俺は…何故こんなところにいるんだろう。真っ白な空間。
そういえば…学校に行こうとして…歩いてたら…何か…ブラックホールっぽいのに吸い込まれて…
「本当に…ここは、どこなんだ。」
つい、声に出してしまった。
「なら、教えてあげましょう」
ん?誰だ?後ろか。
「あ、あなたは?」
「ああ、私は神です。名前は…tng。天具です。」
何言ってるんだ…こいつ…
「なんか知らないが、俺を帰してくれ。また友達と笑い合いたいんだ。それに、今日は転校生が…」
「駄目です。無理です。」
え?なんで?問いただしてみよう。
「なんでだ?」
「えーっと、この次元の間に吸い込まれると…3ヶ月は帰れなくなるんです。その間、別世界で暇をつぶしていただいて…」
おい待て、そんなことしてる時間はないぞ。
「いや、忙しいんだが…」
「大丈夫です。異世界から帰った時は吸い込まれた時と同じ時刻にワープします。時間があちらの世界で経つことはありません」
「…だからって、わけのわかんない世界で三か月も暮らせない。友達も、家族もいないんだぞ。最悪、ホームレスだぞ…」
「おお、それは好都合じゃないですか。何故なら、今回あなたを送るのは…あなたが好きな、ファンタジー世界、ですからね。家がないってのは、旅人には好都合じゃないですか?」
何?ファンタジー世界?それは…いいな。
「何?それは本当か!?はした金で泊まれる宿とかあるのか!?」
「その通りだァ!剣と魔法、人間と魔物の夢の世界だァ!その名もロクシア!お前にはこの基本知識が乗った本を片手にその世界で生活してもらう!」
き、急に性格変わったな…
「すぐに死なれても困るから感情が高ぶるほど強くなる能力を付けておくぞォ!さあ、いけぇ!!!」
「え、待ってまだこころのじゅんびとかそういうのがあああああああああああああ…」
「はあ、やっとまともなの送り込めた…一つ前の子はなんかハンドガン持ち込ませろとかバイクくれとかうるさかったからなぁ…それに二つ前の奴は魔法の才能をマックスにしろとか…」
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「うわああああああああああああああ!!ウワァァァァァァァァ!!……あれ?ベットの上?」
そう、なんか空から落ちるとかかな、と思ってたら、なんかベットの上にいた。
「にぃに!やっとこの人起きたよ!」
「はぁ、お前ってよく死んでるか生きてるかわかんない奴連れて来るよな…」
ん?なんだこの二人は。青髪の少女と、赤髪の青年?兄妹か?
「えっと…あなたたちは?」
「あ!ごめんね、私はアクリ!ほら!にぃにも自己紹介!」
「…OK。俺はウレア。こいつの兄だ。」
やっぱり兄妹か。じゃあ俺も…
「俺は、火r…」
待てよ?この世界で俺の本名受け入れられないんじゃないか?だったら…
「…俺は、クルスです。」
俺の名前は火理来水。かりくるすいと読む。この本名からクルスと言う偽名を作るのは簡単だった。
「ねぇねぇ、クルスの家って、どこ?草原に倒れてたから、拾って来たんだけど…」
…この世界に来たばかりの俺に、家なんてものはない。ここは正直に答えよう。
「ああ、俺に家はないんですよ。」
「…と言うことは、旅人の類か…」
ちがーう!そういうことじゃない!
「ねぇね、にぃに!クルス、うちに泊めてあげようよ!短い間くらい、居候いても困んないでしょー!」
「ま、まあそうだな。よし、付いてこい。ここらへんについて教えてやる。」
「にいにー、私も行くよー!」
と言うことで、しばらくお世話になりそうだ。
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それから、いろんなことを教わった。ここが
スタートゥ王国と言う冒険の聖地であるということ、
通貨について、モンスターについて、魔法について、スキルや職業について。
下四つは完全に基礎知識だが、呆れながらも教えてくれた。今は職業の話題だ。
「そういえば、二人はどういう職業なんですか?」
「あー、私は白魔導士やってるよー。回復のほかに、少しだけ攻撃魔法つかえるんだー。」
「俺は魔剣士だ。魔法剣がある程度使えるぞ。まあ、魔法剣はとんでもない高等技術だから微量の炎を纏うくらいしかできないが…」
「そうなのか…」
職業か…多分俺は今無職だよな。
すると、
「うわああああああ!キングゴブリンだ!ゴブリンの群れが攻めてきたぞおおおお!!」
という悲鳴が、草原の方から聞こえてきた。
「何!?キングゴブリンだと!?そんなバカな、あいつらは普段洞窟に引きこもっているはずだ!」
「それにキングゴブリンがいたら冒険者ギルドに報告されるはずだよ!なんで!?」
「知らん!行くぞ、アクリ!」
「あ、俺も連れて行ってください!」
「お前は後ろで見ていろ!」
…俺は…役に立てないのか?
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冒険者たちが、ゴブリンの群れと戦っている。
圧倒的な物量に、どんどん押されていく冒険者たち。俺は、見ている事しかできないのか?
「落ち着け!もうすぐ四騎士が…ぐああああああ!!」
「リーダー!」
「た、たすけてくれー!」
「ごめんね…おかあさん…」
…なんで俺は、この状況で見ているだけなんだ…言われたから?
そんなの…理由に…
「うわぁっ!」
「…!アクリ!」
…恩人に、手も貸せないで。
…なら、一歩踏み出してみよう。
「…もう、みんなが苦しむのは見たくない」
そう言って俺は、魔物の群れへ向かう。そして、こう言う。
「皆さんは、下がっててください。」
場がどよめく。
「なんだあいつ!」
「死にたがりだね…」
「この間に逃げようぜ!」
「神よ、あのお方をお守りください」
「はぁ、よっぽどバカね…」
…俺は、もう誰も傷つけさせない。
「もう、他の人が苦しむのは見てられないんです。だから、下がって、見ててください。俺の、戦いを」
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次回予告
「みんなを、守る。俺の、力で。」
「…どうだ?かかってこい。」
「おい、痛いだろ?これ以上やったら二人とも痛いだけだぜ?な、和解しようや。」
「ヒッサーツ!いくぜ、大ジャーンプ!からの…」
「キックブラストォォォ!」
「ああ、もういいよ!冒険してやんよ!!」
次回「覚醒、その力」
次回も、心を熱く燃やして!
<
続>