『アヌンクス遺跡内部について』

まずもって、この黒光りする三角錘に侵入するのに相当に難儀するのであるが、それは別の頁を参考にして貰おう。
内部は迷宮の様相を呈してはいるが狭いという事もなく、十人程度でなら問題なく広がっての探索も可能だろう。
薄暗くはあるが、通路の所々に松明を立て掛けられる台座が先人の探索者によって備え付けられている為それほど問題ではない。

だがこの遺跡において特筆すべき問題は内部の温度であり、夜間であっても通路に蒸気が満ちる程だ。
言うまでもなくこの環境下で松明を手に進むのは大変に辛く、滝のように汗が流れるので何らかの対策を講じたい。

極めつけは強力な魔物が浅層から闊歩している事。
この過酷な環境下で強敵との連戦を余儀無くされる事は綴るまでもない。
ここでしか見られないような魔物も多いのだが、ペンと剣を同時に持つのが難しいのが難点である。
これについては、また別途頁を割く。

中層からはアンデッドやゴーレムが多くなり、更に消耗する事となる。
それを抜けると急に空気がひんやりとしてくるが、この私はここで探索を中断した。
メモ用紙が尽きてしまったのもあるが、それから先にひしめく気配は私一人では切り抜けられそうにない、
ここまででも古代の武具や宝物を幾つか見つけられたのだから、それが目当てならここで即座に引き返した方が良いだろう。
この手記が後に続く者達の攻略の一助になれば幸いである。

宿屋に戻ったらベコの臓物のスープを飲ませて貰おう。
あの時は閉口したが、今は無性にあれが食べたい。

ロクシア見聞録より抜粋


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最終更新:2024年04月02日 06:35