでありますよっ! と言って彼女は転送陣に向けて駆けていく。
 手を引かれて走る少女はやはり無表情であったが―――ただ、手を引かれるままに一緒に走っていた。



 ***

 その頃の柊蓮司。
 ―――少し前に起きた。
 現在近所の銭湯で1人極楽気分。

 ***

 夕焼けが色濃くなっていく時間帯。
 執行部室からはえんえんとキーボードを叩く音が響く。
 事件そのものは格段に減りはしたものの、今日一日起きたことを3人がかりで報告書作成しているのだ。
 3人がかりとは言っても、体力のない初春はもはやぐったりしている。つーかもはや屍っぽい。

「け、今朝溜まってたものが全部なくなったと思ったのに……なんで今日はこんなに事件が多かったんですかね。それも討伐任務ばっかり」
「なんとかそれも収まったようでありますがな。ほら、できる限りのこと今日やっちゃうでありますよ」

 へんじがない、ただのしかばねのようだ。

 ともあれ、普段の3倍くらいの頻度で出現した外敵と、いつも通りの調停執行の件数という、かなりの量の書類仕事。
 その相手との戦いも9割方終わった頃、部屋の戸が開かれた。

「お疲れ。大丈夫だったか?」

 柊だ。
 ノーチェがたずねる。

「おはようでありますよ、蓮司。ちゃんと眠れたでありますか?」
「おう。ありがとうな、久しぶりにきちんと休んだような気がするわ」

 そう快活に笑って答える柊に、いつの間にか自分用のモニターの前から離れていた長門が詰め寄る。
 まるで朝の焼き直しのように近づいた長門は、朝と同じ場所で立ち止まるとやはり無表情に言った。

「今日一日は、まだ終っていない」

 だから休め、と言外に告げる彼女の言葉に、柊は困ったように頭をかきつつ答える。

「あぁ、知ってる。せっかくもらったモンを返すほど不義理じゃねぇよ。
 せっかくもらった休みなんだから、前から一度やりたかったことをやろうと思ってな」

 やりたかったこと? とノーチェ。
 柊は頷いて答えた。

「宴会みてーな?」
「宴会ですかっ!?」

 初春復活。
 その様子に苦笑しながら、柊が答える。

「色んな連中が集まって一緒に仕事してんだから、少しくらい全員で集まって遊ぶような日があってもいいと思ってはいたんだよな。
 もちろん、宴会中に何か起きて出動できないのは困るから酒はNGだけどな」
「学生しか集まってない世界な以上当然と思うでありますが。
 ……っていうか、蓮司も未成年でありましょう」

 不良学生らしいところもあったんですね柊さん。

 ともかく。
 そんなノーチェの言葉にうるせぇよ、とツッコミつつ彼は続ける。

「今日一日手伝ってくれた奴らも呼ぶか。世話になっちまったし」
「当然蓮司のおごりでありますな?」
「学生はともかくお前は地力で稼いでるだろうが、なんでお前の分まで払わなきゃなんねぇんだ」

 その言葉に、世の世知辛さに涙するノーチェと驚いたように身を乗り出す初春。

「え、じゃあノーチェさん以外はおごりなんですかっ!?」

 執行委員、という連中は基本的に無報酬である。
 学生の活動、の範囲だと上層部―――『極上生徒会』に判断されているからだ。
 一応保険として任務中に起きた負傷については『極生』が治療費を負担し、また任務中に消費した消耗品については請求を『極生』に回すことになっている。
 だが、日々の時間的拘束や危険に向かう手当てについては何一つ規約が存在しない。
 それは柊についても同じであり、特別な給付はなく(東棟はそうと言えるかもしれないが)、多くの人間を外食に誘えるような経済的な余裕はないはずだ。
 しかし、柊はこともなげに学園世界限定電子マネーカードを取り出す。

「問題ないだろ。どっかの誰かが頑張ってくれたおかげでな」

 彼は、なぁ長門?、と続けながら楽しそうに長門を見る。
 彼女はしばらく目線をさまよわせた後、少しだけ困ったような表情をしてから、また正面から無表情に柊を見上げた。

「……それはあなたの正当な報酬。実質の行為から考慮するのなら、それでも不足」
「俺のは半ば性分だから、そんな気を使う必要はねぇんだが。
 けど、他の連中にも同じことしてくれるってメール来てたからな。だから、ありがとうな長門」

 柊が銭湯から帰る際、彼の携帯へ直接『極生』からメールが届いた。
 その内容はえらく長くて事務的で面倒な文面だったものの、要約するならこういうことである。

  • 学校同士の争いを止めるのはもともとの執行委員の『学生の活動』の一つであるため、今後と変わらず報酬を下すことはない。
  • 『異界よりのもの』と戦うことは、もともとの『学生の活動』とは異なる治安維持行動であるため、報酬を用意する。
  • 相手を『学園世界』に対する危険度によりA~Dに分類、それに応じた報酬を活動した委員個人に用意する。これまでの治安維持活動分の報酬はすでに入金済み。
  • 事務員は報告書一部ごとに報酬を用意する。これまでの分の報酬はすでに入金済み。(事務員扱いはノーチェ・初春飾利・長門有希の三名とする)
  • 柊蓮司は「肩書き:学生」であるものの、学生としての義務(就学義務)を必要としないため、他の執行委員の「保護管理義務」を負うこととなっている。
  • 「保護管理義務」が発生している日は、日給で報酬を支払うこととする。これは「特別執行委員」ではなく、「執行部管理者」としての権利とする。

 閑話休題。
 長門は、昼休みにアッシュフォード学園と穂群原学園から交渉・策謀・戦略のスペシャリストをそれぞれ1名ずつ調達。
 『極上生徒会』本部に乗り込んで交渉を成功させてきたのだった。

 彼女もまた、この世界で日夜誰かのために駆け回るこの青年に、なにかしら思うところがあったのだろう。

 礼を言われた長門は、しばらく柊の方を見た後、不意に視線を外した。

「……宴会参加者への連絡を開始する。
 今日一日『一日執行委員代行』を引き受けた人間への通達を」

 静かにそう告げた言葉に、他のメンバーが反応する。

「了解でありますっ! 飾利、今日はもう仕事うっちゃって皆で騒ぐでありますよ!
 蓮司、会場に心当たりはあるでありますかっ!?」
「ないな。ついでに手配しといてくれると嬉しい。食べ放題飲み放題のとこで頼むな」
「蓮司のケチー」
「どっちにしろお前には奢らねぇ」
「えーと、リストリスト……執行委員のみんなの他だと、花菱さんたちと、浅葱さんたちと、工具楽さんたち。
 それから植木さんのお友だちとクリスさんたち、上条さんとシスターさん、衛宮家の皆さんと遠坂さんと間桐(妹)さんとカレーの人。
 真神学園の皆さんと満潮さんたちとカズキさんと斗貴子さん。あとは友枝小のさくらちゃんと小狼くんですか。茶々丸さんと長瀬さん、ネギ先生と小太郎くんもですね。
 マリーさんやメディアさんがエリーさんとベホイミさんのお手伝いをしてくれたこともありますね」
「皆呼んじまえ。助けてもらったんだ、礼の一つもしなきゃな」

 その彼の楽しそうな表情を見て、一瞬長門は俯いて。
 小さく何事か、まんざらでもなさそうに呟いて―――すぐに再び連絡作業に戻った。



 いつも忙しい人に、小さな幸せを。
 誰かのために走り回る人に、少しの笑顔を。
 助けられた以上何かをしてあげたいけれど、立ち止まる性質の人間ではないから。
 だから、前に駆け出すことに憂いを残さないために、見えないところで立ち回る。

 大事な人を助けてくれた彼に、少しの休息を。

 fin


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