- 概要
- 著作権
概要
著作物を出版するにあたり,他の出版者から別途出版されては困るという事情がある場合,著作権者から独占的な出版の許諾を得ることが必要です。ですが,このような許諾を得たとしても,通常,著作権者が約束に違反して他の出版者に別途出版の許諾を与えてしまった場合には,その別途出版の許諾を得た出版者に対してはストップをかけたり,損害賠償を求めたりすることはできません。最初に独占的な出版の許諾を得た者は,著作権者に契約違反の責任を主張できるだけです。
このような事態を防止する方法として,出版権の設定の制度.が著作権法上定められています。著作権者から出版権の設定を受けた者は,著作権者から別途出版の許諾を得て出版する者に対し,自らの出版権を侵害するものであるとしてその出版をやめさせることができます。出版権を設定されることによって,著作権者が二重に出版の許諾を与えるのを防止することができ,出版の許諾を得たにすぎない者より,安定した地位に立つことができると考えられます。ただし,文化庁に出版権の設定の登録を行わなければ,第三者に対抗することができないこととなっています。
なお,出版権の設定を受けた場合は,出版者も,著作物を継続的に発行する義務など一定の義務を課されることになります。
最終更新:2015年03月06日 00:31