スルーア(Sluagh)


スルアとも。
アイルランドに伝わる亡者の群れ。妖精もしくは堕天使であるとも。

Sluagh はアイルランドゲール語で「群れ」の意*1。犯罪者の怨霊とされ、犯行現場で罪を償わない限り永久にさまよい続けるとされる。スイバやノボロギクに雨宿りし、夜中ムクドリのごとく飛び回るとされる。

大体皆さん懲りてないので、生きた人をたぶらかして泥沼をのたうち回らせた*2り、鏃を渡して 「これへ血を付けろ」的な指示をするので、渡された人間は牛を刺して渡す*3。なんかあれらしいイゾベル・ガウディがsмじみた魔女裁判で語った所に出る、「悪魔が作り、エルフの少年が渡す」鏃はスル―アと関連するという*4

 仲間とつるんで激烈な抗争をする。その際の、喧嘩の場所に生える地衣類はフルナンスルーア(スル―アの血)と呼ばれる*5。さらにいわゆるアンシーリーコート「悪い妖精」*6として善なる妖精シーリーコートと激烈な抗争をする*7。一応「群れる」のは善なる妖精さん*8なのだが、この「亡者の群れ」の皆さんは徒党を組んでいるとされる*9

堕天使とか言われる他、彼らがスコットランドでいう妖精の一名である「丘の下のもの」として「塚から塚へ」移動する際の描写は祖霊のそれに似るとキャサリンMブリッグズ大先生が言っている*10。さらにアンシーリーコートとしては知名度高いので、ドゥアガーさんよりもよく伝播している*11。このHostっつかギリシャ系のレムレースに当たる皆さんはグレートブリテン島におけるワイルドハント?と関連付けられ*12、イングランド北部の「ガブリエルラチェット」と呼ばれる、「天空をかける猟犬」に関係があるとされる*13

参考文献

 キャサリン・ブリッグズ/石井美樹子/山内玲子『イギリスの妖精 フォークロアと文学』31頁
 水木しげる『カラー版 妖精画談』32頁
 キャロル・ローズ/松村一男『世界の妖精・妖怪事典』200頁
 キャサリン・ブリッグズ/平野敬一/井村君江/三宅忠明/吉田新一『妖精事典』20, 162, 182, 196, 292, 384, 395, 403, 430, 444, 461, 473, 474頁
 水木しげる『妖精大百科』174頁

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最終更新:2024年06月28日 16:08

*1 水木しげる『妖精画談』33p

*2 ブリッグズ『妖精事典』162頁

*3 ブリッグズ『妖精事典』461頁 なんか皆さんご本人は使えないらしいのでわざわざアブダクティを掴んで飛び、キャトルなどをミューティレートさせる

*4 ブリッグズ『妖精事典』430頁

*5 ブリッグズ『妖精事典』162頁

*6 ブリッグズ『妖精事典』20頁

*7 ブリッグズ『妖精事典』473頁

*8 ブリッグズ『妖精事典』384頁

*9 ブリッグズ『妖精事典』395頁

*10 ブリッグズ『妖精事典』182頁

*11 ブリッグズ『妖精事典』196頁

*12 ブリッグズ『妖精事典』474頁

*13 ブリッグズ『妖精事典』474頁