サンタクロース

クリスマスイブの夜からクリスマスの朝にかけ、子供が寝ている間にやってきて
その子が1年間いい子にしていたならば枕元へプレゼントを置いていく老人。ちなみに悪い子にしていると、シャープス、クランプスというばけものに鞭打たれる、石炭や小枝(燃やすと暖かいので「温かい心を持て」という説教)を渡される。

「いつもはフィンランドにおり、クリスマスにはトナカイの引く空飛ぶそりに乗りプレゼントを配って回る」とされるので、お国では色々大変である。



もともと、北欧で、冬至を年の分け目とする信仰があり、その日にオーディンフレイヤトールを拝む習慣があった。

また、その日にトールが各戸を訪れ、肉(タングリスニルとタングニョーストという、脚が一本不自由なヤギさんが車を引いてるの)を屠って振舞う、という伝承が北欧に分布していた。

 そのため、キリスト教の蔓延に際し、ミュラの聖ニコラウスが八頭引きのトナカイが引く橇を操り、人々の家を訪れて、山羊の他、豚を持ってきて民衆へ齎すとされた。
 『旧約聖書』『レビ記』で、「蹄が割れたり分れたりする者のうち、反芻しない者は(食べ物的に)穢れたもの」とされるが、伝播時、欧州では冬、豚を屠って食べる習慣が根強かったので、こんなんなったらしい。

 本地垂迹論みたいなもので、トールだか、オーディンの信仰が、サンタさんになったと考えられている。

 ニコラウスは、キリスト教の伝播時において、守護聖人として信仰され、航海の守護聖人とされるほか、娘を救ったため乙女、子供(偽装牛肉になった子供を救った)とか学生(苦学してたので)、パン職人に公証人に弁護士に仕立て屋に職工に肉屋まで祝福を与えるとされる(葛野浩昭)。また商人の守護聖人でもある(アト・ド=ヴリース)。

 エフェソスがキリスト教に改宗した際、旧アルテミス神殿(七不思議の)について、ニコラウスを本尊とすることになったほか、名前が汎欧州的な「水の精霊?」を指すNick系(ネッキとかニッケルマンとか)と似るため(石田英一郎)、航海や水関係を司るニコラスはオランダでシンタ・クラースとして崇拝され、そういう皆さんが渡米の果てに(「いろいろ」あったらしい)サンタクロースを生むことになった。

 すっごいややこしいのだが、プロテスタントは聖人信仰を認めない。が、ヨーロッパでは、クリスマスになんかが来ないと民衆が立ち上がる関係で、「クリスト・キント(幼子キリスト)」と称する美少女が、子供へプレゼントを渡すということになった(「プロテスタントの とは言ってない」上にいろいろあるの)。

 またイギリスでは、「Father Christmas」と呼ばれる。レイモンド・ブリッグズの絵本『Father Christmas』は邦題が「さむがり屋のサンタ」である。イギリスではかつてサトゥルヌスを祀る古代の冬至祭があったが、クロムウェルにより禁止され、ヴィクトリア朝にオーディンであるヴァイナハツマンの影響を受けたニューファーザークリスマスが働くことになった。

 ローマでは、サトゥルヌスに関する祭りの日(二月ころ)の守護聖人聖ウァレンティヌスであるヴァレンが働いているが、クリスマスは何より夜這いの日であり、青年集団が秘密結社的な形で組まれ、そういうアレが行われた。

 サンタさんは、コカ・コーラ社ができる前から、黒い服の他、赤い服を着ている。勝利の女神ニケを冠したスポーツ用品屋さんと、「Nicos Laos」民衆のニコス(勝利)という名前の星人が商いのご利益を与えるのは多分偶然。

 フィンランドでは、ヨウル・プッキ(クリスマスの雄ヤギ)という。

参考資料


葛野浩昭『サンタクロースの大旅行』
アト・ド=ヴリース『イメージ・シンボル事典』
石田英一郎『河童駒引考』

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最終更新:2021年05月24日 12:34