【財】たからのやま ◆qp1M9UH9gw


「……凄い……凄すぎるよ……!」

市街地にて一人高揚感に浸っているのは、「仮面ライダーディエンド」こと海東大樹である。
彼の手には、一枚の緑色のコインが握られていた。
最早説明は不要だろう――この殺し合いで重要な役割を果たすアイテム「コアメダル」の一つである。
九つの世界のどれにも属さない、未知の道具を手に入れた彼の高揚感と言ったら、それは凄いものだった。
新しい玩具を買ってもらった子供の様に目を光らせ、口元は笑みを隠しきれずにいる。
この様子からして、彼が如何に「お宝」に執着しているかが理解できるだろう。

(本当に僕はツいてる……此処はお宝の山じゃないか!)

メダル以外の支給品にも、彼がまだ見た事のないような「お宝」があった。
自分に支給された品だけでこれだ――この地にはきっと、まだ自分の見た事のない数多くの「お宝」が集まっているに違いない。
例えば、先程首を刎ねられてしまった少女が使用した機動兵器らしきもの。
一瞬にして装着を完了させたそれは、「仮面ライダー」の変身システムに近いものを感じた。
少女を止めようとした、あるいは彼女の名を呼んだ数名は間違いなく彼女の関係者。
彼女の「お宝」に近いもの――もしくは「お宝」そのものを所持している可能性が高いだろう。
あの貴重な財宝を、何としてでも手に入れたい。
それこそディエンドの力を利用してでも、彼女らの手からあの「お宝」を盗んでみせたかった。

勿論、海東にとっては欲しい物はそれ一つだけではない。
今この手にあるコアメダルも、そしてまだ存在するであろう「お宝」も、一つ残らず独占するのが彼の目標である。
それは、主催者である真木が所持しているであろう物も例外ではない。
これだけ大規模な誘拐を行い、なおかつここまで広大な土地を所有しているのなら、
きっとそれ相当の「お宝」を彼は隠し持っているに違いない。
貴重な「お宝」を一気に手に入れられる、千載一遇のチャンスだ。
ありとあらゆる手段を駆使してでも、全てのお宝を手に入れなければならないだろう。

しかし、やるべき事を終えた後は、どうやって脱出すればいいのだろうか。
当然と言えば当然だが、海東の世界を渡る能力は、今の所封印されてしまっている。
首輪を解除しようにも、そんな都合良く行くとは到底思えない。
仮に解除できたとしても、その頃には何かしらの形で先手を打たれるのがオチだ。
やはり一番手っ取り早いのは「自陣営の勝利」――つまり、殺し合いに乗る事だろう。
この地には士を始めとする世界を旅する者も連れて来られているようだが、彼らとはそれ程友好な関係にあるわけではない。
決心をするには、時間はかからなかった。
今、海東の首輪のランプに灯っている光は、白熱電球の発する光とほとんど同じ色――つまりは「白」である。
これはつまり、他の白陣営の者と協力して他の色の陣営の者を滅ぼせという意味だ。
まずは同じ色の参加者、あるいは他陣営でも自分の目的の為に利用できそうな者と接触を図るべきだろう。

と、その時。
海東の目が、上空を目覚しい速度で移動する物体を捉えた。
遠くてはっきりとした姿は確認できないが、あれはもしや、海東がホールで見たあの機動兵器の一種ではないか?
そうと分かった時には、既に海東は次の行動に身を移していた。
近くに置かれてあった自動販売機に、セルメダルを一枚投入。
すると、瞬く間にそれは変形していき、やがてバイクの姿を形取ったではないか。
これこそ、鴻上ファウンデーションが開発した開発した特殊バイク「ライドベンダー」である。

「これがライドベンダー……これも中々だけど、やはりあれには及ばないね」

光悦とした表情で海東が見据えるのは、さながら鷹の如く空を滑空する青い機体。
決めた。まずはあれを記念すべき最初の「お宝」として頂こう。
いきなり大物に出会えた――これから出会う「お宝」に心を躍らせながら、"怪盗"はアクセルを踏んだ。


――海東大樹の欲望は「物欲」。

――この世に手にするべき財宝がある限り、彼の欲望(メダル)は積み上がっていく。


【一日目―日中】
【E-6/市街地】

【海東大樹@仮面ライダーディケイド】
【所属】白陣営
【状態】健康、ライドベンダーに乗車中
【首輪】所持メダル「99」(増加中):貯蓄メダル「0」
【コア】クワガタ:1
【装備】ディエンドライバー@仮面ライダーディケイド
【道具】基本支給品一式、不明支給品1~2
【思考・状況】
基本:この会場にある全てのお宝を手に入れて、この殺し合いに勝利する。
 1:空を飛ぶ「お宝」(IS)の元に行き、それを手に入れる。
 2:他陣営の参加者を減らしつつ、お宝も入手する。
 3:いずれ真木のお宝も奪う。
※「555の世界」編終了後からの参戦
※ディエンドライバーに付属されたカードは今の所不明
※セシリアの目的地に向かって移動します。


012:A New Hero. A New Legend. 投下順 014:エアリアルオーバードライブ
012:A New Hero. A New Legend. 時系列順 015:近くて遠い現在地
GAME START 海東大樹 039:断片交錯のダイバージェンス


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最終更新:2017年03月02日 20:53