むかしむかし、それはそれは美しい三下娘がおりました。
娘の名は、翠。カタカナでミドリだと桃尻勇者になってしまうので、決して間違わないように。
まあそれはそうとして、とにかく翠です。彼女は母親を早くに失くし、父親と二人で暮らしておりました。
ですが、ある日父親が再婚し、翠に新しい母親と、義理の姉が出来てしまったのです。
……そう。悪魔のような母親が。
娘の名は、翠。カタカナでミドリだと桃尻勇者になってしまうので、決して間違わないように。
まあそれはそうとして、とにかく翠です。彼女は母親を早くに失くし、父親と二人で暮らしておりました。
ですが、ある日父親が再婚し、翠に新しい母親と、義理の姉が出来てしまったのです。
……そう。悪魔のような母親が。
「わたくしは意地悪な継母。こじまめ、これからする私の命令に“はい”か“イエス”で答えるのです」
「あ、あの、英魔さま……?」
「英魔さまではありません! こじまめ、掃除と洗濯と料理とネトゲのレアアイテム集め、二時間以内ににやっておきなさい!」
「え? で、でも……」
「ガッデム! 母親に口答えをするとは、何て躾のなってない娘なんでしょう!」
「あ、あの、英魔さま……?」
「英魔さまではありません! こじまめ、掃除と洗濯と料理とネトゲのレアアイテム集め、二時間以内ににやっておきなさい!」
「え? で、でも……」
「ガッデム! 母親に口答えをするとは、何て躾のなってない娘なんでしょう!」
意地悪な継母は翠の事が気に入らないのか、辛い仕事を彼女に押し付けます。
寝床は粗末な藁布団。ツギハギだらけの服を宛がい、食事はあかりんお姉さんの手作りです。
寝床は粗末な藁布団。ツギハギだらけの服を宛がい、食事はあかりんお姉さんの手作りです。
「……こじまめ。これ、食べて」
「え!? え、英魔さま? た、食べるって、これをデスか?」
「……英魔さま、じゃない。私は、あなたのお姉さん」
「で、でも、なんかスープが緑色で、シュウシュウ音を立てちゃってますし……! それにポコポコ泡とか立っちゃって……!」
「……自信作」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃっ!!」
「え!? え、英魔さま? た、食べるって、これをデスか?」
「……英魔さま、じゃない。私は、あなたのお姉さん」
「で、でも、なんかスープが緑色で、シュウシュウ音を立てちゃってますし……! それにポコポコ泡とか立っちゃって……!」
「……自信作」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃっ!!」
ああ、何と可哀想な三下清貧娘なのでしょうか。
まあ、そんなわけで辛い生活を続けていた翠ですが、ある日人生の転機が訪れます。
お城で舞踏会が行われる事となり、国中の若い娘達の所に招待状が届けられたのです。
クレバー王国の矢野王子……もとい銀河ヒイラギ帝国の柊王子といえば、全世界的なアイドルです。
王子様のハートを射止めようと、大勢の娘達が張り切って舞踏会に参加します。
もちろん、それは翠も例外ではありませんでした。
まあ、そんなわけで辛い生活を続けていた翠ですが、ある日人生の転機が訪れます。
お城で舞踏会が行われる事となり、国中の若い娘達の所に招待状が届けられたのです。
クレバー王国の矢野王子……もとい銀河ヒイラギ帝国の柊王子といえば、全世界的なアイドルです。
王子様のハートを射止めようと、大勢の娘達が張り切って舞踏会に参加します。
もちろん、それは翠も例外ではありませんでした。
「柊王子様のハートをゲットして、この苦しい生活からおさらばです! これこそ清純派の私に相応しい展開ですよ!!」
ですが、何と言う事でしょう! 意地悪な継母は、翠に家の留守を命じ付けたのです!
「こじまめ、留守の間、家の事をお願いしますね」
「で、でも、私も舞踏会に参加したいです、英魔さま!」
「だから、私は英魔さまではありませんと何度も言っているでしょう、こじまめ!」
「で、でも、英魔さまは私の事をこじまめって……」
「お黙りなさい! あくまでも口答えをすると言うのなら……ロンギヌス部隊、やぁっておしまいなさい!」
『キルキルキル! キルキルキルキル!!』
「あーーーーれーーーーー!!」
「で、でも、私も舞踏会に参加したいです、英魔さま!」
「だから、私は英魔さまではありませんと何度も言っているでしょう、こじまめ!」
「で、でも、英魔さまは私の事をこじまめって……」
「お黙りなさい! あくまでも口答えをすると言うのなら……ロンギヌス部隊、やぁっておしまいなさい!」
『キルキルキル! キルキルキルキル!!』
「あーーーーれーーーーー!!」
ああ、なんて可哀想な三下小娘なのでしょう……。
このまま彼女は舞踏会に行く事が出来ず、ずっと意地悪な継母にいびられ続けてしまうのでしょうか……。
このまま彼女は舞踏会に行く事が出来ず、ずっと意地悪な継母にいびられ続けてしまうのでしょうか……。
「……ふぅ。まったく、貧乏臭い顔してるわね」
「あ、あなたは……!」
「あ、あなたは……!」
ですが、そんな彼女を幸運の女神は見捨てませんでした。
意地悪な継母から彼女を救うべく、善い魔法使いをお遣わしになったのです。
意地悪な継母から彼女を救うべく、善い魔法使いをお遣わしになったのです。
「私は魔法使いのベール=ゼファー。翠、あんたがあまりにも哀れすぎるので、しょうがないから願いを叶えにやってきたわ」
「ほ、本当ですか!?」
「ええ。あなたの望みは舞踏会に行って、王子様のハートを射止める事でしょう?」
「はい! もー、ヒロインの座はいただきです! 英魔さま、世代交代させていただきますっ……!」
「あ、そ。まあ、ヒロイン云々はどうでもいいけど」
「あ、ちょっと冷たい……」
「舞踏会に参加するには、そのみすぼらしい格好をどうにかしなくちゃいけないわけよね。
ドレスに従者、あとはカボチャの馬車を用意してやればいいんだっけ?」
「は、はい、そうです!」
「それじゃ、まずはドレスね。悪魔の蠅を売って手に入れたヴァルコで、ドレスを一着購入したわ。はい、これに着替えなさい」
「ありがとうございます、ベル様!」
「あと、従者は……」
「……待て、ベール=ゼファー。それは私の役目だと判断した」
「あ、時雨!」
「それじゃあ最後は馬車だけど……」
「……もう、用意してあるわ」
「あら、リオン?」
「そう。私は魔法使いのリオン=グンタ。カボチャの汽車を用意したから、これに乗ってお城まで行きなさい」
「馬車じゃなくて、汽車なのね……」
「……くす」
「ほ、本当ですか!?」
「ええ。あなたの望みは舞踏会に行って、王子様のハートを射止める事でしょう?」
「はい! もー、ヒロインの座はいただきです! 英魔さま、世代交代させていただきますっ……!」
「あ、そ。まあ、ヒロイン云々はどうでもいいけど」
「あ、ちょっと冷たい……」
「舞踏会に参加するには、そのみすぼらしい格好をどうにかしなくちゃいけないわけよね。
ドレスに従者、あとはカボチャの馬車を用意してやればいいんだっけ?」
「は、はい、そうです!」
「それじゃ、まずはドレスね。悪魔の蠅を売って手に入れたヴァルコで、ドレスを一着購入したわ。はい、これに着替えなさい」
「ありがとうございます、ベル様!」
「あと、従者は……」
「……待て、ベール=ゼファー。それは私の役目だと判断した」
「あ、時雨!」
「それじゃあ最後は馬車だけど……」
「……もう、用意してあるわ」
「あら、リオン?」
「そう。私は魔法使いのリオン=グンタ。カボチャの汽車を用意したから、これに乗ってお城まで行きなさい」
「馬車じゃなくて、汽車なのね……」
「……くす」
とまあ、そんなこんなで善い魔法使いの協力を取り付けた翠は、舞踏会に参加するべくお城に向かって行ったのです。
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