「a night -牧-&-繊-」
作者:本スレ 1-091様
368 :オリキャラと名無しさん:2012/05/29(火) 20:51:07
1-091です。
》366を受けて、繊→←牧×エイシアさんの妄想を拡げちゃったので晒します
・やたらと長文です。エロなし
・繊は人の名前を覚えません
(白髪→エイシアさん、王子→アル様、ロン毛→ウィル様です)
・二人ともgdgdです
・各キャラクター設定の詳細は、
本スレ1-866 と、
設定スレ 1-036へ
369 :a night -牧-:2012/05/29(火) 20:53:09
昼間は散々だった。
変な言いがかりはつけられるし、そいつからは迫られるし、そのせいで長々と説教されるし、
繊のやつは部屋から出てこねえし。
くっそ、休日だっていうのになんでこんな疲れなきゃならねんだ。なんなんだ今日は。厄日か?
正直顔をあわせづらいところだが、あいつに後ろめたいことは何もない……はず……だし、
話したいことも話すべきこともたくさんあるし、いつもどおり缶ビール一本持って繊の部屋の前に立った。
「……繊……入るぞ」
返事を待つ必要はない。
いつもそうしているようにドアを開け、部屋の隅に座っている繊の隣に腰を下ろした。
こいつはアルコールの類は一切飲まないが、隣で黙って座って、俺に付き合った。
俺はそれを心地良いと感じていたし、こいつも居心地の悪さは感じていないようだった。
いつからか、夜はこうしてこいつの部屋で並んで一杯飲むのが習慣になっていた。
だが、いざ座ってみると、何から切り出していいのか思いあぐね、何も話すことができなかった。
「あいつ……あの白髪、17だってよ」
しばらく黙っていた繊の口から、ぽつりと、静かな声が洩れた。
「お前のさ、半分にも満たねんだけど」
辛辣な物言いに、思わず俺は繊の方に目を向けた。
繊の顔はこちらを見てはいない。
多分、何も見てはいないんだろう、前方を見据えたまま動かない。
もともと整ってる顔だとは思っていたが、無表情でまばたきもしない横顔は、まるで人形のようだった。
「まあ、お前も男だし……まだ涸れちゃいねえだろうから、さかるなとは言わねえけどよ……」
「……だから……」
「本気だろうが遊びだろうがどっちから誘おうが、そんなん正直どうだっていいんだ。
無理矢理だろうが双方合意の上だろうが、それだってどうでもいい」
「いや、待て……!」
待て待て!あの状況で!俺から誘うってのはあり得ねえだろ!
「ただよ、未成年に手ェ出して新聞沙汰にはならないでくれ、近所歩けねえ」
「いや、だから……何もしてねえだろって!」
「……王子とロン毛が止めてなきゃ……するつもりだったんだろ」
「……っ……!」
これには、即座に否定できなかった。
誘ってきたエイシアに多少恥をかかせることになっても、はっきりきっぱり突っぱねて尚且つ諭すのが、
俺の責務でベストな判断だったんだろうが……ご無沙汰な体は正直なんだぞ!?
もしあそこでドアが開けられていなければ……繊の言うとおりになってた……かもしれない……。
たとえ相手が男であろうが、自分の子供でもおかしくない年代であろうが。
俺もまあ、身持ちの固いほうではないし、流れ次第ではそうなっていただろうな。
だがそれはあくまで可能性の話であって、何も起きなかった、これが事実だ!
「お前の性欲は否定しねえけど、発散する相手選べよ。たまってんなら、そのへんの風俗にでも行って
適当に抜いてこいや」
「……お前いい加減にしろよ!……ちょっとおかしいぞ?」
何がこうまで繊の気に障ったのか正直わからねえが、いつになく語気の荒いトゲのある言い方に、
思わずかっとなって繊を畳の上に組み敷いていた。
「……ってぇな……」
怯えて揺れる視線にぶつかって、後悔した。
「……俺のことも犯すのか?」
手の下にある薄い肩が、小さく震えているのがわかる。
違う……。
こんなんじゃだめなんだ。俺はこいつを不安にさせたかったわけじゃない。
ただ、何を話しても何をしても傷つけることしかできないような気がして、少しだけ胸が疼いた。
こいつがこんなふうに怖がったりするのは、俺が怒鳴ったり手を上げたりするときだけだ。
俺だけを怖がるようになったのは、もちろん俺のせいだ。昔、手酷い仕打ちを与えた。そのせいだ。
「悪い。……怖がらせて悪かった……」
俺は繊を抱き起こすと、その背中を擦った。まだ、強張ったままだ。
「寝るわ。邪魔したな」
空き缶を持って立ち上がる。なるべく繊の方は見ないようにした。
視線が合うとまた怯えさせそうで、それを見るのもそうさせるのも願い下げだ。
部屋を出てドアを閉めようとしたとき、背中で声がした。
「俺も言い過ぎた……ごめん」
俺は振り返ることはせずにそのまま自室へ向った。
明日、もう一度落ち着いて話そうか。
370 :a night -繊-:2012/05/29(火) 20:54:08
畳の目を数えていたら、いつの間にか部屋の中が真っ暗だった。
4,300を過ぎたあたりから、何度数えてもうまくいかない。
数えてる間は、忘れていられた。
白髪が誘ったのか、それとも牧の方から誘ったのか、本気だったのかふざけてたのか、無理矢理なのか
二人とも乗り気だったのか、キスだけで済んだのか、とか、そんなことを考えずに済んだ。
でもやっぱり思い出してきて、苛ついて、数えられなくなる。
我ながら馬鹿らしくなって、部屋の明かりを点けた。
明かりを点けたからといって、何するわけじゃない。もともと暗さに不便を感じるわけでもない。
今日はさすがに来ねえだろうと思いながらも、内心では牧のことを待っているんだということに気付いて、
そんな自分に呆れた。
「……繊……入るぞ」
鍵なんてかかってない。別に俺がいちいち許可しなくても、勝手に入ってくる。
いつもどおりに俺の部屋にやってきて。いつもどおりに隣に座って。いつもどおりに一人でビール飲んで。
どのツラ下げてやってきてんだよって、俺も勝手にそう思って。
そもそも、牧と白髪が二人で何しようが、俺のでしゃばっていいところではなくって。
それでもやっぱり苛ついて。
「あいつ……あの白髪、17だってよ」
気にもしてなかった年齢を口実にして、牧を責めた。
「お前のさ、半分にも満たねんだけど」
自分勝手な嫉妬だっていうのはわかってる。
「まあ、お前も男だし……まだ涸れちゃいねえだろうから、さかるなとは言わねえけどよ……」
「……だから……」
一度口にしてしまうともう止められなくなった。
「本気だろうが遊びだろうがどっちから誘おうが、そんなん正直どうだっていいんだ。
無理矢理だろうが双方合意の上だろうが、それだってどうでもいい」
どうでもいいのかどうでもよくないのか、それすらもうどうでもいいわ。
いきさつがどうであれ、牧の上に白髪が乗っかってキスしてた、それが事実だ。
「いや、待て……!」
「ただよ、未成年に手ェ出して新聞沙汰にはならないでくれ、近所歩けねえ」
嫉妬する立場じゃないってのもよくわかってる。俺が勝手にひとりでこいつに惚れてるだけだ。
その気持ちはこいつにはまったく関係ないっていうのもよくわかってる。
「いや、だから……何もしてねえだろって!」
「……王子とロン毛が止めてなきゃ……するつもりだったんだろ」
「……っ……!」
……クソ、当たりかよ……!
「お前の性欲は否定しねえけど、発散する相手選べよ。たまってんなら、そのへんの風俗にでも行って
適当に抜いてこいや」
こんな言葉で牧を詰って、困らせたいわけじゃない。ますます嫌われるだけだってわかってるのに。
わかってるのになんで、こんなこと言ってんだろ……自分のウザさに腹が立つ……!
「……お前いい加減にしろよ!……ちょっとおかしいぞ?」
背中と頭に鈍い痛みを覚えて、床に叩きつけられたのだと知った。
俺の肩を抑える腕に容赦はなかった。
怒らせてしまった。
「……ってぇな……」
目が合った。怖かった。
「……俺のことも犯すのか?」
俺はずるい。自分が傷つくフリをして、牧を揺さぶってる。
ほんとはそうしてこいつとやりたいくせに、そこから入ってくるこいつの底意は知りたくなくて、
自分の願望を批難に隠してわざと地雷踏んで、傷を抉って自分を刻んで、そんなことしかできない自分が
卑怯で情けなくて女々しくて大嫌いだ。
「悪い。……怖がらせて悪かった……」
牧の手が俺を起こした。背中をはらってくれた手つきが優しくて、もう怒ってないのかと思ってしまう。
でも、俺の方を見ようとしないから、まだムカついてんだろうな。
いっそ、こいつがこんなに優しくなくて、他の人間がそうであるように邪険にしてくれてたら、そうだったら
こんなふうに勘違いして好きになんてなってなかったかもしれない。
でも、今更どうしようもないほど好きになっていて。
「寝るわ。邪魔したな」
立ち去っていく背中を見て、急に寂しくなって、とりあえず謝んなきゃって思って、声をかけた。
「俺も言い過ぎた……ごめん」
誰かを好きになるって苦しいことなんだな。
【END】
拙文にて失礼!
改めまして、1-710姐さんありがとう
その後のエイシアさんがお仕置きされてるところとか(もちろん性的な)、
ひとり何事かわかってないシルヴィアさんとかも
勝手に妄想して楽しかったですww
最終更新:2012年11月27日 21:09