我は毛利元就。日輪の申し子なり。
気分良く朝の洗顔をすべく、手水場へ向かっている。
が。
「おや。おめざめですか。さくやはたのしすぎて、さけをすごしすぎたようです」
…いつの間に来たのだ、越後の軍神よ。しかも我が城の手水場を勝手に…
…ええい、もう良い。どうせ朝餉も食うのであろう。勝手に食らい、早々に立ち去るが良い…
「ありがたく。そなたにも びしゃもんてんのごかごがありますよ」
…我には日輪のご加護で充分だ。
…昨夜の面子が勢揃いする広間で朝餉を取るべく広間へ向かおうとするとすでに騒がしい上に何やら
「オー前ノオーカズーハ、オーレノーモノー!ダシ巻キタマゴ、ウーズ巻イテマース!」
等と聞き覚えのある毛唐の声が聞こえてきた。…来ていたのか…
…広間での朝餉は正直気分が滅入りそうなので侍女に命じ、居室で取ることとする。
…侍女はさも当たり前の如く我の膳と、器に盛った仔猫の餌を運んできた。
フン、こうでなくてはな。我の手駒たる者、かくあるべし。
仔猫は鰹節の乗った飯を旨そうに食らっている。
「それから殿様…猫ちゃんの厠をこしらえたのですが…」
ほう?手早いのだな。…見ると大きめの箱に玉砂利がしきつめられている。
ふむ、ここではばかるよう躾ければ良いのだな…?良い出来であるな。
侍女は膳と器を下げようとしている。
…貴様、しばし待て。
「ひっ…な、何か粗相でも…?」
……彼奴はどちらだ?
「…?どちら、と申しますと…?」
…だから雄であるのか雌であるのか、いずれかっ!答えるが良いっ!
「ああ、この猫ちゃんですか?この子は雌にござります。…お名前をお決めになりまするか?」
…差し出がましい口を…手駒風情が我に畜生如きの名を考えよ、と?
「も、申し訳ございませんっ!お許しを…」
涙目になって許しを乞う侍女。…フン、厠の功績に免じて命だけは助けてくれよう。
…もう良い、その仔猫をを連れて、去るがいい。これより我は執務に入る。
ぬこ6
最終更新:2006年09月18日 03:56