ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

第02話

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~お城にて~


さて、ここは銀河ヒイラギ帝国の風雲ヒイラギ城。
いつまで経っても立ったフラグを回収しない、恋人居ない暦十八年の柊王子の恋人を作るために、お姉さまの京子姫が舞踏会を開催した所であります。
二十歳の姫って正直どうよと思わなくもありませんが、世の中には髭面子持ちの自称平和主義者な王子様とかもいますので、特に問題はありません。
あと、どこかの戦闘民族の王子様も三十過ぎて「俺は王子だー!」とか言ってましたね。
ともあれダンスホールには国中の(性格に問題がある)美少女が集められており、盛大な賑わいを見せております。
まあ、一部の人間は王子様に全く興味を示さず、ごちそうを貪り食ってるだけだったりしていますが。

「にょー! 美味しいにょー、おかわりにょー!」
「みぱみぱー! おいしですー、食べるですー!」
「ごちそうはみんなあっしの物でやんすーーー!」

……自重しろ、おまいら。
それはそうとして、ともかく柊王子の恋人探しです。
京子姫は乗り気でない柊王子を無理矢理パーティーに参加させて、恋人探しを行います。

「蓮司ー。あんた、どういう娘が好みー?」
「い、いや、俺は……」
「あそこのチャイナドレスが似合うお嬢さんなんてどう? 結構、綺麗な脚してると思うけど」
「いや、あれ男! とてもそうは見えないけど、あれ本当は男だから!」
「だったら、あっちの神官さんは? なんだか、あんたとウマが合いそう」
「断固拒否する! ウマはまずい……ウマが合うのはまずいんだ!」
「うーん……それじゃ、あっちのメイドさんは? はちみつ色の髪がチャームポイント」
「待て! あれは駄目だ! あれだけは絶対に駄目だ! あれはきくたけヒロイン最悪最兇の地雷女……!!」

ですが、結果は芳しくありません。
ああ、何と言う事でしょう。まともなヒロインが、一人も存在しなかったのです。
ですが、これはむしろチャンスです。馬鹿騒ぎを続けるヒロインたちを掻き分けて、翠は柊王子に近付いて行きます。
そして、清純派らしく言うのです。

「ひ、柊くん! 私と踊ってください!」
「ほらほら、蓮司。よかったわね、ダンスのお誘いよ。
それじゃあ二人の邪魔をするのもなんだし、あたしは二時間ほど公園で黄昏てくるわ。あと、よろしく~」

おめでとう、翠!
ノリの良いお姉さんのおかげで、ダンスに誘う事は見事成功です!
ダンスが上手くいくかどうかは、器用度ジャッジで判定してもらいます。ちなみに、難易度は18。

「プラーナ解放! 器用度ジャッジに突っ込みます!」
「ファンブル!!」

翠は判定に成功しましたが、柊王子は失敗です。つるっと足を滑らせて、無様に転んでしまいました。

「ha-hahahahaha! ナイッスジョォォォークデェス、御主人様ァ!」
「あははははっ! だめなやつだな! ひーらぎは!」

そんな王子様を指差して、げらげら笑うヒロイン(?)たち。
肩を落として震える柊王子を、翠は清純派らしく慰めます。

「ほ、ほら。元気出して、柊くん。誰にでも失敗はあるものだから!」
「うう……」

そんなこんなで、ダンスの時間は過ぎていきます。
そう、もうじき十二時になってしまうのです。
魔法使いから借りたドレスの返却期限を過ぎてしまうと、莫大な延滞料金を毟り取られてしまいます。
そうなってしまうと、まあ大変! 請求書は意地悪な継母に送られてしまいますので、英魔さまの娘いびりが激化してしまいます。
ですが、問題はありません! 何故なら、これはシンデレラストーリーなのです!
ガラスの靴を片方落としてさえいけば、きっと王子様は翠を探してくれるはずです!

「あっ……!」
「? どうしたんだ、慌てた顔して」
「ごめんなさい、王子様……! 私、もう行かなくちゃいけないんですっ……!」

キラキラと瞳に涙を溜めながら、翠は王子様に別れを告げます。ふつーの男の子だったら、グッと来ること間違いなしです。
……ところが、どっこい。
この王子様は、とことんフラグブレイカーだったのです!

「そっか。それじゃ、気を付けて帰れよ」
「……………………はい?」

ああ、何と言う事でしょう!
王子様はお約束を完全に無視して、翠を笑顔で送り出してしまいます!
これではガラスの靴を落とすのは、あまりにも不自然極まりありません!
むしろガラスの靴を落としたとしても、全く気付かない可能性があります!

「え? え? あの、柊くん?」
「はいはい、お帰りはこちらです。足元階段で危ないから気を付けましょうね~」
「ちょ、ちょっと! ちょっと、待ってください! これ、シンデレラですよね!? 清純派の私がヒロインのはずですよねぇ!?」

……こうして翠は柊王子と結ばれる事無く、お城を追い出されてしまいましたとさ。
めでたくなし、めでたくなし。

「そ……そんなのって、アリなんですかぁぁぁぁっ!?」

オチは、ない。


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