「……焼けたね」
母方の実家から戻った同居人は、南国の日差しで様変わりしていた。アウトドア派で日の光を浴びることは多い同居人だが、ここまで日焼けするのは珍しい。
そんなに焼けたかなと笑いながらソファに腰掛けるやいやな、同居人は向こうでの話を始める。やれあれが美味しかった親戚の誰それがどうだ海が綺麗だった写真撮った――矢継ぎ早に繰り出される土産話。
誰にでも明るく話好き、太陽のようと称されることもある同居人とはいえ、今日のそれは真夏のギラギラした日差しのようだ。
その圧にこちらの肌まで焼けてくる気がして、話の隙をつきコーヒーを淹れると告げてキッチンに退避する。
長旅で疲れているかと思いきやなんたる元気さだろうか。それほど向こうが楽しかったか。コーヒーとミルクをカップに注ぎ茶色の液面を眺めながら、
見慣れぬ色の横顔、その満面に明るさをたたえた表情を思い出し、少しちくりと痛みを感じた。
そんなに焼けたかなと笑いながらソファに腰掛けるやいやな、同居人は向こうでの話を始める。やれあれが美味しかった親戚の誰それがどうだ海が綺麗だった写真撮った――矢継ぎ早に繰り出される土産話。
誰にでも明るく話好き、太陽のようと称されることもある同居人とはいえ、今日のそれは真夏のギラギラした日差しのようだ。
その圧にこちらの肌まで焼けてくる気がして、話の隙をつきコーヒーを淹れると告げてキッチンに退避する。
長旅で疲れているかと思いきやなんたる元気さだろうか。それほど向こうが楽しかったか。コーヒーとミルクをカップに注ぎ茶色の液面を眺めながら、
見慣れぬ色の横顔、その満面に明るさをたたえた表情を思い出し、少しちくりと痛みを感じた。
リビングに戻ると、同居人は静かに寝息を立てていた。さすがに落ち着いて気が抜けたか、糸が切れたように眠っている。少し呆れつつカップを置き、隣に腰掛ける。
今淹れたコーヒーにも似た、しかし普段の姿とは似ない茶褐色の肌。それに少し心を乱されていることに気づき、落ち着こうとコーヒーを一口啜る。
と、同居人が僅かに身じろぎした。
緩やかなシャツの襟ぐりがずれ、それまで隠されていた地肌が露になる。
健康的な色合いの首筋とは対照的な、透き通るような白い肌。
見慣れた色の、自分のよく知るその色。
それを目にした途端、すっと安心した自分を知覚した。
「おかえり」
さっきは口にしなかった言葉が笑みと共に口をつく。
と同時に、別の者が目に入った。
垣間見えた地肌と、日焼けした肌の境界線。
滑らかな城と、どこか艶めかしさのある褐色とのコントラスト。
見知った色と、見知らぬ色の、隣り合う場所。その領域に、その魅惑に、知らずに手が伸びていた。指先が今にも、触れ――
今淹れたコーヒーにも似た、しかし普段の姿とは似ない茶褐色の肌。それに少し心を乱されていることに気づき、落ち着こうとコーヒーを一口啜る。
と、同居人が僅かに身じろぎした。
緩やかなシャツの襟ぐりがずれ、それまで隠されていた地肌が露になる。
健康的な色合いの首筋とは対照的な、透き通るような白い肌。
見慣れた色の、自分のよく知るその色。
それを目にした途端、すっと安心した自分を知覚した。
「おかえり」
さっきは口にしなかった言葉が笑みと共に口をつく。
と同時に、別の者が目に入った。
垣間見えた地肌と、日焼けした肌の境界線。
滑らかな城と、どこか艶めかしさのある褐色とのコントラスト。
見知った色と、見知らぬ色の、隣り合う場所。その領域に、その魅惑に、知らずに手が伸びていた。指先が今にも、触れ――
「んぁ……?ああ、寝てたのか……」
「…………おかえり」
「?ただいま」
「…………おかえり」
「?ただいま」
不思議そうな顔をして目をこする同居人の首筋に、もう一度だけこっそりと目をやった。
内心の動揺と、僅かな興奮を、気取られないようにしながら。
内心の動揺と、僅かな興奮を、気取られないようにしながら。
……
日焼け痕はエッッッッなんだなぁ。もるを
3:58:57頃より
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