スキュラ(Skylla)
「
オデュッセイア」に登場する女怪。もとから怪物として誕生したわけではなく、彼女は
魔術によって美しい
ニンフから、怪物へと転身させられたのである。
美しい
ニンフであったスキュラは、元人間の青年で、現在は海の神の一員となっている
グラウコスから
求愛されるが、スキュラは
グラウコスの異形の姿を一目見て逃げ出してしまった。
グラウコスは
orzしたものの、いつまでもがっかりしているわけにもいかないと、スキュラとの恋をかなえるため、
魔術と薬学に深い知識を持つ女神
キルケーに、スキュラとの恋を成就させる方法を教えてもらおうと
出かけていった。
ところが、当の
キルケー自身が
グラウコスを気に入ってしまったから、話はややこしくなる。
キルケーは
グラウコスに対し、スキュラよりも自分を選ぶよう勧めたが、
グラウコスは
あくまでスキュラへの想いを変えようとしなかった。
そこで
キルケーは、言葉で言ってもダメなら、いっそ自分の恋敵であるスキュラを貶めてやろうと考え、
海で水浴していたスキュラに、得意の毒薬と魔術を使って呪いをかけた。
こうして、腰まで海水に浸かっていたスキュラは、この
キルケーが海に流した毒薬と魔術の影響で、
上半身はもとの美しい
ニンフのまま、下半身は6つの猛獣の頭と12本の足を持つ奇怪な怪物の姿に
変えられてしまったのである。
それ以降、スキュラはすっかり気性も恐ろしいものに変わり果て、海辺の洞窟から下半身の猛獣の頭を
伸ばしては近くを通りかかる船舶を襲撃し、乗組員を6人ずつ食い殺すようになったという。
さらにタチの悪いことに、スキュラの潜む洞窟のちょうど反対側には、同じく海の女怪
カリュブディス?が
全てを飲み込む渦潮を作っていたため、このスキュラと
カリュブディス?の住処の付近は、
航海の難所の一つとして恐れられた。
最終更新:2005年08月27日 17:50