ハワイから愛をこめての巻
梅さんこと梅三郎の恋敵・南先生は幼なじみの初恵と結婚。
梅さんは外国人寿司職人養成のため、愛するヨシコ先生を残してハワイへと旅立った。
そして1年後──
ハワイ、現地人のカップルたち。
「Let'go to the Ume-sushi」「Oh! Good idea」
梅三郎がハワイで開店した寿司屋。
梅三郎「らっしゃ──い!! 奥のほうへどうぞ」
店内には現地の大勢の客たち。電話が鳴り、現地人の店員が電話をとる。
店員「サンキュー マイドアリガトゴザイマース マスター ダイヤモンドホテル ニギリ30人前ネ」
梅三郎「バッキャロ──ッ なん回いったらわかるんでぇ マスターじゃねぇ! だんなだ だんな」
店員「ゴメンナサイ マスター」
梅三郎「マスターじゃねぇってば! ホレ さっさと出前にいかねぇか」
客「ヘイユー ランボウネ!」
梅三郎「お客さん 乱暴とちがいやすぜ 威勢がいいっていってくだせぇな」
客「イセイ?」
梅三郎「そ すしなんてな 威勢のいいもんでやスからね──っ」
店員「マスター マスター」
梅三郎「なんだおめぇ まだいってねぇのか」
店員「コレ」
梅三郎「手紙? おっ 航空便じゃねぇか なっつかしいぜ!! 日本のにおいがすらぁ!」
店員「イツモハナシテル マスターノコイビトカラデスカ? コノー ニクイニクイ!」
梅三郎「こんにゃろ 油売ってんじゃねぇ! さっさと出前にいかねぇか」
店員はカップルを冷やかしつつ、出前に向かう。
店員「ヘーイ ニクイヨ オフタリサン コノォー シネシネ!」
そして夜もふけて閉店。店員たちが帰ってゆく。
店員たち「マスター オツカレサマ!」「オサキニシツレイシヤス」
梅三郎「おっ ごくろう あしたもたのむぜ へへ…… あいつ やっと板前らしくなってきたぜ シツレイシヤスかァ…… へへ……」
自室で梅三郎が手紙を開く。日本のひろしからの手紙。
梅三郎「へへ…… 野郎 なに書いておくってきやがったかな……」
梅さん元気かい
梅さんがハワイに行ってから もう1年もたつんだね……
はやいなァ
おれも中学三年生
あいかわらず女のこにもててもてて
梅三郎「か~っ あいかわらず きったねぇ字だなァ…… これで中学三年かい……」
手紙からひろしが飛び出し、苦笑する。
ひろし「ハハ…… 字のきたない人は心がきれいというからね ところでさァ 梅さん……」
京子ちゃんさぁ
この1年でぐっと色っぽくなっちゃったんだぜーっ
おれ こまっちゃうよなーっ
梅三郎「京子ちゃんなんかどうでもいいんでぇ ヨシコ先生はどうした ヨシコ先生は」
南先生の赤ちゃんをおなかにやどし
梅三郎「なぬ?」
あわてんなよ
赤ちゃんをおなかにやどしたのは初ちゃんだよ!
南先生は今からもう親バカぶりを発揮してるんだぜ
梅三郎「そうかそうか ガキができたか…… それでヨシコ先生は?」
ゴリライモは中学卒業して
今やゴリラ魚店の若主人だ!
なかなかサマになってるんだぜ
梅三郎「じゅんばんからいって つぎがヨシコ先生だな……」
梅さんの弟や妹たち
どんぐり学園の生徒たちもみんな元気です!!
梅三郎「ヨシコ先生はどうしたんでぇ! ヨッ ひろし じらすなよ」
五郎とみさ子ちゃんは……
あいかわらずいいカップルだし……
梅三郎「ヨシコ先生!!」
町田先生は新しい入れ歯を入れ
授業になると毎日みせびらかすんだ
町田「高かったんじゃぞ」
梅三郎「ン…… つぎだな きっと……」
梅さんがぬけたあとの宝ずしの出前は
おれが学校終わったあとバイトしてるから
心配いらねぇよ!
梅三郎「心配なんかしてねぇ じらすなーっ」
くに子ちゃんは……
あいかわらず小悪魔的魅力を発揮してるよ
うちのかあちゃんさ この前
テレビののど自慢大会にでて
鐘を三つならしたんだ
ひろし「学校でひやかされるなーっ」
南先生のブロラン号はとうとう
コナゴナに分解しちゃって組立て不可能
南先生ときたら三日三晩……
南「ア~ン ア~ン」
初恵「おらが死んでもこんなに悲しんでくれるかしら!!」
でも根性だね
どこかからそっくりの車さがしてきたからね
ひろし「おっ ブロラン号2のお通りだ」
麗子ちゃんが髪の毛を短くしちゃったんだ
おれに失恋したからかなァ
色男はつらいよ……
麗子「変なこと書かないでよ しょってるわね」
梅三郎「…… …… ヨシコ先生のことがちっとも書いてねぇじゃねぇか ひろしめ 帰ったらぶっ殺してやる」
ヨシコ先生は
梅三郎「おっ」
ヨシコ先生はかわりありません……
梅三郎「…… これだけ……? かわりありません……だけ ねっ そりゃねぇぜ」
手紙の中から写真が落ちる。
梅三郎「ン 写真……」
割烹着姿のヨシコ先生が、梅三郎のいた寿司屋、宝寿司で働いている。
ひろし「ヨシコ先生さ 学校休みの日 宝ずしを手伝ってるんだぜ! 梅さんが帰るまでにおすし屋のこと おぼえるんだってさ もう~にくーい! ヨシコ先生に 梅さんにはないしょっていわれてるけどさぁ おしえちゃうもんねーっ」
梅三郎「…… …… すし屋のかみさん修行をしながら あっしの帰りを待ってる…… く~ もてる男ってな つらいぜ」
ひろし「あっ それからね梅さん 大ニュースがあんだよ」
梅三郎「ン……? 大ニュース」
ひろし「ピョン吉にねぇ……」
ピョン吉「わぁ いうなー だめーぅ」
ひろし「ピョン吉のやつ テレてるけどね…… 教えちゃうねー!」
ピョン吉「わーっ だめだーっ いっちゃあだめーっ」
ひろし「パンパカパーン じつはかねてより相思相愛であったピョン吉とビッキーちゃんに」
梅三郎「あっ あひょ──っ」
2枚目の写真。ピョン吉とビッキーの間に生まれた、平面ガエルならぬ平面オタマジャクシたち。
ひろし「結婚を待たずして赤ちゃんが生まれたのでーす 18匹のちっちゃな平面ガエルが誕生したのでーす!!」
ピョン吉「ハハ…… テレるなァ やだなァ…… ハハ」
梅三郎「おう ピョン吉 やるなァ すすんでるぜ!!」
ひろし「来月の10日にピョン吉とビッキーちゃんの子連れ結婚式さ」
梅さんにも出席してほしいけどムリだね
結婚式の写真ができたらすぐおくるよ
あと1年……
梅さんの帰りをたのしみにまってるよ……
じゃ バーイ
梅三郎「…… ……」
砂浜にたたずんで夜の海を見つめる梅三郎を、帰宅途中の店員が見つける。
店員「マ…… マスター ? ?」
梅三郎「ハハ」
「ピョン吉~ にくいぜ~ チキショ~ あっしもがんばるぞ── ヨシコ先生まってなよ── みんなもがんばれよ── チキショ──」
さよならピョン吉 さよなら ひろし! ど根性ガエルは いつまでも キミたちの心に残るでしょう
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最終更新:2015年07月11日 19:08