薫桜ノ皇国の何処かに存在すると言われる無人の寺。
深い山や森の中で道に迷ってしまった者が彷徨う内に、いつの間にか辿り着く事があるという。
一切の人の気配が感じられないにも関わらず、寺の中は常に手入れが行き届いている。
外から誰かがやってきて、手入れをしているという訳でもない。
それなのに、この寺は美しい状態を維持しているのだ。
__偶々道に迷い、寺で一夜を過ごした旅人はこう語る__
あの寺には誰も居ないが、“何か”が居るようだった。
腹が減ったと思ったら、いつの間にか料理が現れていた。
野菜ばかりで物足りなかったが、何も食べないよりはマシだった。
眠くなったら隣の部屋に布団が敷いてあった。
まるで私の考えを読んでいる『何か』が居るようであった。
考える余裕がなかったのかもしれないが、改めて言葉に起こしてみるとひたすらに薄気味が悪い。
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最終更新:2025年05月31日 13:43