SDXC II(エスディーエックスシー・ツー)は、SD Associationが2027年9月に発表したメモリーカード規格である。正式名称はSecure Digital eXtended Capacity IIで、従来のSDXC規格の後継として位置づけられる。最大記憶容量は128TBまで対応し、理論上の最大転送速度は8GB/sに達する。
概要
SDXC IIは、2009年に策定されたSDXC規格の限界を克服するために開発された。SDXC規格では最大容量が2TBまでと定められていたが、4K・8K映像の普及や高解像度RAW画像の大容量化に伴い、より大きな記憶容量と高速転送を求める声が2020年代半ばから業界内で高まっていた。
この規格は、物理的な形状とピン配置についてはSDXCカードとの互換性を維持しながら、内部のファイルシステムとインターフェース仕様を刷新している。SD Associationは2026年3月の理事会において、次世代規格の開発プロジェクトを正式承認し、サンディスク、キングストン、サムスン電子などの主要メーカーが技術仕様の策定に参加した。
開発の経緯
SDXC規格は発表から15年以上が経過し、技術的な限界が顕在化していた。特に問題となっていたのは、exFATファイルシステムが前提とする2TBの容量上限と、UHS-IIインターフェースの312MB/sという転送速度の制約であった。
2024年11月、米国カリフォルニア州サンノゼで開催されたSD Association年次総会において、東芝の技術者である村田健二が次世代規格の必要性を訴える基調講演を行った。村田は、8K60fps動画撮影では1時間あたり約400GBのデータが生成されることを指摘し、現行規格では容量と速度の両面で不足が生じると述べた。
この講演を契機として、SD Associationは2025年1月に次世代規格策定委員会を設置した。委員会には日本、韓国、米国、台湾の計12社が参加し、委員長にはサンディスクのチーフエンジニアであるマーク・トンプソンが就任した。委員会は2025年3月から2027年6月までの約2年3か月にわたって技術仕様の検討を重ね、最終的な規格書は2027年9月12日に公開された。
技術仕様
SDXC IIでは、ファイルシステムとして新たに開発されたSDFS(SD File System)を採用している。SDFSはexFATの後継として設計され、最大128TBまでのボリュームサイズに対応する。また、エラー訂正機能を強化したECC(Error Correction Code)アルゴリズムを実装し、データの信頼性を高めている。
物理インターフェースには、SD Express 2.0と呼ばれる新規格が用いられている。これはPCI Express 4.0とNVMe 2.0をベースとしたもので、4レーン構成により理論上の最大転送速度は8GB/sに達する。従来のUHS-IIが採用していた専用バスアーキテクチャから、汎用性の高いPCIeベースの設計に移行したことで、コントローラー開発のコストが削減されると期待されている。
電力管理についても改良が加えられた。SDXC IIカードは、アイドル時の消費電力を従来比で約40パーセント削減する省電力モードを搭載している。これは特にモバイル機器での使用時にバッテリー駆動時間の延長に寄与する。
カードの物理サイズは従来のSDXCカードと同一の32mm×24mm×2.1mmを維持している。ただし、内部構造の見直しにより、コントローラーチップとNANDフラッシュメモリの配置が最適化されている。
互換性
SDXC IIカードは、物理的な形状が従来のSDカードスロットに適合するよう設計されているが、古い機器では正常に動作しない場合がある。SDXC II対応を明示した機器でのみ、規格の全機能を利用できる。
一方で、SDXC IIカードリーダーは、従来のSD、SDHC、SDXCカードとの下位互換性を持つ。これにより、ユーザーは新旧のカードを同一のリーダーで使用できる。
SD Associationは、機器メーカーに対して互換性表示の明確化を求めており、対応機器には「SDXC II Compatible」のロゴマークを表示することが推奨されている。
市場投入とメーカーの対応
SDXC II規格の発表後、主要メモリーカードメーカーは相次いで製品開発を表明した。サンディスクは2028年2月に開催されたCP+において、容量4TBのSDXC IIカードの試作品を展示した。同社の発表によれば、このカードの連続書き込み速度は3.5GB/sに達するとされる。
キングストンは2028年5月に、容量2TBと4TBの2モデルを同年10月に発売すると発表した。同社のプロダクトマネージャーであるリサ・チェンは、プロフェッショナル向け映像制作市場をターゲットとしていると述べている。
一方、カメラメーカーの対応はやや慎重である。ソニーは2028年3月の決算説明会において、SDXC II対応カメラの開発を進めているものの、発売時期は未定であるとコメントした。ニコンとキヤノンも同様の姿勢を示しており、市場の需要を見極めながら対応を検討している段階とされる。
パソコンメーカーでは、デルが2028年6月に発売した高性能ワークステーションにSDXC II対応カードリーダーを標準搭載した。レノボも同年9月発売のモバイルワークステーションで対応を表明している。
今後の展望
SDXC IIは、特にプロフェッショナル向けの映像制作や写真撮影の分野での普及が見込まれている。8K映像や高速連写RAW撮影の需要拡大に伴い、大容量かつ高速なストレージは不可欠な要素となっている。
ただし、一般消費者向け市場での普及には時間を要すると予想されている。SDXC IIカードの価格は、同容量のSDXCカードと比較して初期段階では2倍から3倍程度になる見通しであり、コストパフォーマンスの面で課題が残る。
SD Associationは、規格の普及促進のために認証プログラムを整備している。2028年1月からは、SDXC IIカードの性能基準を満たした製品に対して公式認証マークの付与を開始した。この認証制度により、消費者が信頼性の高い製品を選択しやすくなることが期待されている。
技術的な進化という観点では、NANDフラッシュメモリの微細化が継続的に進展しており、将来的には128TBという容量上限まで到達する可能性がある。ただし、現時点では製造技術やコストの制約により、実用化されているのは数TBまでの製品にとどまっている。
SDXC IIは、記録メディアの進化における一つの到達点として位置づけられる。SD Associationは、今後も市場の要求に応じて規格の改良を続けていく方針を示している。
概要
SDXC IIは、2009年に策定されたSDXC規格の限界を克服するために開発された。SDXC規格では最大容量が2TBまでと定められていたが、4K・8K映像の普及や高解像度RAW画像の大容量化に伴い、より大きな記憶容量と高速転送を求める声が2020年代半ばから業界内で高まっていた。
この規格は、物理的な形状とピン配置についてはSDXCカードとの互換性を維持しながら、内部のファイルシステムとインターフェース仕様を刷新している。SD Associationは2026年3月の理事会において、次世代規格の開発プロジェクトを正式承認し、サンディスク、キングストン、サムスン電子などの主要メーカーが技術仕様の策定に参加した。
開発の経緯
SDXC規格は発表から15年以上が経過し、技術的な限界が顕在化していた。特に問題となっていたのは、exFATファイルシステムが前提とする2TBの容量上限と、UHS-IIインターフェースの312MB/sという転送速度の制約であった。
2024年11月、米国カリフォルニア州サンノゼで開催されたSD Association年次総会において、東芝の技術者である村田健二が次世代規格の必要性を訴える基調講演を行った。村田は、8K60fps動画撮影では1時間あたり約400GBのデータが生成されることを指摘し、現行規格では容量と速度の両面で不足が生じると述べた。
この講演を契機として、SD Associationは2025年1月に次世代規格策定委員会を設置した。委員会には日本、韓国、米国、台湾の計12社が参加し、委員長にはサンディスクのチーフエンジニアであるマーク・トンプソンが就任した。委員会は2025年3月から2027年6月までの約2年3か月にわたって技術仕様の検討を重ね、最終的な規格書は2027年9月12日に公開された。
技術仕様
SDXC IIでは、ファイルシステムとして新たに開発されたSDFS(SD File System)を採用している。SDFSはexFATの後継として設計され、最大128TBまでのボリュームサイズに対応する。また、エラー訂正機能を強化したECC(Error Correction Code)アルゴリズムを実装し、データの信頼性を高めている。
物理インターフェースには、SD Express 2.0と呼ばれる新規格が用いられている。これはPCI Express 4.0とNVMe 2.0をベースとしたもので、4レーン構成により理論上の最大転送速度は8GB/sに達する。従来のUHS-IIが採用していた専用バスアーキテクチャから、汎用性の高いPCIeベースの設計に移行したことで、コントローラー開発のコストが削減されると期待されている。
電力管理についても改良が加えられた。SDXC IIカードは、アイドル時の消費電力を従来比で約40パーセント削減する省電力モードを搭載している。これは特にモバイル機器での使用時にバッテリー駆動時間の延長に寄与する。
カードの物理サイズは従来のSDXCカードと同一の32mm×24mm×2.1mmを維持している。ただし、内部構造の見直しにより、コントローラーチップとNANDフラッシュメモリの配置が最適化されている。
互換性
SDXC IIカードは、物理的な形状が従来のSDカードスロットに適合するよう設計されているが、古い機器では正常に動作しない場合がある。SDXC II対応を明示した機器でのみ、規格の全機能を利用できる。
一方で、SDXC IIカードリーダーは、従来のSD、SDHC、SDXCカードとの下位互換性を持つ。これにより、ユーザーは新旧のカードを同一のリーダーで使用できる。
SD Associationは、機器メーカーに対して互換性表示の明確化を求めており、対応機器には「SDXC II Compatible」のロゴマークを表示することが推奨されている。
市場投入とメーカーの対応
SDXC II規格の発表後、主要メモリーカードメーカーは相次いで製品開発を表明した。サンディスクは2028年2月に開催されたCP+において、容量4TBのSDXC IIカードの試作品を展示した。同社の発表によれば、このカードの連続書き込み速度は3.5GB/sに達するとされる。
キングストンは2028年5月に、容量2TBと4TBの2モデルを同年10月に発売すると発表した。同社のプロダクトマネージャーであるリサ・チェンは、プロフェッショナル向け映像制作市場をターゲットとしていると述べている。
一方、カメラメーカーの対応はやや慎重である。ソニーは2028年3月の決算説明会において、SDXC II対応カメラの開発を進めているものの、発売時期は未定であるとコメントした。ニコンとキヤノンも同様の姿勢を示しており、市場の需要を見極めながら対応を検討している段階とされる。
パソコンメーカーでは、デルが2028年6月に発売した高性能ワークステーションにSDXC II対応カードリーダーを標準搭載した。レノボも同年9月発売のモバイルワークステーションで対応を表明している。
今後の展望
SDXC IIは、特にプロフェッショナル向けの映像制作や写真撮影の分野での普及が見込まれている。8K映像や高速連写RAW撮影の需要拡大に伴い、大容量かつ高速なストレージは不可欠な要素となっている。
ただし、一般消費者向け市場での普及には時間を要すると予想されている。SDXC IIカードの価格は、同容量のSDXCカードと比較して初期段階では2倍から3倍程度になる見通しであり、コストパフォーマンスの面で課題が残る。
SD Associationは、規格の普及促進のために認証プログラムを整備している。2028年1月からは、SDXC IIカードの性能基準を満たした製品に対して公式認証マークの付与を開始した。この認証制度により、消費者が信頼性の高い製品を選択しやすくなることが期待されている。
技術的な進化という観点では、NANDフラッシュメモリの微細化が継続的に進展しており、将来的には128TBという容量上限まで到達する可能性がある。ただし、現時点では製造技術やコストの制約により、実用化されているのは数TBまでの製品にとどまっている。
SDXC IIは、記録メディアの進化における一つの到達点として位置づけられる。SD Associationは、今後も市場の要求に応じて規格の改良を続けていく方針を示している。