千夜一夜Ⅱ

千夜一夜Ⅱ
自分の犠牲を最後にこの惨劇が終わる事を祈るセラザードの前で、あなたは何も話すことができなかった。
しかし、あなたの中で揺るぎない決意が瞬時に全身をよぎる。

国王を、この悲劇を何としても止めなければならない。そして・・・セラザードを助けたい。

「そういえば・・・」

あなたの武勇談に対し強い好奇心に満ち、耳を傾けた国王の姿が浮かんだ。

「私に名案があります。」

高い場所で一日中大臣たちと政治の話しをする国王の日常は陰鬱で退屈に満ちていた。
そんな国王にとって異国の冒険家の武勇談は実に興味深い話だったのだ。

もしセラザードがそんな貴重な話を国王に話すと、国王も彼女の話しに耳を傾けるのではないか?

「寝室で国王に話を聞かせてください、そして夜が明けたとき、話を止めてください。
そうすると残りの話が気になった国王はあなたを生かし、また話を聞こうとするでしょう。」

「でも私が知っている限りの話しでは、そこまで神秘に満ちた話はございません。」

子供の頃から様々な本を読んできたセラザードだったが、やはり彼女も王国の中で生きた身だった。
彼女が知っている話は、他の人も知っている話ばかりである。
そんな彼女に王が関心を持つ興味深い話しなどあるわけない。

「心配しないで、物語は私が用意します。」

あなたは微笑み、そして・・・

「私は冒険家ですから。」

国王の怒りと悲しみで起きた悲劇的な事件と、死の前に立ちはだかろうとする女性との出会い。
あなたの冒険は、このアラビアの中心で再びスタートしようとしている。
最終更新:2013年03月06日 20:01