密航者
Ⅰ.崩れた積荷
死亡者:密航者
画像右側にある樽の中にいた、顔も名前も分からぬ密航者。
彼のおかげで
サミュエル・ピーターズの死亡シーンが確認できるようになる。
シーン再生時の音声からして男性?
積荷が落下した際に圧死してしまった模様。
死亡したことにも気づかれないまま、船首側の倉庫に樽ごと入れられてしまっている。
落下事故が無ければ生きていたかも知れないが、見つからずに生き残れる可能性は低い。
またこの先の展開を考えると、やはり生きて船から脱出することは難しかっただろう。
オブラ・ディン号に乗った時点で彼の命運は尽きていたのかも知れない。
どこへ密航しようとした?
問題点は「誰」が「どこ」へ密航しようとしたか。
- オブラ・ディン号は東インド会社の所属。
- インドまで向かうのかは分からないが、少なくとも喜望峰(ケープタウン周辺)まで航行することは確定。
ということを踏まえて考察する。
当時のインドは東インド会社に実質支配されており、働き口も会社の事務員としての雇用などが主。実地でのスパイス・キャラコ(綿布)の生産には現地のインド人が雇用されていたと思われるため、わざわざ密航してまで起業して仕事を持つメリットはあまりない。
密航者がヨーロッパ人だった場合、そもそも読み書きができなければ働き口もなく、イギリスでの生活と大して変わる見込みもないので可能性は薄い。
ここで手掛かりになるのは手記の「自由を求め、積荷に紛れて船内に潜り込んだ」という記述。
考えられるのは、奴隷・召使いとして連れてこられたインド人、ないしアフリカ人だ。イギリスの生活に耐えられなくなり故郷へ帰るため密航、という線が一番納得がいく。
もっとも、密航者がこの船がどこの所属でどこまで航行するのかを把握していたのかは定かではないが…。
参考書籍
- 東インド会社 巨大商業資本の盛衰 (講談社現代新書)
※あくまで考察なのでご意見があれば
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最終更新:2023年03月02日 14:02