概要 アミティ・ロストイルは、約5年前に発生した「大崩壊」によって滅亡したとされる、隔離型高技術都市国家「ロストイル」の生存者である。彼女はロストイルが独自に発展させた高度なエネルギー工学、通称「虚空物理学」の専門知識を有する技術者として知られる。物語の序盤において、彼女は故郷の技術の悪用を防ぐという目的のもと外部の世界へ脱出する。その過程で主人公カイトらが所属する「連合」軍と接触し、以降は彼らと行動を共にすることになる。彼女の持つ知識は、「帝国」との技術的な格差を埋めるための鍵となり、物語全体を通じて技術顧問、あるいは特定の機体の専属エンジニアとして中心的な役割を担う。
生い立ちと経緯 彼女の故郷である「ロストイル」は、古い時代に起きた「大戦」の教訓から、外界との接触を完全に断絶することを選んだ都市国家である。山脈の奥深くに築かれたこの都市は、強力な遮蔽フィールドによってその存在を隠し、数百年にわたり独自の文明を育んできた。 ロストイルの社会は、徹底した合理主義と能力主義に基づいて運営されていた。市民は幼少期から専門分野の教育を受け、アミティもその一人として、都市の動力源である「虚空物理学」の研究部門に所属していた。この物理学は、通常の空間とは異なる「虚空相」からエネルギーを取り出すという、他の地域には存在しない独自の技術体系であった。 しかし、物語開始の約5年前、この虚空エネルギーの制御を目的とした中央プラントが暴走事故を起こす。「大崩壊」と呼ばれるこの災害により、都市機能は完全に麻痺し、遮蔽フィールドも消失。都市は一瞬にして壊滅し、社会は崩壊した。アミティはこの災害を生き延びたが、家族を含む多くの市民を失った。 大崩壊後の数年間、アミティは他の少数の生存者と共に、都市の廃墟で潜伏生活を送っていた。彼女はこの間、都市の中央データベースのバックアップを回収し、知識の保存に努めていた。彼女が外部世界への脱出を決意したのは、ロストイルの技術が外部に流出し、特に「帝国」がその技術を収集・解析し、軍事転用を始めているという事実を掴んだためである。彼女は、故郷を滅ぼした技術が再び戦争の道具として使われることを防ぐため、単身で都市を離れた。 脱出後、彼女は帝国の追跡部隊に追われる身となるが、その戦闘の最中に「連合」の偵察部隊と遭遇する。当初は連合に対しても強い警戒心を示していたが、帝国という共通の敵を持つこと、そして連合の司令官アリシアが彼女の知識を尊重し、保護を申し出たことから、一時的に彼らと行動を共にすることを決めた。
作中での活躍 物語の序盤、アミティは「連合」の基地に保護された後も、自室に閉じこもり、自身の持つ知識の開示を拒否していた。彼女は連合の技術レベルを低いものと判断し、ロストイルの技術を託すに値しないと考えていたためである。 転機となったのは、「キプロス峡谷の戦い」である。この戦闘で「帝国」は、ロストイルの技術を応用した新型兵器「フェイズ・ジャマー」を投入した。これは虚空物理学の位相干渉を利用し、一定範囲内のレーダーや通信機器を無力化する装置であった。連合軍が一方的な敗北の危機に瀕した際、アミティは初めて自ら作戦室に現れ、ジャマーの理論的欠陥を指摘。特定の周波数パターンを送信することで装置をオーバーロードさせるという対抗策を立案した。この作戦は成功し、連合は辛うじて勝利を収めた。 この一件を経て、彼女は連合内に自身の専門部署を設立することを許可される。中盤、彼女は連合が過去に発掘し、解析不能のまま保管されていた人型兵器の修復プロジェクトを主導する。この機体こそが、ロストイルで開発されていた試作機「アークスレイ」であった。アミティは自身の知識を総動員してアークスレイを再起動させ、その専属エンジニア兼オペレーターとなる。 以降、彼女はパイロットであるカイトのサポート役として多くの戦闘に参加。アークスレイの虚空エネルギー兵装の調整や、戦闘データの分析、新たな装備の開発などを担当し、連合の戦術的な中核を担う存在となった。 物語の後半、彼女は「帝国」の特殊部隊によって拉致される。帝国の首都にて、彼女は同じロストイルの技術者であるゼノンと対面する。ゼノンから「大崩壊は事故ではなく、ロストイル内部の和平派による意図的な破壊だった」という事実を聞かされ、自身の信念を揺さぶられることになる。しかし、彼女はカイトたちの救出作戦の隙を突き、帝国のデータベースから重要情報を盗み出して自力で脱出。この経験により、彼女は技術の管理だけでなく、その技術を生み出したロストイルの過去とも向き合う覚悟を決める。
主な関係者 カイト・アスカ 「連合」に所属する兵士。「アークスレイ」のパイロット。直感的かつ感情的に行動するタイプであり、論理と合理性を重んじるアミティとは、物語の初期において頻繁に対立した。アミティはカイトの行動を「非効率的」かつ「危険」と評価し、カイトはアミティの指示を「冷徹」で「現実を見ていない」と反発していた。しかし、死線を共に乗り越える中で、カイトはアミティの分析の正確さを認め、アミティはカイトの持つ直感と仲間を思う心が戦局を覆す力になることを理解していく。二人は互いの欠点を補い合う、信頼できるパートナー関係へと発展する。
ゼノン・クォーツ 「帝国」の皇帝直属の技術主席。アミティと同じく「ロストイル」の生存者であり、「虚空物理学」の高度な知識を持つ。彼はアミティとは異なり、ロストイルの技術を「停滞した世界を革新する力」と捉えている。大崩壊を「古い体制の自滅」と断じ、より強力な力による世界の統一を皇帝に進言している。アミティの持つ技術的知識、特にアークスレイの制御システムを狙っており、彼女を「過去に縛られた愚か者」と呼び、幾度も接触を試みる。二人は技術の思想的対立を象徴する存在である。
アリシア・グレン 「連合」軍の方面司令官。冷静沈着な指揮官であり、アミティの能力と彼女が背負う事情を早期から理解していた人物。アミティを単なる技術提供者としてではなく、一人の人間として保護し、彼女に連合内での居場所と権限を与えた。アミティにとっては、外部の世界における最初の理解者であり、指導者のような存在である。